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あたしの先輩はガードが固い

「先輩」

「なんだ後輩」


 あたしが文芸部の部室に入ると、仏頂面メガネ男子の先輩が一人で本を読んでいた。


「クリスマスのご予定は?」

「あんなのは家族や恋人のいる人間がやるものだ。一人暮らしの俺には縁がない」


 先輩は本から目も動かさずに返事する。


「どっちがいいですか?」


 目を上げた先輩に重ねて訊く。


「家族と恋人」


 先輩は再び本に目を落とす。


「後輩で十分だ」

「じゃあそれで勘弁しましょう」


 まったく先輩はガードが固い。




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