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灰色景色  作者: 焼ミートスパ
第二章 破談景色
37/107

37 勝田姉の謝罪

「弟がすみませんでした」


勝田姉が謝罪してきた




「ええ本当に」


雪子は正直に答えた





本当にイイ性格をしていた


正確には、いい性格になった、である


イジメっ子達により無理矢理成長させられた結果である




まあ、虐められた人間というのは人間性が歪むものなので当然の結果である





なにせ何も悪いことをしていないのに酷い目にあったのだ


おまけに誰も助けてくれなかった


教師を含めて、だ


さらに「謝ったんだから許せ」などという理不尽


あるいは「虐められる方も悪い」という理不尽な批評までくるのだ


これで正しい人間性がはぐくむと考えられる方がおかしいのである





大体謝ったから許せというのは加害者側の身勝手な理屈である


そんなバカげたことに付き合わなければならない法はない


ところがそんなことすら通らないのが子供の社会である





相手が謝る


自分にも落ち度があった


だからこれからは友達から始めましょう


握手して終わり


そんなご都合主義のネット小説や書籍やアニメがあるから皆勘ちがいをするのである


所詮は虐められたことがない、いやどちらかというと虐めた側の人間が成長して書いたシナリオである


そんなばかな作品ばかりが蔓延るからイジメはなくならないのである





理解できない場合、朝にやっているTVの連ドラを想像すると理解できるだろう


人に迷惑をかけまくって何の反省もしない非常識な人間の御都合主義のサクセスストーリ


・・・異常さが理解できなく、ただ刺激的という幼稚園児なみの精神で楽しんでいる人間がいるのが問題ともいえる






だか、やられた雪子ひがいしゃからするとたまったものではない


好き勝手やっておいて都合が悪くなると謝り罪をなかったことにする


あるいは屁理屈をいって誤魔化す


まったくのやられ損である





だったらこちらもそちらの流儀に従いましょう


やりたい放題やりましょう


いややってあげましょう




おまけに将来困った事があったら内心舌を出しながら謝罪の言葉を言ってやりましょう


雪子がそう思うのも当然であった





はっきりは言わない


ただ実行するだけ


直接言わないのはタダの嫌がらせである


だれが今から嫌がらせをしますよ、などと親切に教えてやるものかということだ





何も言わずに悪意をぶつける


どこまでもぶつける


延々と終わりなくぶつける


やられたことをそっくりそのままやりかえす


誰かが文句を言ってきても適当にのらりくらりとかわす


解決策を決して言わないし、匂わせない




やられたことをそっくりやり返しただけである


それなのに早々に音をあげてくる



やる分にはいいがやられたらダメ


ふざけているとしか思えない



まあそんなのだからイジメをするわけである





そんな雪子の胸の内を冒頭の雪子からの返事で勝田(姉)は理解した


結婚適齢期の年齢は伊達ではないのである


もっとも理解した途端、絶望が広がり床に崩れ落ちた


もう駄目だ、と






ソレを見た雪子は何も思わなかった


今まで虐められてきた事に比べれば小さい事である


いや同じことをやり返されたくらいで絶望するな


逆にそう言いたかった





雪子こちらは何度眠れぬ夜を過ごしたことか


この悔しさは何をやっても全然埋まらない


目の前で人が一人絶望したくらいでは胸にぽっかり空いた穴は欠片もふさがってない





その穴がふさがるまでは絶対にやめてやらない


雪子はそう思った




そしてそう思うとほんのちょっとだけ幸せな気分になった

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