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灰色景色  作者: 焼ミートスパ
第四章 黒霧景色
85/107

85 雪子、ラスボスに襲来される

「ここいいかね?」


初老の男性からの問いかけに雪子は答えた


「両親から知らない人に付いていってはいけないと言われているのでお断りします」




「はははははっ」


老人の笑い声がホテルのラウンジに広がった




一方、周りは静寂が広がっていた


前首相に向かって知らない人間扱いした雪子のウイットに富んだジョークを褒めればよいのか、無礼を咎めればよいのか判らなかったからである




まあ雪子からしたら雲の上の存在な上に、全然交友がなかったのだ


関わり合いにならなくても全然問題がないための対応であった





「失礼するよ」


そう言って雪子の前の席に座る


さすが首相になる人間は違った


実にゴーインにマイウエイであった





「今回はだいぶ世話になったようだね」


言葉は優しいが目が笑っていなかった




それはそうである


首相本人だけでなく孫娘の婚約、はては派閥が崩壊寸前にまで追い込まれたのだ


笑って許せるはずがないのである





もっとも雪子にも声を大にして言いたいことはあった


「冤罪です」




大体、誰もかれも雪子がいや冷泉院家が裏で糸を引いていたと思っていた


だが誤解も甚だしい


それが雪子の主張であった




「うむ、判っている」


とりあえずの敵である元首相がなぜか理解者になっていた




なんでも首相の座を引きずり降ろされた怨みもあり、今回の一件を最初から調べ直したそうである


そうしたら雪子はイジメを語っただけであることが判ったそうだ





腐っても冷泉院


その子女の雪子が愚痴を言ったのだ


聞いた人間は当然冷泉院から首相一派への攻撃を確信した


だったら私も一口乗ろう


この機会に私の怨みを晴らしてやろう


無意識の連携が起こったそうだ





早い話、無意識の多数決


皆が悪人と判定した人間には容赦なく鉄槌を下す


みんながやっているから今のうちにオレも(私も)復讐しよう


そういうことらしかった





いやなにそれ?


雪子の正直な感想だった


はっきり言って冤罪である






でも見ようによっては雪子が扇動?先導?しているように見えた


そりゃ習い事の師匠や姉弟子達から意味不明な苦言がくるはずである





苦言を言われた時はまったく理解できなかった


だが、言った人間の顔を立てて殊勝な顔をしておいた


なんで注意をされるのかが不思議で、そして悔しかった





だが今ようやく事情が明らかになってホッとした


いやホッとしてはいけない


明らかに被害者である





しかし良く調べたものだと雪子は感心した


思わずそう言うと


「なにせ首相でなくなったので暇でね」


との返事が来た



・・・首相を辞めたらよっぽど暇になったらしい

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