第2話 「朝練」(和真の視点)
3人はたわいもない話をしていつものように東中に着いた。校門をくぐり抜け、下駄箱で靴を履き替える。
下駄箱にラブレター入ってないかなと思ったが案の定入っていなかった。悠人、瑛太もそれは同じようだった。
そして俺はバスケ部の部室に向かうため、他の2人に別れを告げた。
「またあとで」
「ういーっす」
「おう」
俺は部室でバスT(バスケのTシャツ)とバスパン(バスケのパンツ)に着替え、体育館へ向かった。
体育館のドアを開けると、中には誰も居ない。
すると、横から声がした。
「相変わらず早いね、神村君」
「相変わらず小さいな、東は」
「一言余計でーすー!」
口を膨らませながら未央は怒った。
こいつは東 未央。バスケ部マネージャー。
身長147cmと非常に小さいものの、みんなからはそれが逆に「小動物みたい」と女子からも男子からも愛される人気者である。
「またシューティングしてるの?」
未央が上目遣いで聞いてくる。
(可愛い…)
(こいつ、こんなに可愛かったっけ?)
化粧っ気もなく、すっぴんのはずなのにめちゃくちゃ可愛い。というか、こいつが化粧しているのをみたことがない。
「ああ、そうだよ」
「相変わらず努力家だね、神村君は」
「そ、そんなことねーよ」
女子からそう言うこと言われると、めっちゃ恥ずかしい。ありがとう!と言いたかったが、恥ずかしさがすぐ出て来て否定してしまう。これだからダメなんだよな、俺。
俺はもくもくとシューティングをする。
未央はなにも話しかけず、俺の姿をじーっと見ていた。
身長は小さいのに、出るところは出てる。その不釣り合いさがなんだかエロかった。
やめてくれ、恥ずかしい…
未央にドキっとすることなんて一度もなかった。けど、春休みはさんで久しぶりに見る未央は、なんだか可愛くてドキドキした。
そんな2人だけの時間は長くは続かず、バスケ部の部員達がぞろぞろとやってきた。
俺は若干落胆しつつも、バスケ部部員にさっさと準備しろと発破をかける。
「よっしゃ、練習始めっぞ!」