53/100
ちょっ、あのガード! そこ代われ!
まだ続き。
「今日はバレンタインだったか」
先輩があたしの巨大チョコをどう鞄に入れようか思案しながら言う。
「貰わないのですっかり忘れていた」
それは朗報とほくそ笑みつつ、念のためあの女の食指が動いてないか確認する。
「あの幼馴染からは?」
「貰わんな」
ほほう、これは我が勝利……と思ったところで先輩が苦い顔で続けた。
「逆にあいつはバレンタインとか言って俺をケーキ屋に連れ込んで奢らすんだ」
ちょっ、あのガード! そこ代われ!
ぶつかり合う食指。




