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あの日の彼女が

「つまんなそうね」


 終電で会社から帰宅すると、部屋にあの日の彼女が立っていた。


「何が楽しくて生きてんの?」


 学生時代の姿のままの彼女が言う。


「帰ろうよ。あの日に」


 あの日と同じ、甘く切ない声で彼女が誘う。


「……けど」


 私はあの日と同じに躊躇って、そこで彼女は寂しく笑った。


「なら起きないと」


 目が覚める。ぼんやりした意識の中、床に転がる睡眠薬の空箱を見た。


「ああ……」


 あの日を生きた私は、今日もまた生きている。


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