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灰色景色  作者: 焼ミートスパ
第三章 記録景色
58/107

58 舞台の裏側で

「は?冷泉院とコンタクトを取りたい?無理ムリむり!<ガチャン>」


弁護士の掛井が同期の弁護士に電話をかけたらいきなり電話を切られた





<ツーツーツー>


掛井はスマホを片手に固まった


そして途方に暮れた


なにせこれで20連敗なのだ





事のきっかけは契約をしている鷹取家から依頼を受けたことであった


身内がトラブルを起こしたので解決してくれ


という依頼だった





詳しく聞くと


女子高生同士のトラブル


ということだったので簡単な仕事だと思った






まあ、親がしゃしゃり出てグチャグチャに掻き回した後だとか


翁が以下同文だとかはいい加減にして欲しかった





どうせ弁護士こちらに回すなら最初っから依頼して欲しい


物事を悪化させるだけさせてから回すのは止めて欲しいというのが本音だ




まあ困難な分、儲かるんだがな


そう思うことでなんとかやる気を出したわけである





後日、待ち合わせ場所と日時の連絡がきた


待ち合わせ場所はなんとホテルのロビーだった



おいおい女子高生がホテルかよ


掛井は金持ちのやることに呆れた





鷹取翁についてホテルのロビーで相手に会ったら相手は祖母らしき老婦人が付き添いとして来ていた


そこまでは順調だった





ところが話を始めた途端、今どきの女子高生らしくいきなり鷹取翁を怒らせた


掛井は思わず頭を抱えた





目上に対する礼儀すらないのか!


所詮金持ちのボンボン、いや小娘


そう思った


いや蔑んだ





まあそんなバカの相手をするのも仕事だからしかたない


その時掛井は自分にそう言い聞かせて話を進めた




気付けよオレ!


と掛井は過去の自分に向かって説教をしたかった


気が付いていたらこんな最悪な状態にはならなかっただろう


まあ所詮は後の祭り、であった





掛井が気を取り直して交渉を始めた途端、女子高生は怒りだした


そして、さっさと席を立って出て行った





・・・常識がなさすぎるだろう


掛井は目が点になった


オレは悪くないはずだ


その時はそう思った




もっとも相手が非常識だろうと


バカだろうと


犯罪者だろうと交渉するのが仕事である


気を取り直した


いや交渉を立て直そうとした、である






鷹取翁が付き添っていた老婦人経由でコンタクトをとろうとしたが不調となった


けんもほろろに断わられたそうである





「もうすでに義理は果たした」


それが返事だった




・・・掛井は鷹取翁は何やったのか!と言いたかった


まあ依頼人なので言えはしないのである


弁護士といっても所詮はお抱えの下僕なのである





仕方がないので弁護士である掛井が交渉の窓口になることにした


他人任せにすると悪くなる一方だからである






しかし掛井がコンタクトをとろうとしても


電話をしてもつながらない


郵便で書類を届けても連絡がない


人を介してもけんもほろろに断わられた


とどうしようもなかった


前任者がバカやり過ぎたせいである


まさに八方塞がりであった






噂ではどうやら相手の女子高生が拒否しているようだった


連絡はとれないけれど噂は届くという不条理


おかげで鷹取家からの圧力が半端なかった



・・・冷泉院からの嫌がらせであると気が付くのはかなり後のことであった






「はやく解決しろ!」


との催促が掛井の元にひっきりなし来ていた


・・・自分達の不手際を棚に上げるなと言いたかった





せめて交渉の場に出ないなら返事くらいしてくれ


掛井の正直な感想だった




たとえ怒っていてもなんらかの返事を返すのは当然である


それをしないなんて本当に今の世の中頭がおかしな人間は多すぎる


この商売べんごしをして切実に思った






愚痴を言っていても仕方がない


だから掛井は冷泉院関係の会社で仕事をしている同期の弁護士に連絡をとった


そして仲介を頼んだ






弁護士の同期という絆は結構強いのだ


いわゆる持ちつ持たれつの深い関係である





もっとも仕事なのできちんと貸し借りは記録される


忘れた頃にあの時の借りを返せ!、と言われるのである


まあそれゆえに最後の手段であった





ところが今回貸し借りが、などと言っていられなくなった


まさに崖っぷち


後がなくなっていたからである





そんな訳で恥を忍んで同期の弁護士に連絡をとった


ところ、相手が『冷泉院』というだけで断わられた





なんでも冷泉院は地縁血縁でしか仕事をしないとのことだった


新入社員も知り合いの紹介がないとなれない


取引先も紹介がないとなれない


まさに前時代的、いや1000年前の封建社会であった





本当に現代か!と掛井は文句を言いたかった





おまけに敵だと認識されたら関係者を含めて仕返しをされるそうだ


だから手を貸さない


そういうことだった





・・・今、令和だよな?


そう思った掛井は悪くない


まさに相手が悪かった、と言える





もっとも諦めるとそこで終わりである


掛井は努力するしかなかった





しかし連絡がとれないので解決するめどすら立てられない


どうするか?




目の前が真っ暗になる掛井だった

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