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滅びの魔女は、今日もおにぎりを頬張る  作者: バネ屋
第四章 文化的アプローチと因果
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#23 休日も学園の賑わい


 GWに入ると、初日から休日出勤をすることにした。

 あのどこに出しても恥ずかしくないほどの本の虫のインドア派だった私が、お休みの日なのに自ら職場に出向くなんて。まさか熱血体育教師の熱血ウィルスが感染したということはないとは思いますが、世の中、何がどうなるか、一寸先は闇とはこのことですね。

 私立更科学園は、学業だけでなく部活動にも力を入れており、運動部に限らず文化部も盛んで、どの部もGWの連休中も積極的に活動しているそうだ。だから、新米教師の私にも、顧問として参加するようにお達しがあったのだろう。


 平日と同じように朝から出勤して、まずは職員室へ顔を出すと、教職員の半数程度の方が出勤していた。部活動の顧問をしている方のほとんどが出勤されているそうで、みなさん普段の授業と違って運動ができるジャージなどの軽装姿。ちなみに私は、普段の授業の日は露出を控えたパンツスーツですが、今日は珍しくスカートを履いてきた。

 私だって女子ですからね。たまにはこんな日だってあります。


 職員室では、書道部の顧問をされている幸村先生に声をかけた。


「おはようございます。今日はよろしくお願いします」


「あら、おはようございます。早いですね」


「はい。いつも早起きなので、今日も平日と同じように、出勤してしまいました」


 せっかちだからではないですよ?仕事熱心ということにしてほしいです。


「張り切ってるんですね。部員の子たちも、今日は笹錦先生が見学に来ると聞いて楽しみにしてましたよ」


「書道は高校以来ですので、私では何も指導できるような資格もスキルもないですが」


「大丈夫ですよ。書道部は書道教室とは違いますからね。生徒達が向上心を持って自分たちで考えて上達していくものですから。顧問はそれをフォローするのが仕事です」


「なるほど。それなら私にもなんとかなりそうですね。枯れ木も山の賑わいと言いますし」


「またまた謙遜して。私のクラス(幸村先生は3年2組の担任)でも噂になってますよ?『笹錦先生の授業を受けた男子も女子も、みんな笹錦先生の虜になる』とか『魅了の魔術でも使ってるんじゃないか』って。最近の子は魔術とか転生とかそういうの好きですからね。ラノベっていうのかな?」


「ええ・・・」


 幸村先生が天命論者たちの騒ぎぶりを見たら、なんと言うのだろうか。

 いえ、彼らの狂信ぶりを見せるのは危険ですね。せっかく学園内で築いた私の居場所が、脅かされかねませんよね。

 結局、消去法で残った書道部、合唱部、家庭科部の3つと、体育教師にお願いされた剣道部をGW中に見学させてもらうことにした。

 

 書道部の開始時間まで少しあったので、それまで他の部活動の様子を見に行くことにした。GWの連休中だというのに、校内は活気があって賑やかだった。音楽室では吹奏楽部は活動を始めているようで、楽器の音合わせの音が聞こえてくる。グラウンドでは、野球部やサッカー部の部員たちのランニングの掛け声が校舎まで聞こえていた。

 廊下や昇降口にはさまざまな練習着姿の生徒が行き交い、私の顔を見ると、生徒たちのほうから「笹錦先生!おはようございます!」「笹錦先生も休日出勤ですか?」などなどフレンドリーに話しかけてくれる。

 赴任してまだ1カ月なのに、生徒たちはみな私の顔と名前を覚えてくれていて、この学園に受け入れられていることに、胸の内でじんわりと喜びの感情をくすぐる。だからなのか、私からも「おはようございます。みなさん、怪我をしないように頑張ってくださいね」と自然と声をかけていた。


 校内をうろうろと見て回っていると、約束していた時間の10分前になったので、職員室に戻り、持参した自前の習字道具を持って幸村先生と一緒に、書道部の活動拠点である第3校舎の多目的室へ向かった。

 担任や副担任ではない私は、これまで授業以外で生徒と直接コミュニケーションをとる機会が少なかったので、部活動の顧問としての参加は、より近くで生徒たちとのコミュニケーションの場にしたいと考えていた。なので、今日はそういう目線で見学しようとの意気込みです。


 多目的室に到着すると、幸村先生のあとに続いて入り、軽く挨拶をした。


「はいはい、みなさん。笹錦先生が見学に来ましたよ」

「おじゃまします」


「笹錦先生来た!」

「やったー!マジで来た!」

「リアル真乃様降臨!?」


 なぜか熱烈な歓迎ぶりだ。

 それにしても、真乃様って。



  



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