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そんな幼馴染が心のガードを
まだ幼馴染視点。
二年前のあの夜。
額装された両親の写真を抱え、泣き方も忘れたような表情でボンヤリと座っていたあいつの姿は、まだ私の目に焼き付いている。
それからあいつは笑わなくなった。声もかけづらくなり離れる友達も増えた。だから私はあいつの側に居続けたのだ。
「いつか話すと言った」
そんなあいつが心のガードを少しずつ開いている。
「そう」
だから喜ばしいことなのだ。
「よかった」
だから私は微笑まなければいけないのだ。
私は――。
幼馴染さんの心はフクザツ。




