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パレードの幕開けは空から

初心者なので暖かい目でご覧ください

巨大輸送機のハッチ前。この学園の教師、フラッシュ組担任:バルト・アイゼンが、緊張で顔をこわばらせる新入生たちを睨みつける


「___おい、ガキ共。飛ぶ前に一度だけ、自分たちがどこに立っているか思い出させてやる。」


バルトは空中にホログラムを投影し、島全体の俯瞰図を表示した。


「知っての通り、この世界には『異能』という超常の力が存在する。

だが、外の世界じゃそれは管理・抑制されるべき『異物』だ。

……だが、この太平洋の真ん中にある独立異能都市『リベルタ・パレード』だけは違う」


バルトが足元――雲の下を指差す。


「ここは、異能を持つ者が、異能を誇るために作られた唯一の聖域。

人口十万、その全てが何らかの_異能@ギフト_を宿した異常な街だ。

ここでは法や常識じゃなく、テメェの魂から絞り出した『リバティ・コード』の強さが全てを決める」


「それと、世界中からはみ出し者が集まるが、ここでは日本語が共通語だ。郷に従え」


バルトは機体のレバーに手をかけ、不敵に笑った。


「普通の学生気分で来たなら今すぐ降りろ。ここから先は、退屈を殺すための二十四時間のパレードだ。……いいか、この街に『普通』なんて言葉はねぇぞ!」


ハッチが開き、轟音と共に絶景が広がる


【……外では『神』扱い、ここでは『出来損ない』か。面白いね、この街】


機内の誰かが言った言葉は、気付かれることなく空気に溶けていった。


__________________


「__死にたい奴から先に飛べ。入学式を始めてやる」


高度三〇〇〇メートル。_パレード・ガードナー@警察_仕様の巨大輸送機のハッチが開いた瞬間、猛烈な風と、バルト・アイゼンの怒声が教室――ならぬ機内に響き渡った。


眼下に広がるのは、太平洋に浮かぶ宝石のような円形の島。

超高層ビルがネオンを放ち、北の険しい山脈と南の美しいビーチが共存する独立異能都市

___『リベルタ・パレード』だ。


輸送機のハッチが開いた瞬間、誰よりも先に飛び出したのは銀色の影だった。


「ヒャッハー!この街の風はいい匂いがすんなぁ!___行くぞ、お前ら!」


大神 牙狼だ。

彼はパラシュートも使わず、四肢を広げて空を駆ける。

白神 裕仁はそれを見て小さく毒舌を吐く。


「……馬鹿だ、あいつ。着地の衝撃で骨折れればいいのに」


「おい、白神」


「何でもないですよ!」


たまたまバルトだけに聞こえていたらしいその毒舌を注意された裕仁はしらけた顔で誤魔化す

さすが、彼は演技派だ


「……それにしても……あはは、バルト先生。さすがに

『登校初日はスカイダイビングで校庭の目標地点に降りろ』

っていうのは、校則違反じゃないかなぁ?」


ガタガタと震える機体の中で、白神裕仁はお人好しな苦笑いを浮かべ、自らの白いジャージをぎゅっと握りしめた。


「うるせぇ、白神。この街にルールなんてねぇ。あるのは『楽しむか死ぬか』の2択だけだ。」


バルトが不敵に笑い、無造作に一人の生徒の背中を蹴飛ばした。

「わああああっ!?」

と叫びながら落下していくのは、マフィアの若頭、不幸体質レオンだ。


「え、レオンくん大丈夫!?」


「貴方、人の心配してる場合? ほら、行くわよ!」


隣でそう言ったのは、美しい尾びれを人間の足に変え、特注の飛行スーツに身を包んだ人魚のマリンだ。

その肩には、マリンの幼なじみ 妖精リリーが


「ひゃっほー! 最高!」


とはしゃぎながらしがみついている。


「……先に行くぞ、裕仁。下で待ってる」


銀髪を風に靡かせた氷室刹那が、足元から氷の結晶を吹き出させながら、彗星のような速さでダイブしていった。


「ちょ、みんな待ってよ! 彩葉さん自撮りしてる場合じゃないって!」


「ちょっと男子ぃ、絶景なんだから静かにしてよね!ほら、あんたも入りなさいよ!」


ヤクザの娘、彩葉がスマホを構えながら裕仁を無理やりフレームに収める。


裕仁は覚悟を決めた。自分の内側、まだ空っぽで白い「器」が、仲間たちの放つ色とりどりの熱量に当てられて、トクンと熱く脈打った。


「___よし、最高の始まりにしよう!」


裕仁が雲海へと身を投じる。


眼下には、十万人の市民が自分たちの「初登校(パレード)」を、屋上や路上から見上げ、酒やジュースを掲げて喝采を送っているのが見えた。


「リバディ・コード発動!!」


___ホワイト・ライオット!!


叫んだ瞬間、裕仁の視界から「恐怖」が消えた。


心臓がドラムを叩くように激しく脈打ち、体内の「器」が摩擦熱で白く焼けつく。全身から噴き出した白い蒸気が、高度三〇〇〇メートルの冷たい大気を一瞬で沸騰させた。


(あぁ、綺麗だ……)


裕仁は目を細めた。

先を飛ぶ刹那の氷が、レオの放つ漆黒の魔力が、彩葉の極彩色のオーラが。


それぞれの「生きた証」が空に溶け、残響となって漂っている。裕仁の白い光は、それら全ての輝きを強引に吸い込み、自分の光へと変換していく。


落下速度が跳ね上がった。

ただの「落ちる石ころ」だった少年は、今、自らの光を推進力に変えた「彗星」へと変わる。


「……おい、マジかよ」


先に着地していたレオが、顔を真っ青にして空を見上げた。


「不幸だ……あんなデカい光が、ピンポイントで俺の上に落ちてきたら、今度こそ俺の人生完勝だぞ!」


「逃げなさいよ貴方!

白神、そのままじゃ激突するわよ!」


マリンが叫び、刹那が咄嗟に校庭の地面を巨大な氷のクッションで覆おうとする。

だが、その彗星は地面に激突する直前、一筋の七色の弧を描いて急停止した。


ドォォォォォォォォン!!!


爆風が校庭の砂を巻き上げ、視界を白く染める。

やがて砂が落ち着いた中心には、膝をつき、肩で息をする裕仁の姿があった。

白いジャージの隙間からは、まだ消えやらぬ熱が蒸気となって立ち上っている。


「やりすぎた……かな?」


裕仁が顔を上げ、爽やかに笑った。

その背後には、腕組みをして仁王立ちする阿久津先生が立っていた。

彼はパラシュートも使わず、ただの自由落下で先に着地していたらしい。黒いコートを翻し、鋭い眼光で生徒たちを見下ろす。


「…三秒遅い。それと、校門を少し削りやがったな、出来損ないが」


阿久津の言葉は厳しかったが、その口角はかすかに上がっていた。

街のあちこちから、この無謀な「登校」を見守っていた市民たちの、地鳴りのような歓声と口笛が聞こえてくる。

裕仁が周りを見渡すと、そこには唖然とした表情の仲間たちがいた。

氷のクッションを用意しようとしていた刹那は手を止めたまま固まり、

レオは

「……あんなのが近くに落ちてきて無傷なんて、逆に俺の不運が仕事してないだろ」

と腰を抜かしている。

そんな喧騒を、重厚な革靴の音が踏み潰した。


「…立て、出来損ない共。ここは戦場じゃねぇ。

神聖な学び舎だぞ。」


阿久津先生だ。

その背後には、最新鋭のホログラムと巨大な和太鼓が鎮座する、異様な光景の「式典会場」が広がっていた。


「さあ、始めようか。___全校生徒、整列!!」


スピーカーから、市長フェスタの陽気な声が爆音で響き渡る。

それと同時に、校舎の屋上から何百もの色とりどりの火花が放たれ、昼間だというのに街の空が七色に染まった。


これが、プリズム・アーク学園の入学式。

厳粛な儀式などではない。それは、これから始まる六年間という名の「戦い」の幕開けを告げる祝祭だった。


「すごい……」


裕仁は思わず声を漏らした。

壇上に現れたのは、和服の上に漆黒のコートを羽織った老人___学園長のクォーツ・マキシマム。


彼はマイクも使わず、ただその場に立つだけで、荒れ狂う異能者たちの熱気を一瞬で静まらせた。


「新入生諸君。おめでとう。この街に、また新しい色が加わったことを歓迎する」


学園長の声は穏やかだったが、その瞳には「白の器」を持つ裕仁を射抜くような鋭さがあった。


「この街において、退屈は罪だ。だが、自分勝手な力はただの暴力だ。誰かのためにその色を使い、誰かの光に自分の光を重ねろ。それが、この学園で学ぶ唯一の『法』である」


裕仁の隣で、リリーが小さく頷いた。

マリンは

「……おじいちゃん、相変わらず話が長そうね」

と、人間の足でバランスを取りながら退屈そうに欠伸をしている。


「さあ、拳を上げろ! 君たちのパレードは、今この瞬間から始まったのだ!」


その宣言を合図に、街中のスピーカーからアップテンポな祭囃子が流れ始めた。


生徒たちは一斉に自らのリバティ・コードを空へ放ち、光と音が混ざり合うカオスなパレードが始まる。

裕仁は、まだ熱を帯びた自分の右手をそっと見つめた。


(誰かのために……この色を使う…)


「おい、裕仁。いつまでボーッとしてる。行くぞ」


刹那に背中を叩かれ、裕仁はハッとして顔を上げた。

レオも、彩葉も、マリンも、リリーも。みんながそれぞれの輝きを纏い、最高に楽しそうに笑っている。


「うん、行こう!」


裕仁は走り出した。

バルト先生が「……おい、列を乱すな!」と怒鳴る声さえ、今は最高のBGMに聞こえた。


___これは…ここ、《退屈だけが罪の街》【リベルタ・パレード】の終わらないおかしな日常だ。

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