第三幕:嘲笑の歌、残酷な予言
やあ、君。夢が死んだと告げられた時、君はどうする? 泣くか、笑うか、それとも新たな種を植えるか。第二幕の宣告から、黒妖精の歌がジェイの心を切り裂く。海軍の隷属か、海賊の残酷か——ファウストの魂が、予言のダイヤを輝かせる。さあ、歌を聴こうぜ!
やあ、君。君の夢は、君を本当に生かす事ができるのかい?
誰かに言われて、ほいほい決めてない?
よし、君、この物語を見つめよう。
そして、夢を見直そうぜ!
第二幕は、我らがジェイ・フール少年が黒妖精ダンケリットと出会い、彼女から夢を死んでると宣言されたところから始まる。
楽しい記憶のないジェイ少年。
今まで、一度も。
しかもーー夢が死んでるとまで言われる。
息はできないは、顔はくしゃりと歪むは、下唇を噛むは、もう、大混乱。
「このーーこのーー人でなし!」と妖精にいう。
「人でなしは、お互いさま。夢を死なせた人でなし!アンタのマヌケで、あたしゃ、大損さぁ。どうしてくれる、大マヌケ!ジェイ・フールっ!あたしゃ、これで帰られない!」
そうして、少年の肩でわんわんと泣きだす。
「ご、ごめんーーダンケリット。君の黒髪、すごくキレイ。ボク、君をダンケって呼んでいい?」と彼女の頬を指で突く。彼女はガブリッと噛みつくと少年の血はドロっと一粒だけ流れた。
「好きなように呼ぶがいい。あたしゃ、どうでもいいさ。そんなこと。」
彼女から噛まれた指はそのままで。
「ボクの夢は、
父と同じ海軍将校になる。
ーーそれしか道がない。
兄さんも、海軍にはいる。
ボクらは、貴族で規律があるんだ。」
少年はポツポツ語りだす。
だけど黒妖精は嘲笑い、
彼のために歌ったのさ。
少年の夢は
父親と同じ海軍の道。
海賊たちを
追いつめ
縛り首にすること。
女王陛下や
父のような将校の
足の裏まで
舐めあげなきゃならない。
まったくイヤな夢なのさ。
将来は、兄の影。
のそのそついて、
囁かれる名はジェイ・フール。
「そんなのイヤだ!」と少年は詩をやめさせた。
「だけど、ボクにはそんな道しか残されてない」と顔を下に向けた。
黒妖精は彼にいう。
「海賊の夢がある。きっとあなたは、残酷な海賊として歌われる」
少年のは顔を黒妖精に向けた。
「どうしてさ?」
黒妖精は大笑い。
「臆病者じゃ話にならない。
賭けてもいい。
後世じゃあなたは大悪党。
誰もが避ける鼻つまみ。
そうね。」
彼女は少年の髪を掴む。
「例えば、片手がフックの
黒いダイヤなんて名前はどう?」
妖精から髪を取り返しながら、
少年は聞き返す。
「フックだって?
強そうだけと、なんだか怖い。
ボクの手は切り落とされたくないよ。
ーー誰に斬られるの?」
「さあ、誰かしら。
それはきっと神のみぞ知る」
黒妖精は、少年の肩に座り込む。
「ねえ、ジェームズ。あたしゃ、眠いよ。寝床を作っておくれ。可愛い寝床をーー」
少年は海賊の夢を育てていくんだ。
(こうして、第三幕はフックの幻影と共に幕を閉じる。)
第三幕は、フックの幻影と共に閉じる。妖精の「神のみぞ知る」が、少年の運命を曖昧に染める——臆病者から大悪党へ、この賭けは勝てるのか。次幕では、夢の種がむくむくと芽吹く。君の予言は、何を囁く?




