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灰色景色  作者: 焼ミートスパ
第二章 破談景色
27/107

27 雪子、蒼月に突撃される

あけましておめでとうございます


今年もよろしくお願いいたします

「大変申し訳ありませんでした」


そう言って月影流の蒼月、いや青井優子が謝ってきた




雪子は月影流を辞めている


だから芸名である蒼月呼びをする必要はないのである




芸名はそれまでの研讃に対して尊敬の念を込めて呼ぶものである


それをしないというのは軽んじていることを意味する




まあ内心で思っても意味はない


だが形から入るという意味で雪子は会った瞬間から名前呼びにしていた






「ええ本当に」


雪子が素で返事を返すと優子の顔が固まった


内心で名前呼びしていたことが伝わったようである


・・・ここまでやると流石に判るものである






年上の私の方が謝ったのだからすぐにでも


「いえ大丈夫です」


と言った返事が帰ってくるだろう


そしてこの騒動はお終りになる


優子そう勝手にストーリーを考えていた






ところが雪子の方が上手であった


一言で見事に外された


そのため優子は不機嫌になった





それを見て雪子は満足した





感情が顔に出る人は好きですわ


イジリ甲斐がありますもの


雪子は心の中でそう思った






大体が口で謝罪するだけで許して貰おうなんてことが間違いなのである


おまけにろくに頭も下げないのだ


態度はどう見てもイヤイヤ謝っているとしか思えない


誠意のカケラも反省なかった





そんな謝罪でゆるされると思っている時点でおかしいのである


まあオカシな人間であるのは間違いがないのだが


・・・月影流にまともな人間がいるかと聞かれたら言葉につまるというのが正直な所ではあるのだか






月影流の家元が謝罪に訪れたのは先日のことである


それよりも遅くてどうするつもりなんでしょうね?


雪子はそう思った





いや案外、だからなの?


家元が失敗したから次矢が来た


そんな所かしら?


そう想像した





それとも家元がバカやった弟子に責任をとらせるために謝罪に来させたかしら?


雪子は相手の思惑が判らなかった


そのために困っていた




正確な復讐は正確な情報から


例冷泉院巌ちちおやの教育は正しかった


そう思った





だからといってリアルタイムでリアクションしなければらない現状


さあどうしましょうか?


雪子は思案した





謝罪したのだから許しなさいという態度


許さなければ逆切れする


一体これのどこが謝罪なのかと雪子は問いただしたかった





少しの反省も後悔もしていない


それなのになにやら不都合が生じているから形だけ謝る


まったくもってふざけていた




どんなリアクションが一番最適化を考えた




まず勝田家への復讐が一番


月影流からの喧嘩を高値で買うのが二番





・・・和解するという選択肢がないことに雪子は気が付いた


きちんと理詰めで考えれば最適解が出るものなんですね、と雪子は初めて気が付いた


そしてちょっとだけ成長したことを実感し、喜びに震えた




そして雪子は決断した


高値で喧嘩を買いましょう




雪子は今まで『良い子』であろうとした


たとえ嫌なことがあっても『良い子』を演じるためにガマンしてきた


でもそれが間違いだと気が付いた


真面目な人間が損をする世界だからである




だがら怒ることにした




もちろん怒鳴ったりする訳ではない


そんな品のないことは雪子のプライドがゆるさない


元より冷泉院の看板を背負っているのだ


家名に泥を塗ることはしない




自分の中にある怒りにまかせて相手を非難した


解決?


そんなことは考えない


ただ蒼月の先日の非礼を思いつくまま挙げていき軽蔑の言葉を投げつけた






あと蒼月の妹弟子だとか家元の上から目線の非礼も追加した


思いつく限りの非礼と無礼と非常識をあげた


まあ同じ話が何度も出たのは御愛嬌だ


理性を持っての対応が正しいとは限らないからだ





解決に向かわない不毛な会話


一見無意味に見えるようだが実は意味がある


雪子の溜まりに溜まったストレスの発散である





ストレスを発散させるためであればたとえ年上だろうが地位が上だろうが非を唱えるのは許されるのである


雪子は初めて気が付いた




まあこの世の中というのは


腕の悪い脚本家が書いた喜劇


なのである





真面目に生きてる人間がバカを見る不思議な世界


少々歯目を外しても全然問題がないのである


それに高校生(ただし登校拒否中)でありながら自力で気が付いた雪子はある意味偉かった




その日、雪子は蒼月を怒らすだけ怒らして満足した

















怒った蒼月の反応から月影流の現状が透けて見えることに気が付いたのはその夜、布団に入った時のことであった

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