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灰色景色  作者: 焼ミートスパ
第三章 記録景色
47/107

47 雪子、謝罪を強要される

「ティアラにあやまりなさいよっ!」


そう言われたので


「ブブッ」


と雪子は思わず笑ってしまった




この場合は仕方が無いといえよう


なにせ花冠と書いてティアラと読むのだ


外国人ならいざしらず、いや外人だって聞いたことが無い名前だ


純日本人で堂々と名乗っていれば笑いもとれようというものだ





それを聞いて菫子は怒った


また取り巻きの3人も口ぐちに雪子を罵った



-----------------------------------------------

いきなり謝罪を要求された


ティアラという非常識な名前を聞いて思わず嗤ってしまった


そうしたら4人がかりで罵詈雑言を言われた


こちらはたった一人なのに、である


たった一人をとり囲んで言葉責めをする人達の気がしれなかった

----------------------------------------------------


雪子は罵詈雑言の嵐にもかかわらず手帳を取り出し冷静に記録していった





「なにしているのよっ!」


菫子は雪子が自分を無視して手帳に書いていることに腹を立て、手帳をとりあげた


そして床に叩きつけた後、靴で踏みにじった





ソレを雪子はタダ見ているだけだった


ジッと見た


そして自分に罵詈雑言を言ってくる4人を無言でジッと見た





もちろん言われたことをすべて記憶するためである





手帳に書いた昨日の分はしっかりバックアップをとってある


スマホで写真をとりクラウドにアップしてある


今日の分は記入中だったためにバックアップしていない


そのため頭に記憶して帰宅後に書きたすつもりだった





いえホテルの部屋でもいいわね


雪子は頭の片隅でそう思った


頭の大部分は非常識な人間の言動を記憶している最中である


片隅で思っただけでも凄いと言えるかもしれない






ここで雪子の現状について記しておこう




雪子はイジメのため共和学院に登校していない


学校側の対応が悪かったためである


また加害者側の対応も悪かったためである





イジメをした人間が学校に通い


イジメをされた人間が学校に通えない


酷い状況であるがこれが日本の現状である




そもそもイジメをした人間というのは


性格が悪く


常識がなく


人を思いやることができない


まさに人間のクズである




まっとうな人間ならば加害者は学校に登校させないはずである


またきちんと専門家によるカウンセリングを数カ月にわたり受けさせるはずである


その後、専門家の判断を受けて登校が再開されることだろう


その際、被害者と加害者が学校内で接触しないように最大限の配慮がなされるはずである


まっとうな人間ならば、である





ところが現代の日本では大学で教育学を学んだ専門家である教諭達は


加害者を平気で登校させ


被害者の心情 ~加害者が学校にいるということで登校できない~ を無視し、登校できなくても心の呵責を感じない


という対応をする


まさに常識を疑うとはこのことである




なおそんな教諭を監督する官公庁も同様である


最高学府で学んだ人間の対応と言われて信じる者はいないだろう


もっともそれが現状である




被害者やその保護者が声を上げても自己責任などとふざけたことを言って取り上げないのが現状である


あるいは「忙しい」か「善処します」であろうか




日本では古来教師というのは聖職者として崇められていた


もっとも近年質の低下が著しくその言葉とは真逆な存在と化しているのである





しかし長年の慣習というのは恐ろしく偉そうというのだけが残っていた


あるいは生徒を評価するという強権があるための奢りであろうか




まあそんなわけで雪子は登校できないでいた



だからと言って学校に行かないという選択肢は間違っている


そこで雪子は父親に願った




勉強がしたい、と





イジメをされているにもかかわらず親に相談できなかった数ヶ月前の雪子とは別人であった


成長したと言って良いであろう



当然父親の冷泉院巌は了解した


さっそく手配した





父親というのは伊達ではないのである


いやこの場合は大人は、であろうか





それなりに学校で学び、


社会にでて世故に揉まれ


妻子を養っていれば人間成長するのである


いやこの場合は真剣に生きていればである



なぜなら苛めっ子を見事に育て上げたクズ親という存在があるからである





雪子に乞われた巌は早速動いた


聖ミカエル女学園の理事長に話をつけたのである




巌は腐っても会社社長である


いや腐ってはいないが



当然のことながら顔は広い


その中に聖ミカエルの理事長が居た





そこでさっそく話をつけた


そしてリモートで授業をうけれるようにした


・・・毎日車で通える距離でないからリモートは当然である





自宅で映像授業を受けても良かったのだが、きちんと授業を受けていることを証明するのが難しい


だったら系列のホテルの部屋で受ければ良い


巌はそう判断した





なにせ冷泉院が誇る一流ホテルである


ネット環境と大画面のテレビは完備されていた


繋がっている時間、つまり勉強時間はホテルとプロバイダーが証明してくれることだろう





もしもホテルの証明が不服などといったらホテルに対する侮蔑だと盛大に文句を言ってやろう


巌はさりげなく地雷を埋め込んでいた




まあそんなわけで朝から夕方まで雪子はホテルの部屋にカンズメになっていた


朝に家からホテルに来て、おやつを食べた後、運転手つきの自家用車で帰宅する


それが雪子の最近生活であった




もちろんホテル代とネット代、聖ミカエルの授業料は加害者側か共和学院に支払せるつもりである


なにげにスイートをつかているとか、リモートできるからと名門私立を使っているあたりで請求額は雪だるま式に日に日に膨らんでいた


ここでも巌の仕組んだ毒が含まれていた




まあそんなわけで勉強部屋と化したホテルで今日の不条理を記録しようとしている雪子であった

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