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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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なりそこない落下型ヒロイン

作者: 並中半平

落下型ヒロインというものがあるらしい。

ヒロインがどうこうというよりは一つのジャンルとして存在している。

朝起きたら隣に美少女が寝ていたとか、街角で食パン加えた美少女にぶつかっただとか、物語の起点として確立されたスタイルとも言える。

日常の延長に物語があるのなら、そんな始まりは必要ないのだろうけれど、非日常性を持たせるのならそういったスタイルは十分に有効な手段だろう。

ミステリーは事件が起きないと始まらないし、ラブロマンスなら恋する2人は欠かせないし、コメディーなら笑えなきゃどうしようもない。

戦記だったら戦わなければ、戦記とさえ呼べないだろう。

落下型ヒロインがどういうジャンルで登場するか多く知っている訳ではないが、学園ラブコメには落下型ヒロインのスタイルは十分に使い勝手がいいものではないだろうか。

別に落下型ヒロインに限ったことではない。

先にも挙げたような朝起きたら隣に美少女が寝ていたとか、街角で食パン加えた美少女にぶつかっただとか、そんなものも使い勝手がいいのだろう。

使い勝手がいいからこそ使い古されてきたスタイルだろう。

使い古されたからといって黴臭いとか、時代遅れだとか言って否定する気は毛ほども起きない。

スタイルは同じでも手を変え品を変え、作者自身の個性を出すのだから流石と言うべきだろう。

ともかく、落下型ヒロインである。

なんの変哲も特徴もない僕が遭遇したのもそういった存在であった。

とは言え、落下して来たのは確かに女性で可愛らしい少女であったのだが、彼女は既に終わっている。終わりつつある。

この現実の世界で、魔法や超能力なんてものもない訳で、人に翼など生えていない訳で、人は飛べないのである。

故の落下。故に自由落下。

毎秒9.8mの加速度を持って、持たされて、落下以外の自由を取り上げられて、不自由なまま落下している。

落下しながら、少女は笑っていた。

微笑でもなく、苦笑でもなく、失笑でもなく、爆笑でもなく、ただただ少女は笑っていた。

声も上げずに満面の笑みを浮かべて、そして堕ちた。

落下を止めた。自由落下から自由になったのだった。

脈を取るまでもなく、少女の死は確定した。

落下の衝撃で顔は潰れ、頭は割れ、四肢は胴体から千切れている。

少女は地べたに這いつくばって、見るも無残な姿を晒していた。



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