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救いの糸【赤眼のセンリ番外編】
拙作「赤眼のセンリ」シリーズの200文字番外編です。
あたしは赤眼のセンリ。芸を売って生計に変える芸人さ。
今朝は懐空きの腹空きに川で釣りをしている。鮎の一匹でも釣れれば御の字だが、厄介って奴はこういう時に友釣れすると決まってやがる。
ほれ、人の手首が釣れやがった。
地獄に垂れた救いの糸を掴んだ手のように、ズルズルと手首が手首を掴んで釣れてくるから、途中で糸がぷつりと切れた。
後に残るは針なし糸が宙ぷらり。
おいおい、あたしの空き腹は、誰が救ってくれるんだい。




