贈り物
にゃん椿3号様とオカザキレオ様主催企画
君にプレゼント企画参加ブツ
「おとーさん、サンタさんっていないんだよね!」
「うそっ! ちゃんといるよね!」
二人の小さな子供たちはそっくり。
怒ったように泣きそうな表情も鏡合わせのようにそっくりです。
お父さんである彼は仕事をおしまいにして雑誌のクリスマス特集記事を見ているところでした。
「おとーさん!?」
急な出来事に驚きはしましたが、雑誌を横に置き、お父さんは笑って小さな男の子たちを手招きします。
「サンタさんがどうしていないって思ったのかな?」
膝にまとわりついた二人はお父さんをじっと見上げます。
「いってるのきーたの」
「おにーちゃんのだれか」
二人は少し年長のお友達が道で『サンタなんかいるわけない』と話しているのを聞いてしまったのです。サンタさんからのプレゼントはお父さんお母さん達が買ってくれているのだと。
「そっかぁ」
「おとーさん、サンタさんいないの?」
二人は必死に見上げます。
「サンタさんはいるよ」
「お店にいるサンタさんはにせものでしょ。そんなことしってるもん!」
「あるまいとでしょ。しってるもん」
否定したくないのについ一生懸命否定する二人にお父さんは二人のおでこをつつきます。
「サンタさんいないとどうなると思う?」
「プレゼントがなくなる!?」
「でも、おとーさん達が買ってくれてるんでしょ?」
二人のすがる眼差しにお父さんは笑うのを止めて二人をじっと見ました。
二人はコクリと唾を飲み込みます。
お父さんが大事なことを話してくれそうです。
「じゃあ、そこから本当のことを話そうね」
「ほんとうのこと?」
「そう、おとーさんが小さなころに聞いたおはなしだよ。聞くかい?」
二人はおとなしく頷いてお父さんに撫でてもらいます。
年上のお兄ちゃんやお姉ちゃん達が心配そうに様子をうかがっています。
お父さんは小さく笑って他の兄妹たちも寄るようにうながして話しはじめました。
「実はね、サンタさんのプレゼントを最初に受け取るのはお父さんたち大人なんだよ」
「え」
驚きの声をあげたのは小さな二人だけではないようでした。
お父さんはゆっくり見回してから内緒ごとのように囁きます。
「サンタさんの本当の贈り物はね、かたちのないものなんだよ」
「かたちのないもの?」
二人はよくわかりません。
「クリスマスが近づいて楽しそうなお前たちがはしゃぐ姿を見て、お父さんは嬉しい。お前たちが、みんながここにいてくれてありがとうって感じる」
二人はお互いを見つめて、お父さんやお姉ちゃんお兄ちゃんを見回します。
「ありがとう?」
「みんなが元気でありがとう」
嬉しいのはなんとなく二人にもわかります。
お母さんやお父さんがいないと嫌だからいる方が嬉しいのも知っていました。
でも。
「サンタさん、かんけいないよ!」
「ありがとうって感じれることを思い出させてくれるのがサンタさんだよ。かわいくて大好きなチビちゃんたちが嬉しそうならとても嬉しい」
「だいすき」
その言葉は二人も大好きです。
ポワポワした気持ちでつい繰り返します。
「サンタさんのプレゼントはかたちがないんだよ。でも、確かにありがとうって心を届けてくれる」
ありがとうを届けてくれるのがサンタさん?
二人はなんだか違う気がします。
「それでこの嬉しい気持ちはみんなに分けなきゃいけないんだよ。ひとりじめしちゃうとサンタさんが来なくなっちゃうからね」
タイヘンです。
来なくなれば『大好き』や『ありがとう』がなくなってしまいそうです。
「えー。おとーさん、ひとりじめだめー」
「めっだよ。め!」
「だから、ひとりじめせずにお家を飾ったりご馳走を作ったりするんだ。準備は楽しくて嬉しいからね」
クリスマスのごちそうは二人とも大好きです。
お家の中もキラキラキレイ。
「えー。めんどいよー」
「あれ、嫌だったのかい?」
お兄ちゃんの一人がグチるとお父さんが尋ねます。
「……んー、めんどいけど、やじゃないよ。チビども喜ぶし」
「チビども、ジャマしてくるけどな」
「ジャマじゃないもん」
ヒドいことを言うお兄ちゃんに違うって主張しようとするとお父さんがお話の続きです。
「そして、お楽しみ、サンタさんからおチビさんたちへのプレゼント」
「しってるもん。おとーさん達が買ってくれてるんでしょ?」
おじゃまと言われた二人はちょっぴり膨れて言い返します。
「そーだよ。だから大事に受け取ってほしいな」
お父さんはにこにこあっさりです。
「ふぇ?」
「サンタさんじゃないの?」
サンタさんだよってお父さんは言うと二人は思っていました。
それなのに、買ってくれてるのはお父さん?
サンタさんいないの?
二人はぐるぐるよくわかりません。
「サンタさんがね、今年一年良い子だったからコレが良いんじゃないかなって選んでものをお父さんたちは買ってくるんだよ?」
「選んでるのサンタさんなの!?」
「えっ、とーさん嘘つき!」
お兄ちゃんの一人が叫びます。
「なんでサンタさんが選んだものが、電卓だったり、計算ドリルなんだよ!」
お兄ちゃんにも言いたいコトがあったようです。
お兄ちゃんを見て、お父さんを見ます。
「それはきっと、サンタさんがそれがお前に必要だと思ったんだろうね」
お父さんはにこにこしてます。
二人はよくわからなくてお互いの顔を見ます。
手の届くとこにいます。
お父さんの言うサンタさんからの贈り物は『ありがとう』と『大好き』二人ともが大好きなものです。
大好きな人たちが贈ってくれるものにはたくさんの大好きが詰まっています。
「おとーさん、ひとりじめしない?」
「もちろん、そんなことしちゃうとサンタさんの声が聞こえなくなってプレゼントを選び間違えちゃうからね」
「えー。まちがえちゃだめなのー」
「そうだね。いい子はそろそろおやつ時間かなぁ。準備するから手を洗おうね」
「はーい」
良い子のお返事で二人は膝から離れます。
「計算ドリル」
「苦手は克服しなきゃいけないね」
「どーしても?」
「出来れば、将来へのプレゼントだよ。選ぶのは自分」
「ありがとう。大好きだけ?」
「どういたしまして。喜んでもらえて嬉しいな」
「ちげーよ!」
「サンタさんからの贈り物かい?」
「うん」
「あと、愛してると……そうだね、さようなら、かな」
「え?」
「サンタさんに、限らないけどね」
「そこじゃなくて、なんでさようならなんだよ」
「出会えなきゃさようならはないだろう?」




