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灰色景色  作者: 焼ミートスパ
第一章 灰色景色
11/107

11 事務長の絶望

主人公が通う学校の事務長の話です


どうやら無事?に寄付金が停止できたようです


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「冷泉院からの入金がありません!」


共和学院の事務長は事務員の言葉に耳を疑った





冷泉院といえば律儀を絵に書いたような家だ


家訓は


人を騙すな、騙されるな


という堅実と気転の良さで知られている


遅れるなんてことはありえない





他には


5分前に集合


石橋を叩いて渡る


もあるらしい




そんな冷泉院からの寄付は絶対に遅れるようなことはなかった




今までもなかったし、これからもないだろう


そう思っていた






そんな冷泉院からの寄付金の入金がなかったのだから確実に入金されないことは確定である


この緊急事態が引き起こす確実な破滅を予想して事務室にいる人間全員が固まった





それが今月の寄付金の入金最終期限 ~つまり各種諸経費引き落とし日前日である~ 今日の15時の話


事務所の固定電話で、すぐさま冷泉院社長に電話をかけた




「いつもおせわになっています、共和学院事務長の金田です」


と一通りの社交辞令の挨拶と、いままでの寄付金のお礼を言った後、今月の寄付のお願いをした




ダメだろうな


原因はわからないけど怒らせたんだろうな


どこのバカがやったんだ


頭をさげるのは事務室こっちなんだぞ


いい加減にしやがれ


そう思いつつ冷泉院社長に寄付のお願いをした




返事はやっぱり『No』だった




周りで様子をうかがっていた事務員達は会話の様子から確実に寄付がないことを察して絶望していた


頭を抱える者がいれば


がっくり崩れ落ちている者もいる


あるいは残業確実、いや帰れないかもしれないと家にラインしている?者


阿鼻叫喚の光景が広がっていた




冷泉院に電話をしながらその惨劇を見ていた


いや絶望したいのは責任者である事務長わたし


言えないけど言いたいから内心で叫んでいた





銀行口座からの引き落としの時に金がなかったらどうなるか?


通常以上の余計な手間がかかるのだ


優先順位をつけて、順位が低いものは猶予してもらうように交渉とかやることは膨大だ


心身共に疲れ果てる未来しか見えなかった




「え?イジメ?!」


事務長が電話をしながら声を上げた


これにより原因が知れ渡った



どこのバカだ!?


事務室内の人間の心が一つになった




ああさらに余計な仕事が増えた


今日からテッペン(24時)まで残業だ


それぞれが心の中で思った




事務長以下、事務員全員に絶望が広がった

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