夢幻遺跡 後 愛夢編
流れ的には前回の続きとなるので
出だしはナレーション的な感じにしてます~。
~博麗神社 朝後~
「後悔しても知らないわよ!!」
博麗神社にて
紅白の巫女と黒白の魔法使いが
夢幻遺跡を求めて争っている中
我々の主人公...もとい
博麗の覡である、博麗愛夢はというと...
~幻想郷 博麗神社と人里の間にある森 朝後~
「....ッ」
「グルルル...」
現在、妖怪達に囲まれていた。
妖怪の数は5...
俺を中心にひし形のような陣形をとって俺を囲んでいる。
今までの俺だったら
こんな妖怪、容赦なく倒していただろう
だが...今の俺は違う。
いや...変わってはいない
言うならば、妖怪への恨みは変わってないし
こいつらを見る度に殺してやると、憎悪が湧いてくるのもな。
けど俺は...
こいつらを殺す事は出来ない...
それは何故か...
幻想郷の者を導く純粋種になりつつあるからだ。
以前、俺は紫義母さんに言われた
「愛夢自身が変わらなければならない」
これだけならば、自分は変わる必要なんてない
今までの俺でも十分によかったと思う。
しかし...紫義母さんは
「愛夢が死ぬと幻想郷が崩壊する」
と言った...。
この言葉には二つの意味があった。
1つはそのままの意味だ
俺が死ぬと幻想郷が崩壊する。
そして2つ目は
役目を終えずして死を迎えれば幻想郷は崩壊する。
まぁ...まとめて言えば
嫌でも純粋種になって、嫌いな妖怪を含め
全ての者を導けって事だ。
はぁ...何て皮肉な運命なんだろな...。
自分の運命に、呆れていると
自分の正面に立つ妖怪が、こちらに接近戦を仕掛けてくる。
正面の妖怪が動くと、他の妖怪も
一斉に動き出した。
妖怪達の攻撃を避けて、距離を空けるのも手だが...
ここは大人しく結界を張って防ぐとするか。
俺は自分を中心に結界を張る。
「八方二重結界」
自分を中心に、二重の結界が現れる。
「グガァッ!!」
妖怪達の攻撃は、俺の結界によって防がれる。
「ギッ...ガァ!!」
しかし...
結界に防がれても尚、攻撃を続ける妖怪達。
「よせ!やめろ!!」
妖怪達の攻撃を防ぐ程度の結界だが
妖怪達からしてみれば、かなり強固な結界。
そんな結界を攻撃し続ければ
妖怪達が自分で傷つく。
頭の良い妖怪なら攻撃をやめるが
こいつらは低脳妖怪だ。
ただ相手を殺す事しか考えていない。
「下がれ!下がれと言っているだろ!!」
自分が傷付く事なんて知った事かと
傷付きながらも攻撃を止めない妖怪達。
こいつらッ...!!
自分は、結界の中から
妖怪に向けて弾幕を放とうとする。
「.....ッ!」
ダメだ...!抑えろ!
こんな事でいちいち感情を昂っていたら...
いつまで経っても変われない。
そうだ...感情を殺してでも
俺は変わらなければならない。
変わらなければ、俺一人の責で
大切な妹の、霊夢の未来を壊してしまう...
霊夢だけじゃない...紫義母さんの未来も...
いや...幻想郷に住む者達、皆の未来が壊れてしまう
だから変わる...未来の為に!
「ガァアッ!!」
妖怪達が動かないのなら俺が動けばいい話だ。
自分は結界の中で、印を結ぶ
すると...。
「ギッ!?」
結界に触れた妖怪達が
個別で、結界に囲まれる。
俺がしたのは、俺を守る結界に触れた妖怪達を結界に閉じ込める...
つまりは、結界に触れた者を、別の結界に閉じ込めるように印を結んだのだ。
自分は、八方二重結界を解除し
妖怪達から離れる為に空へと飛ぶ。
「ガァッ!!」
空から結界に閉じ込めた妖怪達を見る。
妖怪達は結界の中で、結界を壊すように暴れている。
チッ...あれじゃ自滅するだけだな...
自分は、妖怪達との距離を
十分にとってから、妖怪達を閉じ込めていた結界を解除する。
結界を解除した後、自分はすぐにその場を離れた。
~妖怪達から離れて5分~
俺は、妖怪達から5分ほど飛んで離れた。
当然言うまでもないが
妖怪達は追ってきてはいない。
にしても...
「はぁ...」
俺は大きな溜息をつく。
戦闘を避けるのが、こんなにも疲れる事なのか...
俺は妙な疲れを感じていた。
別に激しく動いた訳でも、力を多用した訳でもない。
それなのに疲れが
のしかかるように感じていた。
「帰って休もう...」
そうだ...帰って休もう...
縁側に座って、ゆっくりしながらお茶でも飲むとしよう...。
うん...そうしよう...。
俺は、博麗神社へと向けて飛ぶ...が...
「あれ...何か忘れてるような気がする...」
そう...何かを忘れている気がする...
.....
あれ...?そう言えば...妖怪達と戦う前に
何か持ってたような...あっ!!
「人里で買った食材をあそこに置いてきてしまった!!」
まずい!まずいぞ!!どうする!?戻ってとってくるか!?
いや...それだとまた妖怪達があそこに居たら戦闘になる!
2回目も自分を抑えれる気がしない...。
しかし、また人里行って食材を買うのもなぁ...めんどくさい...。
「そんな困ってる愛夢に呼ばれて飛び出て、ゆかりん参上♪」
「いや...呼んでませんし...それと、いきなり目の前に飛び出てくるのやめてください...心臓に悪いです」
「冷たい...」
グスン...と
泣き真似をする紫義母さん。
それはそうと...
「それで...何か用ですか紫義母さん」
「意地悪な愛夢には教えませーん」
プイっと頬を膨らませて
いかにも怒ってますと言う仕草を見せる紫義母さん。
とりあえず、俺は忙しい身なので...
「あ~...でしたら急いでるのでこれで」
そう言って、手をヒラヒラと振り
どこかへ行くフリをする。
「あぁ!待って!御願い無視しないでー!!」
そう言って、俺に後ろから抱きつく紫義母さん。
やれやれ...
「それで...用件は?」
「忘れ物よ~」
紫はスキマから、野菜やら何やら
食材が入った袋を取り出す。
「.....」
しまった...やっちまった...
紫義母さんが手に持って、俺に見せびらかすものは
俺がさっきから考えていたもとい!
求めていた食材の入った袋!!
ここで素直に渡してくれれば好感度もビックリな程上がるのだが...
「ふふふっ...」
くっそー!!
何かしてくれたら渡してもいいけどぉ?って顔してるよこの人?!
「いらないの~?」
くそぉ...仕方ない...
ここは覚悟して...!
「な...何をお望みで?」
さぁ...こい!
何が望みだ!?答えろ!!
「そうね~じゃぁ...」
食材をスキマに放り込み
手を伸ばして、俺の両頬をホールドする紫義母さん。
「ふぇ...?ムグッ!?」
「ん...」
ほんの少しの沈黙。
俺の両頬をホールドしていた手は
ゆっくりと離れ...
「ふふっ♪」
満足そうな笑みを浮かべている紫。
そして、再びスキマから
食材の入った袋を取り出して、愛夢に渡す。
「はい♪」
「....えっ....あ....ありがとうございます」
えっと...何をしてたんだっけ...
あっ、そうそう...確か、紫義母さんに何がお望みかと聞いたらキスされたんだっけ...って!?えぇ!?
突然の事に状況が理解できなくて
思考が少し停止し、今やっと状況を理解し
理解した途端恥ずかしくなる。
「あらあら♪顔が真っ赤よ~?」
「ふぇ!?」
いかん...ちょっと言葉がおかしくなってきている!
落ち着け俺!このままでは思うツボだぞ!!
一体、何と戦っているのやら...。
そんな感じに、少し暴走気味の愛夢を見て
ニヤニヤと笑みを浮かべている紫。
義理と言えど、その光景はまさしく家族そのものだった。
~賢者ニヤニヤ中~
「ふぅ...お腹一杯だわ」
「あぅあぅぁ...」
何がお腹一杯なのか...この賢者。
その反対に、未だにオドオドとしている愛夢に紫は
「最近頑張ってるご褒美よ」
「ふぇ?」
「これからも、その調子で頑張りなさい(やばい...お持ち帰りしたいわ!!)」
そう言って、スキマを開き
その場から居なくなろうとする紫。
「え...あっ!ちょっ!紫義母さん!」
「ん~?」
スキマから頭だけ出して
話しを聞こうとする紫義母さん。
うわぁ...何これキモイ...
「えっと...その...ありがとう」
さっきの恥ずかしさもあって
少し顔を紅く染めながら、ありがとうと
礼を紫に言う愛夢。
愛夢の礼に対し、紫は
「どういたしまして♪」
母が子に見せるような笑顔で
どういたしましてと言い
スキマに完全に消えていった紫。
「あ~...何だか余計に疲れた...」
しかし...あぁ...俺のファーストキスがぁ...
まさか紫義母さんに奪われるなんて...
何気にショックを受けながら
俺は博麗神社へと帰った。
はい~今回はここまで~
次回は...実は未定なのです...
いや...ちょっとどうしようかと悩んでいてね...
教授達の現れ方...。
※ここから先はオマケ
「桜花ァ!!出てきなさい!!」
「あ~...どったのぉ先生?」
「どったのぉ...じゃないわよ!!何よあれ!」
何気にショックを受けながら
うわぁ...何これキモイ...
「何よこれ!!」
「あぁ~...それ?いや...だってスキマから頭だけ出てたらキモイじゃないか...それに、愛夢は今までキス経験ないし」
「だからって(何気にショックを受けながら)はないじゃない!!」
「うるさか!歳を考えんさい歳を!!」
ブチ...(←キレる音)
「なるほど...そこまで死にたいのね...!」
「ちょっ!まっ!」
.....
「元気ねぇ...あの二人」
「そうだな」
「ところで兄さん」
「ん?」
「あれはどう言う事なのかしら?」
「えっと...その...紫義母さんが...強引に?」
「罰よ...」
「え?」
「紫とキスしたんだから私ともよ!!」
「えっちょっまっ!ムグゥ!!」
※舌使いが大人でしたby愛夢