表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6年後に戦地から帰ってきた夫が連れてきたのは妻という女だった  作者: 白雲八鈴
炎国への旅路編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/80

13話 ナヴァル家って

 あれから3週間が経ちました。いよいよ念願の炎国に行く日がやってきました。

 魔道馬車の試運転はどうしたかですって?

 御者席にクストも共に座ることで納得してもらい、試運転は問題なく成功しました。


 何故か王妃様から魔道馬車の依頼が来まして献上することになったり、他の貴族の方からの依頼もあり、この三週間は慌ただしく過ごしました。後でセーラを問い詰めたところ、試運転をする前に王妃様に自慢をしていたそうです。セーラが王族だという事をすっかり忘れていました。今度はきちんと口止めをしとかなければなりませんね。


 そして、ここは王都メイルーンから北に50キロメル(km)行ったところの小さな町の教会に来ています。もちろん魔道馬車に乗ってです。

 なぜ、こんなところに来ているのかと言うと、ここに転移門があるそうです。王都からこんなに離れたところにあるなんて不便だったのではないのでしょうか?


「奥様、エルフ神聖王国は4千年前から約3千年間栄えた国です。その頃はシーラン王国は存在しません。」


「え!そうだったの?」


 マリアがそう教えてくれました。


「シーラン王国ができたのってどれぐらい前なのかしら?」


「大体1千年程前です。」


 今度はセーラが教えてくれました。


「獣人族の国を作ろうとシーランとグアトールとスラーヴァルとナヴァルが立ち上がり、ギランに負けない国を作ろうとしたのが始まりです。」


「え?それって今の王族と公爵家のこと?」


「そうです。」


 またしても、今になって知った新事実です。まさかナヴァル家が国を作り上げた人たちの一人だったなんて!

 だから、ルジオーネさんが我が一族って、よく言っているのですね。


「ユーフィア。転移門の使用が可能になったぞ。」


 そう言って、クストが教会から出てきました。普通の教会ならエルフ族が管理をするために常駐しているのですが、ここの教会は王族の方が管理をされているそうです。

 エルフ族にはいい思い出がないので、会わないで済むのならよかったです。


 クストは教会の中に入るようにと手を差し伸べてくれています。私は待機していた馬車から降り、それにマリアとセーラが続いて降りてきました。

 今回、炎国に向かうメンバーはこの4人だけです。本当は子供たちも連れてきたかったのですが、転移門の定員が4人だそうです。この機会にクストと子供たちの距離を縮めることができると思ったのですが残念です。


 クストに手を引かれ教会の中に入って行きましたが、エルフが管理する教会と何か違うような気がします。何が違うのでしょう。

 不思議そうに辺りを見回していますと、クストに心配そうに声をかけられてしまいました。


「ユーフィア。どうかしたか?何かあったのか?」


「いいえ。大したことではないのですが、ここの教会は何かが違うと思いまして、何が違うのでしょう?」


「ああ、普通なら世界創生の壁画なんだろうが、ここの壁画は解放戦の壁画になっている。」


「解放戦?」


 初めて聞く言葉です。


「エルフ族に迫害されていた獣人達が自分達の国を作る為に立ち上がった戦いのことだ。そこの中央に描かれている人物が居るだろ?」


 クストが指すところには青色の髪をした人物が光の玉を掲げている姿が描かれています。


「今では殆どいない龍人族だ。その隣には突然変異と言われた黒の豹獣人。その後ろには、マリアの祖先である金狼獣人。その横で拳を掲げているのが、統括師団長閣下の祖先のうさぎ獣人だ。」


 そう聞かされますとマリアはすごい一族の出なのですね。


「この4人が中心となってエルフ神聖王国いや、シャーレン精霊王国からギラン共和国を独立させた人達だ。」


「すごいです。でも、なぜギラン共和国に関係する人達の絵がシーラン王国にあるのです?」


「詳しいことは語り継がれていないが、真ん中にいる龍人が獣人達をまとめ上げ、共に戦った事が獣人達を勇気づけたらしい。ギラン共和国もシーラン王国も共に獣人が多く住む国だ。そこに何かしら繋がりがあるのだろう。」


 クストが説明してくれた壁画を横目で見ながら、大きな扉の前にたどり着きました。ここに転移門があるのでしょうか。


 クストが木で作られた扉を開きますと、ただ広い空間があるだけで何もありませんでした。


「クスト、ここに転移門があるのですか?」


「ああ、門と言っているが、下に描かれている転移陣のことだ。」


 下を見ますと30畳程の大きさの部屋いっぱいに複雑な陣が描かれていました。すごいです。私には真似が出来ない複雑さです。


 クストに手を繋がれたまま部屋の中央に来ました。どうすればいいのでしょう。すると、クストがある方向を指しながら説明ををしてくれました。


「ユーフィア、あの部屋の端にある魔石が光るぐらいに下の陣に魔力を流してくれ。そうすると声が聞こえるらしい。

 ただ、何を言っているか、わからんらしい。古語か特殊な言語かもわからないようだ。

 一度、爺様が使った事があったようで、婆様が声が聞こえだしてから爺様が震えだして何事かと思ったら爆笑しだしたと、何がおかしいのか聞いてみても教えてくれなかったと言っていた。爺様には何が聞こえたんだろうな。」


 爆笑ってそれは気になりますが、この世界の古語は流石にわかりませんね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ