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第二幕:黒き光の誘惑と、死んだ夢

やあ、君。口走る言葉は、時に災難を呼ぶ。でも、それがファウストの魂を目覚めさせる鍵さ。第一幕の鞭の痛みから、テームズの霧が一つの光を運んでくる。黒い羽根の妖精が、少年の孤独に忍び寄る。さあ、夢の宣告を、共に聞こう。——語り部ファウスト、君の友だ。

やあ、君。思わず口走る言葉が、ボクらを災難に巻きこむことが度々ある。

これは、その事を知らない少年の物語さ。


第一幕では、鋭すぎる知性ビンタを入寮初日から、年増女の寮長にかました我らがジェイ・フール。彼はファウストの魂を受け継ぐ者だ。


口走る言葉の犠牲は、尻にしこたま鞭打たれ、どうにも眠っていられない。

少年は個室の中で、母を呼んで泣いていた。そしたらテームズ川から一つの光が飛んできた。

黒い羽根をした黒髪ボブカットの女の子。目はキラキラ。金色に輝いている。


その名はダンケリット。ネバーランドから迷い出た、黒羽の黒妖精だ。

彼女は口が悪い妖精で、人間世界を見学しに来たけど、迷子になってた。

「あらあら、子供の泣き声したと思ったら、ママを呼んでる弱虫さん」と、自分のことは棚に上げて、大笑い。

部屋を飛び回り、ジェイの鼻をちょいと捻る。少年は痛さのあまり、目をつむる。それを面白がる黒妖精。

「どしたの、どしたね、男の子。あたしゃ、ダンケリット。ーー黒妖精だ。泣き虫坊や。名前はなんだい?」と歌いながら、少年の耳をひねる。

「いたい!なんで、こんな酷いことする?」とジェイは言う。

「あらあら!うすのろ、言い返す。あたしを夢かと思わないように、ちょっと目を醒させてただけさぁ」と言いながら妖精はウインクする。

「ボクは君を知っている」

「あたしゃあ、あんたを知らないよ」

「妖精だ。本で読んだ。」

「そうさ、そして、アンタはマヌケ」と高笑い。

「マヌケじゃない。ジェームズだ。」少年は顔を下に向けた。

「だけど、その名前。もう使われない。今日からボクはジェイ・フール。余計なこと言ったせいで」と少年は下唇を噛む。

「言わない口より、よっぽどマシよ。お尻がいたいの、ジェームズ?」と彼女は囁く。

「あたしに舐めさせたい?ジェイーー」と微笑む彼女の目は怪しく輝く。

「もしかして、妖精の魔法?」と少年は期待の眼差し。

「てめえで、唾をつけときな!」と少年に平手打ち。不条理このうえない。


「ねえ、君はどこから来たんだい?」と少年は彼女に問いかけた。

彼女は部屋をぐるぐるかけて、少年の前まできて、止まる。

「もっとまわれば、きっとどこかを思い出す。ああ、そうだ。夢の島。ネバーランドさ。こりゃけっこう!」と彼女は笑う。

「夢の島、ネバーランド?どういうところ?」と妖精に近づく。

「そこには、色んな猛獣、インディアン、幻の魔物たちとかいる場所。あたしの故郷さ。ああ、帰りたい」と少年の肩にとんで、腰掛ける。

「ねえねえ、フール。あんたの目、見込みある。ネバーランドについてこない?きっと、アタシら、もっと仲良くなれるさ。ここに来たいと思ってきたけど、もう帰りたくなっちまった。アンタを島にご招待!」

彼女はジェイの夢みがちな心を利用して、故郷に帰りたがる。

上手いこといって、少年に妖精の粉をかぶせて、彼女の乗り物として活用するつもりだった。


君は妖精の粉については、知ってるかい?楽しい記憶で夢見心地で空を飛ぶやばい粉。はは!

ぶっ飛ぶのさ、全身が。


妖精の口車に乗った少年は、彼女の粉をかけてもらう。


だが、不思議なことに空を飛ぶ気配もない。粉のかけすぎで、少年はクシャミが止まらない。


これには妖精は驚いた。

医者のように、ジェイ少年の耳を見て、鼻をみて、口を見て、目を見て思案顔さ。


恐ろしいことに、

ジェイ少年の夢は殺されてた。


妖精は少年に告げる。

「あんたの夢は死んでいる。空を飛べない。永遠にーー」


ーー永遠に?


(こうして、第二幕は少年の見開いた目で幕を閉じる。)

第二幕は、妖精ダンケリットの不条理な毒舌と、ジェイのクシャミの失敗で幕を閉じる。死んだ夢の宣告が、少年の心に影を落とす——この言葉は、ファウストの渇望を呼び覚ますのか、それとも永遠の呪いか。次幕では、嘲笑の歌が響く。君の夢は、まだ息をしているかい?

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