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灰色景色  作者: 焼ミートスパ
第三章 記録景色
53/107

53 雪子、予告編に届く(かもしれない)

「こちら鷹取善次郎さんよ」


雪子の茶道の師匠が一人の初老の男性を紹介していた


その口調はイヤイヤであることを隠してしなかった





人間長く生きていれば当然しがらみも増える


昔の事を持ち出した鷹取翁のお願いをむげにはできなかった某冷泉院雪子の茶道の師匠


紹介するだけ、という約束を守り本当に紹介するだけだった




一体どんなしがらみがあったのか聞いてみたい雪子であった





まあ雪子は家元から事前に聞いていたので家元のそっけない態度を見ても動じなかった




どうしてもと頭を下げられたら歳若い雪子としては会う以外の選択肢はなかった


まあ事態が混迷するというのは雪子としてはウエルカムである


混乱するたびに雪子の勝利が補強されるのだ





家元へ貸しをしつつ、事態も雪子の良いように動くという無敵モード


せいぜい高値で売ってさしあげましょう


内心で雪子が笑っているのは秘密である





また、たとえ師匠である家元とはいえ今回のイジメの騒動に関しては無関係というスタンスを約束させた


これで下手な横やりは無くなった





なお話し合いで雪子が負けた場合、すべて家元のせいにして責任をとらせる気満々であった


・・・もっとも家元にはバレバレだったようだ




家元には無理矢理逢わせるようにごり押しされた怨みがある


「だから雪子が負けそうなら参戦してボコボコにするつもりでしたわ」


と後で言われて雪子は震えるのだった


役者が違う、というやつである




そんな裏側の事情をしっかり知っていることもあって雪子は自分から喋ることはしなかった


家元は紹介するだけしない


だったら雪子も自分から紹介はしない




せいぜい自分で話を進めるがいいのですわ


それが本音だった


勝手に喋るだろうと思っていることだろうとしっかり相手の行動を予想していたからである




人は得てして自分の都合のよいように考えるきらいがある


鷹取翁もそうだろう




家元が自分を紹介する


それにつられ雪子が自分から自己紹介をする


そこから謝罪の言葉を言って・・・


といった感じだろうか?



雪子はそう予想していた




実際に当たっていたようで最初の会話の梯子を外されたため沈黙が広がっていた





紹介した後何も言わない家元


自分から話を廻す気が無い雪子


話すきっかけがないために話しかけられない鷹取翁



三睨みの状態になった





沈黙が痛いが雪子は全然かまわなかった


むしろ情報戦に勝ったという自分の行動に酔っていた



現代のイジメの対応というのは情報戦である





いかに情報を集め


いかに情報を相手にあたえないか


そして集めた情報から相手の行動を予測して潰す


成功したら幸福感に満たされることは間違いなし





この感動は実際にやった人間しかわかりませんわ


雪子は満たされながらそう思った

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