41/100
ピアノ弾き
この流れで全然別のものをぶち込んでいくスタイル。
「ピアノ弾き、思い出の歌を演ってくれ。忘れちまったが、こういう時に演る曲だ」
ジントニックの爺さんがしわくちゃのチップを渡し、ピアノ弾きが昔の歌を弾き語る。
バーに集まる
いつもの顔
映画スターを
夢見るトムが
物書き志望の
ビルに言う
『いつかここから
抜け出すさ
酒もきっと
死ぬまでには
尽きている』
ピアノを聴いて
皆で孤独を呑むけれど
独りで飲むより
ずっといい
爺さんはジントニックをもう一杯頼み、ピアノ弾きに手を上げた。




