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灰色景色  作者: 焼ミートスパ
第一章 灰色景色
3/107

3 主人公、職員室で担任に相談した

雪子は教室を出ると職員室に行った


そして職員室の前の廊下で立ち止まったままになった


どうしても足が動かないのだ




教室でイジメがあった


だから担任の教師に言う


ごく当たり前のことだ




人に言えば十人が十人とも賛同するだろう


しかし雪子は職員室の前で動けなかった





それはそうである


雪子にとっては人の悪い所を告げ口する行為なのだ


普通に『良い子』として生きてきた雪子にとっては悪い事である


15年間かけて染み付いた習慣というのは善悪を超えて雪子の行動を縛った




だれか声をかけてくれないかな?


雪子は職員室の前で現実逃避していた




たとえ雪子の中でナニかが『ブチッ』と切れていたとしてもどうにもならなかったのには訳がある




スマホでゴミまみれになった机を撮影するは簡単であった


対象が何も言わない机だからである




それに対して職員室にいる担任にイジメを報告するのは担任という対象がいる


本能的に恐れて足が前に出ないのも当然である









雪子が職員室の前で立ち止まって30分後


ようやく職員室のドアをノックした




これはいじめられっ子が担任に相談するという世界一の難度を持つ仕事を始めるには極めて早い時間であった


なにせ世の中には担任に相談することなく自殺する生徒が毎年4ケタも居るのだ


それを思えば奇跡的と言ってよいだろう




「入って良いぞ」


中から教師の声がしたので雪子は入った


一歩踏み出すと障壁が下がったため、二歩目は割と簡単に進めた


そして担任の机の前までは行けた




もっともそこまでだった




担任を前にすると雪子は何も言えなかった


15年間かけて身体に染み付いた『良い子』は伊達ではなかった

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