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かごめ  作者: 安土朝顔
1/7

危険な童謡遊び

         

             かごめかごめ 籠の中の鳥は いついつ出やる

             夜明けの晩に 鶴と亀が滑った 後ろの正面だあれ?


 優子(ゆうこ)が住んでいる近くの横断歩道のメロディーが、

年を感じさていた色を持った信号機から、真新しいものに替わってメロディーも

一新されてしまったようだった。

 童謡のカゴメカゴメの歌。

 信号が青になり、数人の人が横断歩道を渡って行くが、優子は正面を見つめたまま動けないでいる。

青の信号が点滅を始め、急ぐ歩行者が優子の肩にぶつかって我に返る事ができたが、

また信号は赤になり、次の青信号まで待つ羽目になってしまった。

 鳥井優子は大学に通うため今年の春から一人暮らしをしている。

 駅からは歩いて15分程で自転車であれば5分ほどで駅には着く事ができるが、

最近運動不足なため、歩いて駅まで歩くのが日課になっていた。

 優子にとってこの歌は聞きたくも無いメロディーだった。

 小学生の頃によく友達と遊んでいたカゴメは、最悪の思い出になってしまった。

 

 当時、仲が良かった(まさる)くん、(とおる)くん、(あい)ちゃん、美鈴(みすず)ちゃん、美枝子(みえこ)ちゃん、

そして優子でよく近くの神社で遊んでいた。

 だがある日突然に、美枝子ちゃんが風邪をこじらせて亡くなってしまう。

 仲の良かった優子を含め5人は、最近まで一緒に遊んでいた美枝子の死を受け入れられず、ある事をし始めた。

 美枝子ちゃんがいる様に皆で遊んだのだ。そして皆で何度目かのカゴメカゴメの遊びをした時、

「後ろの正面だあれ」

と名前を言う時に、勝くんが美枝子ちゃんの名前をだした。

 その時、死んだはずの美枝子ちゃんの「はあい」という声を皆が聞いた。

 美枝子ちゃんがいる様に遊んでいたのに、声を聞いたとたん一瞬の間があり、

子供達の顔が蒼白へと変わると、示し合わせたように各々が叫びながら皆が神社から逃げ帰った。

 いつの間にか、いるかの様に遊びながらも自然に美枝子ちゃんが死んだのを、

皆が受け入れだしていたのに、ここにはいるはずの無い美枝子ちゃんが返事をしたのだ。



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