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灰色景色  作者: 焼ミートスパ
第四章 黒霧景色
75/107

75 小村建設の危機

「東京国税局だ、只今から特別査察を行う!、書類やパソコンに一切触るな!」


50歳くらいのさえない中年が胸元から紙を取り出して掲げた


こうして、一つの建設会社が倒産した(予定)




パソコンや書類、USBにDVDに至るまで机の上と戸棚の中のものすべてが押収された


国税局員達が去った後は机と椅子しか残っていなかった


小村建設社長の小村大造はその風景に頭を抱えるしかなかった




いや絶望して終わるくらいなら会社の社長はやっていられない


すぐさま立ちあがり裏工作に奔走した


まずはじめにしたことは、後ろ盾になっている大室知事に文句を言うことだった





「なんでやねん!あんたが押さえてくれるって約束やったろうが!」


その夜、小村大造は料亭で大室知事に文句を言っていた




元国会議員の大室が、一地方の県知事をしているのには訳があった


県の過疎地に放射性廃棄物貯蔵施設を作り、その維持費で金儲けするためである


建設で儲け


高額の維持費と地域振興費で儲ける


まさに現代の錬金術


ウハウハだった




大室知事と一緒に甘い蜜を吸っていたのが小村建設である


施設建設から保守点検に至るまで一手に引き受けたおかげでこちらもウハウハだった




損をするのは廃棄物貯蔵施設を作られた村の住人とそこで放射能の被爆の危険にさらされる従業員で自分達は一切リスクを負わないとなれば笑いが止まらないというものだ


いやこの場合、嗤いかもしれない




無知で無力な貧乏は悲惨だな


同情くらいはしてやってもいいぞ


そういうことである




もちろん儲けた金が真面目に計上されて税金が払われる訳ではない


金を儲ければ節税と言う名の脱税をする


世界中の金持ちが税金をほとんど払っていないのは公前の秘密


もちろん小村達も税金を払う気はサラサラなかった



二重帳簿


資金の迂回


架空請求


ありとあらゆるテクニックが使われた


そしてその金は大室知事から与党に流れていた





そのおかげ?で今まではまったく問題がなかった


裁く側の人間が身内に居るのだ


どんなことをしても捕まる訳はなかった




ところが今回、事前に通告どころか予兆すらなかった


証拠はばっちり持って行かれた


有罪以外ありえない





大室知事あんたの権力で止めていたんじゃないんかい!


自分の建設会社が今にも潰れそうな小村社長が詰め寄るのも当然だった





「いや、待て!知事オレだって知らなかったんだ!」


二人の言い争いは深夜にまで及んだが解決策はいっこうに浮かんでこなかった

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