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40 予告編
「申し訳なかった」
きちんと着物を着た翁と言ってもよい老人が雪子に向かって頭を下げた
しかし雪子はそれを黙って見ているだけだった
なにも声がかからないために頭をあげることが出来ない老人
ホテルのラウンジの空気は固まっていた
それはそうである
高そうな着物をきちんと着こなし、人生の先輩といえるような雰囲気を持つ老人が自分の1/3にも満たない小娘に向かった頭を下げているのだ
固まらない方がおかしいのである
しかし雪子はそんな雰囲気をものともしなかった
頭を下げている翁を無視してゆっくりと同じテーブルについている老婦人を見た
老婦人は頭を下げている翁の方を冷めた目で見ていた
老婦人は翁には義理があるため雪子に無理を言って合わせた
雪子に迷惑をかけている自覚がある
そのため合わせた以降は雪子にまかせることを態度で示していた
ソレを確認した後雪子は言った
「あんな小娘に騙されたあげくあの愚行、恥ずかしくないのですか?」
かくして断罪が始まった




