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冒険者ギルドの受付担当は異世界転移者 作者:猫乃 縁子

第0.5章

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0.5-32一人で街へ行けるもん

 異世界に来て一月半ほど、もう12月になった。フィルに「後は実体験で学ぶようね。やっぱり教科書とか聞いた話よりも得るものが多い筈よ」と常識勉強は大体終了し、家事もそこそこには学んだ、しかし料理は相変わらず不得手ではあるが。
 イルミンにも「体捌きや魔獣解体は別にしても、それだけ魔法を使いこなせれば街の往復程度ならば大丈夫でしょう」と、免許皆伝とは云わないが何とかなるとのお墨付きを得た。忌避感は相変わらず残っている、どうしても割り切れない、拭い切れない部分はある。


 「じゃあ、行ってきますね」「はーい、宜しくね。気を付けて」とフィルに送り出されて、いざ街へ。
二角馬(バイコーン)レティに跨がりいざゆかん。





 先ずは森を常歩で街道を目指す。冒険者ギルドの美人受付嬢ユーアとの手紙のやり取りは、段々ビジネス文書感が抜け、今ではもう少しフランクだ。イルミンとフィルの家に世話になっていることを羨ましがられたり、逆に私からは珈琲の情報はないかと問うたり。美人だが、素の文章だと柔らかいというか幼いというか、可愛らしい部分が垣間見える。

 就職に関しても幾つか、渡り人であることを隠すことや目立ちたくない、危なくない事などの希望を伝えたら、良いところがありますよ。と返事が来て、詳細は是非こっちに来た時に、と書かれていた。

 今のところが危険な依頼を受けない冒険者で。今後となると、冒険者を続ける但し同じ方向性のパーティメンバーを募集してか、美容エステを経営するや、常識な量と料金での運び屋、などどうにもこうピンと来ない案しか浮かばないので、彼女の提案を楽しみにしている。

 森の終わりが見えてきた「じゃあディアン、云った通りにね」『うむ、盗賊が警戒に引っかかったら迂回だな、理解しておるぞ』「よろしく」

 街道に出て、とことこ。日差しは暖かく、しかし手と顔に当たる風は冷たく、総じて爽やかだ。

 途中『主、盗賊か休憩中の商隊か、判断がつかない』とディアンから申し出、鑑定さんは?と訊くと『視界に収めて貰れば理解ります。』と眼鏡レンズに。うーん、…迂回で。

 進路を90度曲げて右手側の浅い森に入る。葉は大分減っているが木陰に入るときゅっと冷え込む。魔法の衣類の自動調節はサイズだけじゃなくある程度気温にも対応しているようで、身体や足先などは良いのだが、顔と手先は、ディアンを伸ばさないとカバー出来ない。しかし顔と手先を全部覆ってしまうと、なんと云うかとても怪しい感じなので……


 森に入り、大きく半円の進路を取って街道に戻る。多分、もう大丈夫だろうと、街道とことこを再開。

 あの丘を越えれば街が見えてくる。レティから下りありがとうと撫でる。最後に休憩、馬具をまとめて収納し、騎乗時にはすぐ着けられる事を確認しているので、大丈夫。レティには水を『(ホット)』で微温湯にして林檎とともに与えて、私も水をごくりと一口。
 まだ食事となる草も生えている、今月いっぱいは大丈夫でしょうとイルミンも言っていたので「じゃあ、帰りも宜しくね」と私は歩き出す、レティは草原の方へ駆けて行った。

 丘を越えて、門前の入場列に並ぶ。ポケットには冒険者証(ギルドカード)を準備して、私の番が回ってくる「お願いしまーす」と軽い調子で手渡して、街へ。





 今は13時過ぎぐらい。これならちょっとレティと駈歩すれば日帰りも大丈夫だなぁと考えながら、先ずは冒険者ギルドを目指す。鑑定さんに、眼鏡レンズ上にナビゲーションを出して貰いながら。この鑑定ナビとても便利なんだけど、道を覚えられなさそうである


 冒険者ギルドへ入ると、この間よりも少し閑散としていた、夕方が混むのかな。
1番解体買取カウンターへ向かう、丁度ユーアが担当で、両者笑顔でお久し振りです。と手紙でやり取りしてたはずなのに、ちょっと照れる。しかし向こうはプロフェッショナル、すぐキリッとして「解体ですか?買取査定ですか?」と。
 「買取査定をお願いします」と冒険者証(ギルドカード)を出しながら言うとユーアはカウンターから身を乗り出し手招きするので近づく、耳打ちするように小声で「あの、大きいですか?」と問うてくる。
 先日はごめんなさいと心の中で謝り「個々の大きさはそうでもないけど、結構量が多いです」というと「なら大丈夫ですね」と云われたが、「…一気に冒険者階級(ランク)が上がるぐらいあるんですけど…」と返す。

 ユーアは少し考えから又小声になり「…そうしましたら、階級(ランク)が上がる分ギリギリだけ今日の買取にしてください。1日2階級(ランク)は上がりませんので、纏めて出すと次の階級(ランク)分に数えられず勿体無いです。それと低ランクの物だと次の鉄級(アイアンランク)で級数のカウントに入らない物も有りますので、先に低ランクの物からお願いします」とちょっとお得で裏技チックな事を教えてくれた。ありがたい

 収納内をソートして、先ず低階級(ランク)魔獣の討伐証明部位を大量に出す、次いで5個1セットにしてある癒草、魔草、魔芋、毒蛇肝、魔茸、も出して、合計級数100ちょいになるように数えながらカウンターに出す。
 「じゃあ、取り敢えずこんな物で」「…流石…凄いですね、これだけでも木級(ウッドクラス)一ヶ月って量じゃないですよ」と云われてしまった。


 正直、冒険者階級(ランク)は、そこまで上げなくても良いかなとも思うが、貰うものは貰っておくかと云ったところである。

 査定に掛かる時間を訊いて、じゃあその頃に、と一旦去ろうとした時、もう一度美人に手招きされ、小声で「アメリさん、私今日早番で15時半には上がるんですけど、お茶とかどうですか?」と云われた。勿論喜んで!といった勢いで縦に頷く「では、15時半過ぎに査定結果を確認しに来てください」小声解除「お待ちしております」と最後は普段の調子。


 さて、それじゃ先ずは頼まれ物の買い出しをさっさと済ませて、お茶の時間まで色々探し物をするか、と冒険者ギルドを後にするのであった。
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