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灰色景色  作者: 焼ミートスパ
第四章 黒霧景色
69/107

69 予告編

「放せっ、ワシを誰だと思っている!」


冷泉院雪子がホテルのラウンジで午後のティータイムをしていると入口付近で騒動が起こっていた




ホテルに無理矢理入ろうとした闖入者を警備の人間が止めていた





ホテルに出禁されているというのに


入る際に丁重にお断りされているというのに


この始末




どうやら権力者と言うのは自分を中心に世界が廻っていると勘ちがいしている人間しかいないのかしら?


雪子は呆れた




ピコン


スマホから着信を知らせる音がした



『総理大臣が辞めさせられるんですけど?』とメールの題目が表示されていた



雪子は指紋認証した後、メールを開いた


大師匠からのものだった



還暦を過ぎているはずなのにスマホを雪子じょしこうせいよりも使いこなすのには褒めればよいのか、呆れればよいのか、たまに困っている


まあ雪子のスマホの住所録には両親と運転手むらたさんとお茶や書道のお稽古仲間しかいないのだから誰と比べても底辺なのである




メールには


大山田総理が就任3カ月の最短で辞任とかやりすぎでは?(意訳)


とお叱り半分、忠告半分の内容だった




雪子は天を仰いだ


すべての悪だくみが雪子わたしのせいではありまん


ホテルのラウンジに居るにもかかわらず大声で言いそうだった




とは言っても嘆いていても仕方がないのは判っている


雪子は正直にメールを書いた


『私はイジメの内容を忠実に再現して愚痴を言いまくったただけです(原文そのまま)』




もしも総理大臣が辞任に追い込まれたり


県知事がリコールで引き摺り降ろされたり


大手建設会社が倒産したり


企業の悪事を無罪にしてきた有名悪徳弁護士が失脚しても雪子わたしのせいではない


と大声で主張したいのですが、どなたに、いえ何処で言えばいいのかしら?




答えがでなさそうな命題を真剣に考える雪子だった

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