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144/179

妖姫、出発する


 144-①


『……武刃団を捕らえて我が前に引きずり出せ』


 魔王シンが放った一言で、きさきの間の妖姫達はいさかいを起こし、そしてそれは血で血を洗う殺し合いにまで発展してしまった。


 そして死闘に次ぐ死闘の果てに、最後まで生き残ったのは、妖禽ようきん族第一王女、ヨミだった。


 全ての敵を倒し、妃の間を出たヨミは、血塗ちまみれの身体を洗い、ボロボロになった服を着替えた後、出陣の挨拶あいさつをすべく魔王シンへの拝謁はいえつを願い出た。


 一人、謁見の間でひざまずき、魔王を待つヨミの前に、漆黒の鎧に身を包んだ魔王シンと、冷徹な雰囲気を纏う、長い髭を蓄えた老魔族……魔王軍参謀、カンケイが現れた。

 シンが玉座に座り、そしてカンケイはシンの隣に立った。


「……おもてを上げよ」

「は……ハイ!!」


 シンに言われて、ヨミは顔を上げた。


「魔王様……只今より武刃団の討伐に向かいます!!」


 高らかに武刃団討伐を宣言したヨミだったが、カンケイは一つの疑問を抱いた。


「そなた……確か妖禽族第一王女のヨミ殿と申したか……そなた一人でか? 他の姫君達はどうなされた?」

「え? 一人残らず死にましたけど……」

「何じゃと!?」


 あまりにも呆気あっけなく放たれた、あまりにも衝撃的な回答にカンケイは思わず声を荒げた。


 各種族の姫達がヨミを除いて一人残らず死んだ…!? 戦場のど真ん中でもあるまいに、どうしてそんな事態に陥るというのか。まさか、人間共の放った刺客か……いや、警戒厳重な魔王城に忍び込み、数十名もいた妖姫達を殺戮するなど人間如きには絶対に不可能だ。一体何が……


「あいつら全然大した事なかったですよぉー」

「何じゃと!? ま、まさか……!?」

「ハイ、私が全員、ほうむりました!!」


 とんでもない事をにこやかに言い放っておきながら、ケロリとしているヨミを見て、カンケイは唖然とした。


 ……何故なにゆえここまでケロリとしていられるのか……妖禽族とはカエルの魔族だったろうか?


 カンケイは再び声を荒げた。


「き、貴様……自分が何をしたのか分かっておるのか!!」

「もちろん!! 魔王様の妃に相応ふさわしき者は、このヨミただ一人にございます!!」


 駄目だ、コイツ馬鹿だ!! カンケイは目眩めまいを起こしそうだった。目の前の小娘は自分がした事の重大さを何も分かっていない。

 この城に集った妖姫達は千差万別、多種多様な魔族を服従させる為の大事な人質なのだ。それを殺したとあらば各種族の反発を招くのは必定ひつじょう、下手をすれば、叛乱はんらんすら起きかね──


「ご安心下さいカンケイ殿!! 魔王様に刃向かうやからはこの私が皆殺しに致します!!」

「そ……そなた、わしの思考を読んだのか……?」

「凄いでしょう?」


 得意げに胸を張り、微塵みじんも悪びれる様子のないヨミを見て、カンケイはシンに進言した。


「魔王様、この者を速やかに処刑しましょう」

「面倒臭い」

「はっ!? し、しかし……この者は、大事な人質達を殺害したのですぞ!!」


 カンケイは食い下がろうとしたが、シンの口から放たれたのは、カンケイの思いもよらない言葉だった。


「……死んだと言っても魔族であろう? 構わん、ヨミよ……行くがいい」


「しかし魔王様…」

「構わんと言っている……!!」


 シンの圧倒的な威圧感を前にしては、カンケイも引き下がるしかなかった。


「ヨミよ行け。但し……奴らは、この私が自ら手を下す。生かして我が前に引きずり出すのだ!!」

「かしこまりました、魔王様!!」


 それだけ言うと、シンは謁見の間を退出し、カンケイもヨミを一睨ひとにらみした後、シンに続いて退出した。そしてその直後、跪いていたヨミは “ばたーん” とブッ倒れた。


「うぐぐ……あのジジイ……頭の中で私に拷問ごうもんを……」


 ……簡単に言えば『大量の梅干しの画像を見ると、なんか口の中が酸っぱくなる現象』の何万倍も強烈な奴である。


 あまりにも繊細せんさいかつ、精緻せいちかつ、鮮烈せんれつな、自分が拷問される光景を見せられて、実際に拷問されている訳でもないのに、ヨミは痛みを感じてブッ倒れてしまったのだった。

 大抵たいていの者が、手も足も出ず翻弄ほんろうされるヨミの読心能力を逆手に取って、即座に制裁を加えるあたり、流石は魔王軍の参謀といったところか。

 しばらくして、痛みから立ち直ったヨミはゆっくりと立ち上がった。


「……よぉぉぉぉぉしっ!! 殴り込み頑張るぞ-----っ……って」


 やる気満々のヨミだったが、重大な事に気付いてしまった。


「し、しまったぁぁぁぁぁ!! 武刃団が今どこにいるか聞くの忘れたぁぁぁぁぁ!!」


 その後、武刃団が現在いると思われる場所と、目的の武刃団を率いているのが因縁の相手、唐観武光である事を知ったヨミは魔王城を勢い良く飛び出した。


 こんばんは!!


 いつも私の拙作を読んで頂きありがとうございます。

 いやー、上手い下手は置いといて、やっぱ書くのって楽しいですね!!


『どんな展開にしたら楽しんでもらえるんかなー?』とか

『残虐ファイトは果たしてウケるんやろか!?』とか

『そもそもこの文章、分かりにくくないやろか…』とか(苦笑)


 ブックマークやポイントの上下で一喜一憂したりも含めて、やっぱ書くのって楽しいです!!


 いかんせん未熟者ゆえ、読んでて『作者馬鹿じゃねーのw』と思われる事も多々あるかもしれませんが、実際作者は馬鹿なので笑って許してやって下さい。(笑)


 下手なりに読んで頂いている方に少しでも楽しんでもらえるように、あーでもない、こーでもないと頑張っているつもりなので、応援して頂けると幸いです!!


 それでは!!


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