つくろう、ヤンデレの森
みんなで作ればこわくない的適当エッセイ
ヤンデレ……ピクシブ百貨辞典いわく「誰かを慕うあまりに精神が病んだ状態を指す言葉」
ヤンデレを手中に収めたい。
創作における引き出しのひとつとして。
敵でも味方でも脇でも主役でも、物語に一閃の強烈さを与えるヤンデレ。しかしヤンデレとはいったいなにか、なにをどうしたら生まれてくるものなのか、考えれば考えるほどどつぼにはまります。
身の回りにほとんどおらず、スパダリに並び創作界隈にのみ出現すると言っていい幻の生きもの。病んでなくとも思考がひどく歪んでいればヤンデレなのか。いやそれはただの狂人か、やはり立派と病んでいなければならいのか。でも好きすぎて病むってなんだろう。わからない。ヤンデレのことが何もわからない。
風味としてのヤンデレから極まったヤンデレまでその幅も広く、ヤンデレ初心者の私はどこから手をつけていいのか途方に暮れてしまいます。
もうらちが明かないので、同志の諸君は私と一緒にヤンデレを作りましょう。脇でも主役でもOKです。作らなくてもいいので私を見守っていてください。
目指すはちゃんと害のあるヤンデレです。
まずはヤンデレにしたいキャラをふわっと決めます。
私は幼少期からヒロイン(女主人公)を慕う薄幸青年をヤンデレにしたいです。
キャラが決まりましたら、全ヤンデレの共通かつ必須項目として相手への執着をMAXにして固定しましょう。
次が重要です。
ヤンデレであるからには何かしら異常行動、異常状態を有している必要があります。もちろん倫理観は大なり小なり欠如。これは創作用にわかりやすさを重視した暴論ですから、安心して下の五つからひとつ選んでキャラに付与しましょう。
・他害
・自害
・侵食
・収集
・情緒不安定
【解説】
・他害……暴力、恫喝、相手を孤立させる等
・自害……自傷、自罰、自分を使った脅迫等
相手の注意を引きたいがためにとる手段が、他へ向かうか、自分へ向くか。無意識の場合もあります。
・侵食……相手を自分のなにがしかしで染め上げたい欲求。衣食住の管理。ひどいと拉致監禁。自分の一部を送ったりこっそり摂取させたりなど。
・収集……読んで字のごとく、相手に関するものを集める。集めるもの、集める手段、その執念が犯罪的病的であればあるほど映えます。
・情緒不安定……泣く、怒る、責める、落ち込む等
精神的にいろいろ不安定。メンタル崖っぷち。不眠や摂食障害など体調を崩し日常生活に支障をきたすことも。
決まりましたでしょうか。
これでヤンデレの大枠ができたも同然ですね。
ひとつと言ったくせに私は情緒不安定8:自害2でいこうと思います。やっぱり自害全振りはキツいです。
次に依存とサイコパスの度合いを決めます。
ヤンデレは基本的に人として崖っぷちです。本来もつべき人たる成分は2割と思って、残りをどれで埋めるか考えましょう。
・依存100%
・サイコパス100%
・依存するサイコパス100%
ここでいうサイコパスは『他人に感情の揺れ動きや心があることは理解するし察することもできるけれども、所詮他人事』的な非常にドライな人です。他人の痛みに鈍感というか無関心。喜ばせて他人をコントロールしようとする狡猾さもある。確固たる自分を持っています。反対に依存は自分を持っておらず他人の価値観を物差しに。主体性や精神的主柱を相手に委ねているので相手の行動に一喜一憂し、時にエキセントリックな行動もします。依存するサイコパスは本来自我の強い人が精神ぐちゃぐちゃになって相手に依存しています。
情緒不安定型はどうしたって依存主体になりますから、依存100%か依存するサイコパス100%でいきましょう。逆に他害・自害・侵食・収集はどれでもいける。依存型の収集とサイコパス型の収集では心の動きようが違うでしょうから興味深いです。
選べましたでしょうか。
私は依存するサイコパスにしようと思います。もうすでに手に負えなくなってきた感じもします。
次はなんとなく定まってきたヤンデレキャラに過去を与えます。
ヤンデレの闇部分は過去の経験からくるものか、生まれ持ったものか。
先ほどの選択で依存100%を選んだ人は過去の経験からくるものとしてその原因を考えてください。家庭環境が悪かっただとか、そのくらいでもいいです。
サイコパス100%の人は生まれ持ったものなので、それで生きづらかったのか無双してきたのか思いを馳せてください。
依存するサイコパス100%の人はぜひ両方お願いします。
ついでに相手に執着しだしたきっかけも考えるといいかもしれませんね。書き進めるうちにキャラの詳細を掴むタイプの人はその時でかまわないです。私がそうです。最初にがちがち決めてしまうと書けないです。余白がほしい。
もう一歩ヤンデレ味を追求するならこちらも考えましょう。
・愛用の武器・小道具
やだ怖い。
おかげさまで私の方もヤンデレ少年ができそうです。時には自分を傷つけてヒロインの気を引こうとするトンデモ青年で、ヒロインからもらったペンを愛用(意味深)しています。幼少期からの刷り込みでヒロインを盲目的に慕っていそうです。
あとは細かな見た目だとか性格だとかは好きにやりましょう。
ヤンデレだといっても陰キャやダウナー系にこだわる必要もなく、明るくてクラスの中心にいるようなキラキラした人が実はヤンデレとかも美味しいと思います。ギャップも大事ですもんね。
では、それぞれヤンデレが用意できたところで、登場舞台や相手役とのマッチングです。
舞台は現代? 異世界?
作風はホラー? メリバ? しっかり恋愛? ラブコメ?
相手はそのヤンデレに対してどう思ってる?
マッチングの結果によっては病み具合を調整しましょう。
ここで日和ってヤンデレ成分いらないのではと弱気になっても、引かずに踏み込みましょう。我々には未知の領域に一歩を踏み出す勇気と実績が必要なのです。
さあこれで準備はばっちりですね。
ヤンデレをお話の中へ放流しましょう。
ふう。達成感。
いかがでしたでしょうか。本エッセイを書いてからそこそこ放置して今この部分を加筆しているのですが、ヤンデレのお話は相変わらずできておりません。あいつらムズすぎる。危険物すぎる。しかしいつの日か書いてやろうと思っておりますので、お話を世に出せた暁には「こいつ、ようやくヤンデレをものにしたんだな」と後方腕組み保護者の笑みを浮かべて頂けたらと思います。
いいやヤンデレとはこうだ、という深い愛やご意見もあるかと思います。そしてそれは正しい。今回は深く考える前にヤンデレキャラを作ろうというコンセプトでございますので、多少はお目こぼししていただけると嬉しいです。