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いたばさみ

 翌朝、賢次の家から二人が帰ってきてないと連絡がきた。

 賢次の母は面倒見が良く、早くに母親を亡くしたばかりの浩介にも、実の息子のように扱ってもらっていた。

 居候している白虎もかなりお世話になっているに違いない。

 父親が出張で家を空けるようになってから、よくご飯を食べさせてもらっていた。

 賢次の母曰く、今さら息子が一人増えたところで変わらない、らしい。

 小学生の頃は、その優しさに甘えていたが流石に今は気を使ってその数も減っていった。

 その賢次の母親がわずかながら動揺している。浩介は受話器を切る。

 敵にやられたのかもしれない。

 胸のざわめきが収まらなかった。


「どこ行くの」


 朱雀は問いかけた。

 浩介の様子を見て察したのだろう。

 その声は落ち着いていた。


「ケンちゃんたちを探さなきゃ」

「やめなさい」


 紅い髪の少女は静かにだがはっきりと通る声で言った。


「やめなさいって、どうして」

「どうしてもこうしてもないわ。今私たちが助けに行ったって暴走して終わるのがオチよ」

「それは」

「暴走した私たちを仮に前止めたやり方をしたところで、成功するとは限らないし、それを出来る人間はいないわ」

「なっちゃんは?」

「あの娘にあんな危ない賭けをさせるわけ?はっきし言って死ぬわね」

「じゃあどうしたらいいのさ!」


 浩介は焦っていた。

 親友が危険な目にあっている。助けに行きたいがどこにいるかもわからないし、第一生きてるのかどうかもわからない。

 今すぐ飛び出して行きたいところを止められているのだ。

 穏やかにいられなかった。


「話しは聞きました」


 ドアから玄武たちが入ってくる。


「わっ」

「ちょっとあんたたち、不法侵入よ!」

「ごめんね、こーちゃん」

「玄関は閉めてたでしょ、どうやって入ってきたのよ」

「お風呂場からです」

「お風呂場!?」

「うん、お風呂場から経由した方が早いって玄武ちゃんが」

「私は洗面所か台所がいいと言ったのですが」

「わーーわーーわーー」

 玄武の能力の一つで、水が流れて繋がっている場所であればどこにでも移動が可能らしい。


「なんで風呂場なのよ」

「うっかりシャワーを浴びてるところを遭遇したかったらしいです」

「わーーわーーわーー!!」

「あんた痴女なんじゃない?」

「そんなわけないでしょ!」


 言い争いを始める二人。


「あなたも苦労しますね」

「そ、そうだね」

「こらそこ!なにため息ついてんのよ」

「そうだよこーちゃん!」

「ええっ!?」


 とばっちりをくらう。


「二人とも、浩介の取り合いは後にして白虎と賢次たちの件を優先すべきでは?」

「え?」

「わーわーわーわーわー!!!」

「あっあんたバカでしょ!?そんな訳ないでしょが!」

「えっと」

「いいからあんたは黙ってる!」

「あぅ」


 訳も分からずシュンとする。


(困ってるこーちゃんも可愛い!)


 夏樹は相変わらずだった。


「あの二人を助けるためには、まず浩介たちが暴走しなければ良いわけですね」


 そのようなやり取りを気にすることなく玄武は話を進める。


「それはそうだけど、そんな方法ある?」

「出来ないことではないと思います」

「本当!?」

「ただ、多少時間がかかります」

「そんな」

「焦ってもダメだよこーちゃん」

「そうです。それにいずれにしろあちらから攻撃を仕掛けてくる可能性は高いでしょう」

「何でそこまでわかるのよ」

「今朝、白虎たちの反応があった場所を探りました。そこには二人以外に複数の気を感じました。以前夏樹たちが襲われたことを考えて、相手の狙いは私たち、幻獣とそのパートナーであると見られます」

「ガルム以外にもいるってこと…?」

「そうと考えて間違いないです浩介」

「そんな…」

「ちょっと玄武」


 二人で話すよう浩介たちから離れる。


「さっきあんた、暴走しない方法があるなんて言ったけどそんな方法あるの?」

「はい。ですがあくまで抑えるといった形になりますが」

「…実はあんたたちに言ってなかったことがあるんだけど」


 朱雀は以前浩介と憑依した時の出来事を話した。


「ふむ。つまりただの暴走ではなかったと言うことですか」

「………うん」


 俯いて心配をしてる表情を見て、思わず玄武の口許がやわらいだ。


「珍しいですね」

「へ?」

「朱雀がそんな表情をするなんて」

「な、なにを!」

「それだけ今期のパートナーはいいということですか」

「ババ、バカじゃないの玄武!そんなことあるわけないじゃない!!」

「そういうことにしてあげます」

「違うってば!」

「ふふ」

「う゛〜〜〜〜」

「大丈夫ですよ朱雀。私が必ずあなたたちが暴走しないようにアシストしますから」


 普段と変わらない無表情の顔だが、その物言いは優しかった。



「ケンちゃん…」

「大丈夫だよこーちゃん。ケンちゃんたちなら今頃敵から逃げてるって」

「でも…!」

「大丈夫。ケンちゃんたちなら絶対大丈夫だよ。だから」

「あ…」


 浩介を優しく抱き寄せる。


「だからそんな顔しちゃダメだよ」

「……………」


 今にも泣き出しそうだったが落ち着きを取り戻していく。

 夏樹は強い女の子だ。賢次たちが無事という保証も無く、本人も内心穏やかじゃないだろうに二人の無事を心から信じている。

 焦ってもしょうがないとわかっている。

 だから普段から泣き顔を人には見せないし、明るく振る舞う。それが一番だと思っているし、自分にはそのやり方しか無いと思う。

 物事をマイナスに考えずプラスに持っていく強さが彼女にはあった。

 夏樹の胸から心臓の音が聞こえる。

 その音は静かに鳴っていて、先程の焦りは自然と消えていた。


「ちょっと、あんたたち!!ななななに抱きつきあってんのよ!!?」


 相談事は終わったのか、怒りを露わにやってくる。


「わわっ、こっ、これはえーっと」

「ふふん。悔しかったら朱雀ちゃんも抱きつけばいいと思うけどなー」

「なっ!?」


 思わぬ反撃に言葉を失う。

 浩介は恥ずかしくなり、夏樹から離れようとするが抱きしめた手を離してくれない。

 明らかな挑発だった。


「そうですね、私もそれが一番手っ取り早いと思います」

「ふぇ?」

「ああああんた!なに言ってんのよ!?」

「そのままの意味ですが?」

「何で私がこんなスケベ人間を抱き、抱きしめなきゃいけないのよ!?」


 朱雀の中で浩介は既にスケベという認識になってしまっている。


「こーちゃんはスケベじゃないもん!」

「スケベよ!!」

「違うもん!」

「スケベよ!だってこいつ、前に私の裸を見たときも、顔赤くして…」


 その時の状況を思い出したのか、朱雀が顔を赤くしてしまった。


「……………………………こーちゃん」


 先程までの優しい表情は消え失せ、非情に冷たい顔になっていた。

 浩介も朱雀の発言を聞き、自分もあの時のことを思い出したが、一瞬で凍りついてしまった。


「どういうことかはっきり聞かないとだね。こーちゃん?」

「いや、これは、その」


 夏樹の手がゆるみ、その拍子に離れる。


「………………………………………」


 ひたすら睨みをきかせる。負のオーラで満ち満ちていた。


(な、なんか最近こんなことばっかりだよ!?)


「夏樹、その話しは後で聞くとして今は朱雀が抱きしめるのが先です」

「えええ!!?」


 浩介には今この状況で何故そのような結論に結び付くのかしっちゃかめっちゃかだった。


「いえ、重大なことですよ浩介。今浩介に朱雀が憑依したところで、結果は同じでしょう」

「それと二人が抱きあうのとどう絡んでるのかな……?」


 夏樹の目は据わっている。今は身体から離れているが、あのままの状態なら首でも絞められていたかもしれない。


「二人の相性は見たところ悪くは無いはずです。なのに暴走するのは、お互いの魂にブレがあると見られます」

「つまり、どうゆうこと?」

「動揺してるということですね。緊張もあると思います」

「じゃあハグしたらなおさらダメじゃん!」

「逆ですよ夏樹。二人が一体に感じあうことで憑依時にも二人のブレが軽減されることが予想されます」

「「「いやいやいや」」」


 三人はそんな馬鹿なと反応する。


「ま、まあそんなことなら仕方がないわね」


 言葉とは裏腹にまんざらでもなさそうだ。


「なに納得してるかな?」

「別にぃ」

「あまり時間がありません。早く二人は抱き合ってください」


 催促させ、二人を向き合わせる。夏樹はまだ何か言いたそうだったが、渋々承知する。

 先程の裸の話が出て二人は目をあわせずに俯いている。


「では今から結界を張ります。ただ抱き合うのではなく、気持ちを落ち着かせお互いの温もりや鼓動を感じるよう意識をしてください」

「ほ、本当にやるの?」


 人前で抱きつくのに抵抗があるのかしどろもどろだ。


「な、なによあんた。あの女とは抱き合うのに、私とは出来ないっていうの?」


 上目使いに睨んでいるものの、頬はほんのり赤く染まっていた。朱雀も恥ずかしいのだろう。


(うぅ、可愛い)


 朱雀の顔がまともに見られない。つい顔をそらしてしまう。

 その反応を見て、勘違いしたのか少しむっとした。


「では、行きますよ」


 そう言うと玄武は指先で印を描く。

 すると部屋中が白い霧で覆われていく。

 若干の肌寒さは感じるものの、それが寧ろ心地よかった。


「準備は整いました。どうぞ」


 霧で玄武の身体があまり見えなかった。

 先程までの怒りはどこへやら、夏樹が「おー」とか言って驚きの声をあげている。


「さっ、早くすませるわよ」

「う、うん」


 気恥ずかしさはあるものの朱雀の表情は見えなかった。

 本当にやるんだよなぁと考えていたら朱雀の方から抱きついてきた。

 小さい身体から朱雀の温もりが感じる。

 胸の位置に朱雀の頭があたり、腰に腕がまわる。

 夏樹のような膨らみは無いものの、しっかりとそれを感じることもできた。


「あ、あんたもほらっ」


 浩介からもしてこいと言っているのだろう。察してから、ためらいつつも腕をまわし優しく抱き寄せた。


「っ!」


 さらに密着する形になり、心臓の音が早くなる。

 緊張のせいかお互いぎこちなく硬直しているが、そこにはっきりと存在していると理解できた。


(わっ)


 朱雀の紅い髪から、良い香りがした。

 無意識に、抱き寄せる腕が強くなる。


「ぁっ」


 朱雀が顔を見上げた。

 霧で見えなかった輪郭も慣れてきたのか僅かに見えるようになってきた。

 目尻はトロンと垂れ、唇が僅かにあいている。

 目があった。

 お互いに目をそらしたが、すぐにまた目があう。

 そして

 朱雀の目は閉じ、顎を上に向ける。


「………ん」


 その動作を瞬時に判断した浩介は顔を真っ赤にした。朱雀も真っ赤にしていた。


(いいい、いいのかな)


 心臓の音が倍速する。

 意を決し浩介も唇を近づける。


(!!?)


 身震いがした。

 霧による肌寒さではなく、もっと嫌な、分かりやすく言えば殺気だった。

 背後から感じる。

 振り向くと先には夏樹のシルエットがあった。

 離れててお互いよく見えないはずなのに、夏樹がキレているのがわかる。

 朱雀の方に向き直ると、閉じていた目はあいていて?マークを出している。

 必死に悩み抜いた末、おでこに軽く口づけした。

 突然されたので、一瞬ポカンとしていたが頭をまた胸の位置にのっけて「……………………バカ」と呟いていた。


 そして増す殺気。あちらからは朱雀の姿は見えないはずなのに、何かを感じ取れるのか。

 二種類のドキドキを同時に味わうことになったのであった。







「…成果は表れたようですね」

「はは、ははははは」


 苦笑する。

 何故なら朱雀は自分の袖を掴み、口許を隠しながら恥ずかしそうに俯いてたし、反対の腕には夏樹ががっしりと両手で抱き寄せてる。

 終始緊張していたし。とても上手くいったとは思えなかった。


「これで憑依しても以前程の緊張は無くなると思います」


(むしろ前より酷くなった気がするんだけど…)


 思ってても口には出せなかった。


「さて、では小腹も空いてきた事ですし、少し早いですがお昼にしませんか」

「そうだね、じゃあご飯作るよ」


 そう言って動こうとしたが、両腕を掴まれてて動けない。


「………あのー」


 浩介が何かを言おうとすると、両隣の少女たちは更に身を寄せてくる。

 嬉しいのだが、この状況に成す術もなかった。


「仕方ありませんね。浩介たちは動けないようですし、私が調理します」


 その言葉に反応して、朱雀と夏樹は素早く離れた。


「あは、あはは。私こーちゃんの手料理が食べたいかなーなんて」

「そ、そうね。コースケの作るご飯は美味しいし」


 ねー、と言ってお互い顔をあわせる。

 二人の変化に違和感を感じつつも冷蔵庫へ行き中身を確認する。

 中は大した物が入っておらず、四人で食べるには物足りなかった。


「そう言えば昨日、中身使いきっちゃったんだっけ」


 昨日は賢次や白虎がいたし、冷蔵庫の中身が空になったのを思い出す。


「仕方ないか。何か買ってくるね」


 出かける準備をして財布をポケットにしまった時だった。


「あたしも行くわね」


 朱雀もついてくると言い出し、さっきと同じく袖を掴む。

 もしかしたら敵に襲われる可能性もあるし、パートナーであるから当然と言えば当然だった。

 だが、それを許さない人物が一人、異議を唱える。


「だったらあたしも行くー」


 棒読みで、これ見よがしに腕を掴み胸の間に抱き寄せる。

 男としては非情に嬉しいのだが、先程と全く変わらなかった。


「これではいつご飯が食べられるかわかったものではありませんね。止むを得ません」







 神代町商店街に行く途中。

 浩介と玄武は大して会話が盛り上がることなく歩いていた。

 玄武という少女に今いち何を話しかければいいかわからないでいる。

 無口では無いのだが、いかんせん無表情だ。


 朱雀と行くと夏樹が怒るし、夏樹と行くと朱雀が怒る。二人一緒に行こうものなら、帰る頃には夕方をむかえてる事だろう。

 間をとって、玄武と行く事となったのだ。

 玄武なら何かあっても水を経由していつでも家に戻れるし、案としては悪くなかった。

 ただ、本人としては夏樹の護衛として家にいたかったようだが。

 今頃朱雀たちは家でにらめっこをしてる事だろう。


「そ、そういえばさ」

「はい?」

「何であの二人はあんなに仲が悪いんだろうね」


 浩介は、自分が原因と分からず疑問を投げ掛けた。


「………それは」

「?」

「本気で言ってるのですか?」

「どうゆうこと?」


 その答えは本当に理解していない返事だった。

 それを見てため息をつき。


「これは先が思いやられますね」

「?」


 その時地面が揺れた。

 地震にしてはやけに長くその揺れは次第に強まっていく。


「危ない!」


 近くに立っていた電柱が玄武目掛けて倒れてきた。

 傍らにいた玄武を押し倒し身を守ろうとする。

 だが、電柱は倒れてくることなく揺れも収まっていた。

 周りを確認すると無数の水の玉が倒れようとした電柱をバランスよく支えていた。

 無重力の中に浮かぶ水の玉のように、見た目は軟らかそうだったが、しっかりとしている。

 見ると玄武が小さく震えながら印をきっていた。


「…玄武?」


 顔は相変わらず無表情なのだが、青ざめて見える。

 水の玉は玄武が作り出した物だろう。


「大丈夫?」

「…………………………はい」


 声は聞き取れない程小さかった。


「もしかして」

「…はい」

「地震が」

「!!!?」


 玄武は印をすばやくきると、水の玉が浩介の顔に被さった。


『ゴボゴボゴッ!?』


 水の玉から逃れようとするが、くっついてるようで、取り除こうともがくが外すこともできない。


「それ以上言ったら…」


『ゴボボッ!』


「どうなるかわかりますよね?」


『ゴボ、ゴボボボボ!!』


 言葉を発することが出来ず、必死に顔を縦にふる。

 指を鳴らし水の玉は弾けた。


「ぶはーっ!はーっ、はーっ」

「今あったことは忘れて下さい。さもないと…分かりますよね?」


 素早くうなずく。


「やー、あかんあかん。そんなことやられたら忘れるこたできんで」


 聞き覚えのある関西弁が二人の耳に届く。

 声は電柱の上の方から聞こえた。


「白虎!」


 そこには賢次と憑依した状態の白虎が立っていた。

 但し、顔は賢次の顔つきではなく、白虎の顔そのままで白髪が長く肩にかかり、白黒の虎の刺青が入っていた。


「無事だったんだね!」


 喜びで白虎の方へ一歩近づくが、玄武に片手で制される。


「玄武?」

「何のつもりですか」


 珍しく声が怒っていた。


「何がや」

「今の地震ですよ」


 白虎は土を司る幻獣だ。玄武の言い方だと、今の地震は白虎が起こしたと言うことになる。


「別に、特に意味なんてあらへんで」

「嘘ですね」

「あ?」

「あなたは私が地震が嫌いというのは知っているはずです」

「なんや、自分で弱点ばらしてるやん」


 先ほど玄武が浩介に忘れるよう忠告したことを笑いながら言う。


(違う。白虎のあの笑いはいつもと何か違う!)


 顔形は白虎に違いないのだが、笑い方はガルムに近い雰囲気があった。


「賢次はどうしたんですか」

「―!」


 白虎は賢次の名前を聞き、一瞬ビクッとしたが直ぐに平静になる。

 上から見下す目付きで浩介たちを見る。


「死んだ」


 ………。


 ……………。


 ……………………。


「……………………………………え」


 頭の中が真っ白になった。

 白虎の言葉が理解できなかった。

 そこにいるのは賢次の身体を使って憑依している白虎で、それは賢次の身体であって。

 死んだということは、賢次はもうこの世にはいなくて。

 白虎は賢次のパートナーであんなに優しく僕と接してくれて。

 小学生の頃はクラスの皆に苛められていたけど毎回ケンちゃんは僕を助けに来てくれて。クラスでも人気者で幼なじみとしては嬉しくて。ケンちゃんのお母さんはいい人で兄弟ってこういうのを言うんだろうなって思ってて。






 そのケンちゃんが死んだ。


「嘘だっっっ!」


 信じられなかった。

 涙は自然と流れ、白虎を睨み付ける。

 だが、白虎は浩介のそんな表情を見ても意に介さなかった。


「嘘やない」

「嘘だっっ!!」

「嘘やない」

「嘘だっっっっ!!」

「嘘やない」

「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!!」

「嘘やないんや!!!」


 見ると白虎も大粒の涙を流していた。


「白虎」

「…………なんや」

「あなたは少し嘘をついてますね」

「!!」


 玄武は崩れ落ちる浩介の肩に手を当てて、なだめながら言葉を投げ掛ける。


「正確に言えば賢次は死んでない。違いますか」


 玄武の発言を聞き、浩介は顔を上げる。


「…ぇ」


 涙でぐしゃぐしゃにしながらも玄武の言葉に聞き入る。

 白虎も驚いていたが、すぐに顔を伏せる。


「そうや、でも死んだようなもんや」

「…どういうこと」


 賢次には二人の言葉の意味がわからなかった。


「それは言えへん…」


 苦しそうに言う。


「どうして!答えてよ!」

「言えへんのや!!」


 白虎は白い影を残しその場から去っていった。


「白虎…」


 浩介は白虎の消えていった先を見つめて呟いていた。

お久しぶりです。


そしてごめんなさい。


前話から約二ヶ月半ぶりの投稿です。


めちゃくちゃ遅くなり反省してます。


自分の文才の無さに絶望に明け暮れてましたが、これじゃいかんと他の作家さんの小説読んだりゲームしたりアニメ見たりアニメ見たりとインスピを高めて久々に書いたら、それなりに話の展開が出来たんではないかと思います。


ただ、文の書き方は相変わらず…。


一種、割りきってます。


今回のお話はどうでしたでしょうか。


感想なぞ、どしどし待ってるんでどうぞよろしくお願いします。


では、失礼しました。

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