二百文字小説置場３

降り止まない雨

　降り止まない雨はないとは誰の言葉か。

　雨が三カ月降り続けている。

　山荘での厭世生活は道路の寸断と送電の停止により完全に孤立した。

　幸い保存食の備蓄はあったが、ネットは断絶しラジオも雑音しか入らない。為す術のない私は安楽椅子に座り、タアタアと窓を叩く雨音を聴きながら歴史の本を読んでいる。

　最後のテレビでビルを押し流す濁流を観た。

　文明はもう洗い流されただろうか？

　最後のページが近い。

　雨はまだ降り止まないでいる。