表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰色景色  作者: 焼ミートスパ
第二章 破談景色
30/107

30 雪子、退路を塞ぐ

「満叔父さま、ごきげんよう」


雪子は父親の弟の冷泉院満に電話した




「おお、雪ちゃんか、元気だったかい?」


気さくな返事が帰ってきた





「いえちょっと困ってますの、ですから叔父さまの御力をお借りできればと思いまして・・・」


「なんでも言ってくれ!」


叔父の満は雪子に甘かった







冷泉院家は現在、長男の巌が当主である


雪子の父であった





だがそれは世間に対しての欺瞞であった


冷泉院家は末子相続なのである




当主が死んで代替わりした際、次の当主の在位期間が一番長くなる末子が当主になる


それが末子相続である


長男達は力を合わせて支えるのことから一番平穏な相続である






ところが戦後、西洋の文化が流れ込み長男が相続するのが常識となった


それが良かったのか悪かったのかは不明である


もっとも古今東西の暗殺の歴史を思い返せばおのずと判るものであるのだが





話を戻す




つまり冷泉院の本拠地である某地方都市に居を構える満叔父の家が本家である


当然のことながら権力もこちらの方が大きい





スパイから月影流が冷泉院ゆきこから離れ、別のパトロンを見つけようとしている事を雪子は聞いた


その先は政府の文化振興系であるとのことだった


そのため雪子の父親よりもパイプが強い本家本元を頼った、というわけである


もちろんちちおやにも相談済みである






雪子の父もそれなりに政財界につながりがある


だが、人は意外な所で足を引っ張られることがたまにある


そのために最初から本家を頼るように父親いわおから言われたのだ






後になって部外者扱いされたら場合、満叔父が盛大に拗ねるからであるのは秘密である


冷泉院家の兄弟の仲は本当に良かった






家の中で騒ぎを起こすと外部の人間に付け込まれるのは必然である


人の弱みに付け込む人間というのは世間にごまんといるのである


そんな御家騒動されて苦労するくらいなら日頃から付き合いをしておいた方が良いというわけである






「じゃあ詳細はまかせてくれ」


影の当主の冷泉院満は自信満々で電話を切った


やる気満々であった




実の所兄の巌から事前に聞いていた


学校でのイジメ


日本舞踊での破門劇





直接関われない分、満は悶々としていた


そして雪子から話がきたら即座に動けるように準備していた



・・・ゆきこのちちといいおとうとといい冷泉院の男達はイイ性格をしていた





冷泉院というのは現在国内10位の企業体である


もっとも頑張らなくってももうちょっと上位を狙えたりする


しかしあえて10位という全国区と地方区の境界あたりという微妙な地位にいる




ヘタに上位に行くと苦労が多い


侮ってくれるならそれはそれで好都合


そういうわけである





もっとも仕事よりも趣味に走る人間が多いというのが本音であった


現在ではろくに役に立たない着物を後援したり、である


もっとも今回の場合、それが功を奏したのであるから無駄にはならなかったわけである







パトロンという言葉がある


昔、絵画や演奏や演劇を後援した人間がいたからこそ現代において美術や音楽が楽しめる


そのことをきちんと理解している人間は少ない


さらに同様に後援できる人間はさらに少ない


効率廚の現代がオカシイのである




もっとも冷泉院はそのことを高らかに唱えたりはしない


ほとんど理解できる人間がいず無意味だからである





判る人間だけが判っていれば良い


そんな絆で結ばれた人間が雪子に手を貸した結果がどうなったかが判るのはもう少し後の事であった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ