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あたしの先輩の部屋にガードがいる
先輩が風邪を引いた。チャンスである。
「ふふふ、看病イベントは恋愛の基本」
一夜漬けでリンゴの皮むきとおかゆの作り方を母に教わり、拒否防止にアポなしで先輩を急襲する。恋愛は拙速を尊ぶ!
「先輩! 後輩が来ましたよ!」
嬉々とインターホンを押したあたしのテンションは次の瞬間に最安値を更新する。
「あら、後輩さん」
あの幼馴染。
「あいつのお見舞い? かわいいわね」
そしてニッコリと余裕の笑み。
先輩の部屋にガードがいる!
後輩の看病観はとても古典的。




