33 勝田優子、婚約破棄される
「婚約を破棄させてほしい」
勝田優子は婚約者に喫茶店に呼び出されそう言われた
勝田優子ショックのあまり気が遠くなりそうになった
事の起こりは弟の勝田正が学校でイジメを行っていたことだった
中学から高校までの長期間、である
共和学院というのは勝田優子の母校であるからそのおおらかな校風を良く知っていた
和気藹々とした学校生活は人生でも一番輝いていたと今でも思う
ところが自分が卒業して数年でここまで変わるのか?!、というところまで悪化していた
まさかイジメの中心が自分の弟だとは思わなかった
おまけに喧嘩を売ったのがあの冷泉院だった
国内10位で勝田の家よりも上位である
それだけでも喧嘩を売るということはあり得なかった
身内には優しいが敵には厳しい
どこの家でも同じであるが冷泉院はその傾向が特に強かった
50年前の逸話がある
冷泉院が敵対する家にした仕返し話
御祖母様が直接見た話はリアリティがありすぎた
上位の家に喧嘩を売ったどころか、その相手があの冷泉院
弟のイジメの話を聞いて勝田の家は終わったと思った
いつか仕返しされるだろう思ったら標的は優子だった
日本舞踊の姉弟子が狙われ、月影流が瀕死の状態になった
おかげで優子は散々非難された
「数百年続いた流派を潰した」
本人を直接狙わず、その関係者を狙う
50年前の悲劇そのままであった
いやまだ終わっていないだろう
標的は姉だけではないはずである
父、母、兄、叔父、伯母、従兄弟全員だろう
そして私の婚約者
勝田の家は見せしめのために最後まで見逃されるだろう
それ以外の所を攻められる
直接やられればまだ対処の方法もある
ところが予想もしないところから攻められ、気が付いた時には足元に火がついている始末
バッサリ斬られた方がまだましの生き地獄だった
破滅一択の未来が決まっていた
婚約者の家もそう思ったようだ
縁戚関係になれば確実にヤられる
坊主憎ければ袈裟まで憎い
そんな精神で多大な迷惑を受けるだろう
50年前の冷泉院の悲劇を知っていれば想像するのは難しくなかった
何の瑕疵もないのに罰を受ける理不尽だと声をあげたとしよう
冷泉院雪子も同じだった
そう返事が返ってくるのは確実である
もう逃げ場はなかった
そんなわけで勝田優子は伴倒れを恐れた婚約者から婚約を破棄を告げられた




