12 共和学院緊急会議
主人公が通う学校の関係者が集まって会議をしています
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「生徒達から聞き取りをしたのですが何度聞いてもイジメなんてしていないとのことでして・・・」
担任の久住教諭が汗を拭き拭き報告しているのをみて学院長は思った
こいつはダメだ、と
冷泉院からの寄付金が振り込まれないと判った後、学院長は関係者を集めた
担任、学年主任、教頭、事務長、そして学院長、
イジメがあったと被害者から苦情が来た
被害者が声をあげればソレが真実だ
「証拠をだせ!」だのとフザけたことを言う加害者の言うことを聞く必要はない
被害者の証言だけで十分だというのが教育界の常識だ
まさかウチの学院でそんな常識を知らない人間がいるとは思わなかった
学院長は失望した
ついでに指導する学年主任や教頭も以下同文であった
最近の子供は小賢しいため『担任は知らない』との事態だと思っていた
まさか被害者から相談を受けていたなどとは思ってもみなかった
いい歳した大人で教師たるもののやることか!、と言いたい
それだというのに担任は言い訳をするばかり
・・・本当に頭が痛くなってきた
学院長は頭を抱えた
冷泉院の子供のクラスは生徒も担任も去年からの持ちあがりだ
ということはイジメは去年から行われていたことになる
だが担任はまったく対処をしていなかった
以前、生徒(冷泉院)から訴えが何度かあったそうだ
それを無視していたらしい
いや『いじめ』ではなく『いじり』だと思っていたそうだ
昨日も職員室で訴えたとのこと
朝一番のことだったので担任ばかりか他の教諭も聞いていたそうだ
そして聞いただけで誰も動こうとはしなかった
・・・同じ職場の先輩や学年主任ならばケツを叩いてでもやらせろ、と言いたい
本来なら同罪でもある学年主任は断罪する側に回っていた
「久住先生がまさか対処していないとは思ってもみませんでした」
学年主任は保身に走っているのを聞いた久住教諭の顔は真っ青になっていた
『裏切られた』と顔に書いてあった
それを見て学院長は、ちょっとだけスッとした
もっともスッとしている場合ではないのである
冷泉院には明日にでも学院長が謝罪に向かうとしよう
問題の寄付金不足はイジメをした生徒の家に電話をして冷泉院分を引き受けて貰おう
学院長はそう思った
イジメをしていたとか言ったとしてもどうせ
「証拠は!」
だとか
「ウチの子はやってない!」
だとか屁理屈をこねることだろう
ゴネたら学校に呼び出しで真綿で締めつけるようにギリギリ締めつけてやろう
共和学院を退学になったら社交界では死んだも同然だ
これだけ迷惑をかけられたのだ
絶対に搾り取ってやろう
学院長はそう決心した
もっとも冷泉院の寄付は巨額なのでそ分全部が集めれるわけはないため、学院関係者が苦労するのはちょっと後のことである




