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ガードが綻ぶように
幼馴染さん視点
「さっきの短歌」
渋る後輩さんを送り出し、私はすぐに彼に訊いた。
「久しぶりだな、花見。昔は毎年してたのに」
はぐらかすように彼は言う。あれは万葉集にある『花は咲いてもあなたはいない』という意味の歌だった。
「しかしお前が花見に誘うとは」
「変わらないと」
私は首を横に振る。
「私はここにいる。それに」
こちらに駆けてくる彼女。
「……そうだな」
ガードが綻ぶように彼が笑う。
そう。
なによりあなたはここにいるのだから。
幼馴染さん視点だと、やっぱりシリアス。




