1/100
幼馴染と五年ぶりの夏
「よ」
夏の畑にそう片手を上げて現れたマキが田舎に帰ってきたのは、五年ぶりのことだった。
「麦わら帽子に白シャツって、なんかCMみたいだな」
「金麦的な?」
そう笑う彼女が離婚したことは、狭い町ですぐに噂になっていた。
畑仕事の手を休め、畑の端に並んで座りお茶を飲む。
「覚えてる?」
マキが聞く。
「子供の頃の結婚の約束」
お茶を吹く俺。
「冗談よ」
笑う彼女が背伸びする。
「夏だねー」
高い雲から風が清々しく吹いている。
金麦的な夏