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灰色景色  作者: 焼ミートスパ
第二章 破談景色
29/107

29 雪子、スパイから話を聞く

「・・・というわけで淡雪さんを無視していくことに決定したそうです」


雪子はスパイから月影流の動向を聞いていた




スパイといっても元姉弟子の吹雪であった




先日、吹雪は雪子を蒼月りふじんから守れなかったことを謝りにきた


しかし雪子はゆるさなった


怒りにまかせネチネチと言葉責めした





生産性のない行為であるから以前の雪子ならば絶対にやらなかただろう




だが今の雪子はやった


心の底から軽蔑していることを隠さずに言葉にして吐きだした


次から次へと罵る言葉が出てくることに雪子は驚いたが止まらなかった


気が済むまで言葉を吐きだした頃、吹雪の心は完全に折れていた





それはそうである


雪子は被害者


吹雪は加害者


最初から勝敗が決まっていたのだ


勝つ訳が無かった





雪子は罵る言葉をこれでもかと出したおかげで日頃の鬱憤が晴れた


だがそれだけで許すつもりはなかった





「そういえば(月影流の)みなさんはお元気かしら?」


暗に情報を流せと催促した





それを聞いて青ざめる吹雪


年上な分、雪子よりも賢かったのだがソレが裏目に出た




言っておくが雪子の腹芸は稚拙だった


復讐の初心者なので仕方がないと言える






まあ


「お元気かしら?」


と心配しただけですわと逃げる算段をしているだけ進歩したと言える


以前の真面目なだけの雪子には絶対できなかったことだからである


・・・人間、頑張ればなんとかなるものである





まあそんな訳で吹雪は雪子からの催促を拒むことができなかった






雪子は着物を持っていたのに貸さなかった


あまりにも酷い行為なので窘めたら自分から辞めた


雪子は嫌がらせのため着物や演劇場に裏から手をまわした


仕方がないので頭を下げたのだが雪子は癇癪をおこして暴言を吐いた


あまりにも酷いので月影流は雪子への謝罪を止めることにした


でも月影流としては黙っていられないので雪子の非道を業界関係者に伝えることにした


それがスパイからもたらされた内容である




・・・雪子は頭痛がした




なるほど冷泉院巌ちちおやから聞いていた通り性悪説ですわ


正直な感想であった




人間の本質は悪である


だから気をつけなさい


本来はそういうことらしい






たしかに気を付けるべきですわ


雪子は思った


あまりにも愚かすぎるからである







元々は月影流から売られた喧嘩である


それなのに自分に利がないと判断すると謝罪がなくなる


それどころか悪評を広める


もはや救いようがなかった






当然雪子はそれを受け入れる必要はない


売られた喧嘩はとことん買う


相手が『もうやめた』と言っても関係がない


雪子がスカッとするまで続ける権利があるからである





・・・ちちおやからの洗脳きょういくは悪質であった


だが間違っているとも言えなかった







ちちおやが雪子への教育せんのうによく使った言葉があった


腐ったリンゴ


もうどうにもならないし、どうにもできない


後戻り不可の使えない存在のことである




よく間違われるのが


人間やり直しがきく


という台詞である





実際にやり直しがきくという場面は少ない


やり直すことができるのは神様だけである





実際にやってみろと言われて実証出来た人間は皆無である


そんなことを無視して自分の都合のよいときだけ使う人間が多い


まあ、反論には多大な苦労がかかるうえ、反論の最中に「人でなし」と罵ると勝つことができるためなのではある


使っていたら性格の悪い人間だと思えば間違いのないリトマス試験紙のような言葉である




話を元に戻す




月影流は


腐ったリンゴ


である






もはやどうしようもない


あってもなくても同じではない


雪子にとって存在自体が悪である


潰せば綺麗さっぱり晴れ晴れする


そんな存在となっていた




早い話、雪子にとって一切の忖度なく潰せる存在であった







ワンフレーズを使うことで雪子への印象を強くして洗脳きょういくを強化する手法は巌の得意分野である


そのおかげで雪子の教育の効率化が進み短期間で完了した


それが良かった悪かったのかが判る人間はここにはいなかった

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