第85話 欲に正直な奴
「よう」
ビーチチェアーに座って真琴を待っている暫にとある少年が語りかける、その少年は夜露死苦と書かれた海パンを履きガムをくちゃくちゃ噛みながら暫を睨んでいた。
「久しぶりに見た顔ね元気だった時雨くん」
暫はそう言うと少年の目を真っ直ぐ見てそう言う、その少年の名は梔子 時雨 ドロップスと名乗り魔法少女と戦って完敗している男。
その時雨の姉である千歳は元魔法少女であり、ここに居る暫と一緒に活動していた。仲が悪い…事はなくちょくちょく家に遊びに行ったり家に泊まったりするほどの中だ。
家で遊びに行く時に2人は度々会うことがあり、他人以上友達以下のような関係性で仲が勉強を教えてもらうほどの仲だった。
「元気そうで何よりだわ」
「テメェこそ、とっくに死んだと思ってたよ、見ないうちに太ったか」
「久しぶりに会う女性に太ったはダメよ、千歳に言われたでしょ」
「俺が言いたいのは健康そうで何よりだって事だ、その腹まるで妊婦みたいだぞ」
時雨のデリカシーのかけらもない発言に少し照れくさそうに頬を赤くさせ、暑くて脱いでいた薄めのコートを再度羽織った。
「い、いいでしょ別に…何日も食べてない日があったんだから、カレー10杯ぐらいおかわりしたって」
「食いすぎだろ、そりゃそんな腹になるわ」
「で、何しに来たのお姉さんと遊びたいの?遊んでもいいけど激しい遊びはやめてよね、体動かしたら危ないから」
「んなわけないだろ」
「なら目的は魔法少女達かな、あの子達から聞いたけどあなた今やフェイスの一緒に幹部やってるらしいじゃない、似合わないし千歳が悲しむわよ」
「黙ってろ、あいつらは必ず俺が倒す」
「そんな事言わないでよお姉さん泣いちゃう」
「勝手に泣いてろ、俺はアイツらを倒して」
「あの男を殺すのね」
「止めるなよ」
「あの子達と戦う事は止めるけど、あの男を殺すことに関しては止めない、あの男が私に何をしたか」
「心中お察しするぜ、だがそうなったのはクラフトのせいじゃないのか、男とお前達を戦わせて助けもしないで逃げて対抗する力を奪い去った、そんな奴に恨みはないのか」
「ないわね」
「そうか、あいつが何かしたか、魔法少女の家族が殺されているのを見てただけ、俺が助かったのなんて偶然でその偶然がなかったら死んでいた」
「だからクラフトが作ったあの子達と敵対してるのね、気持ちはわからなくもないけどやめた方がいいわよ、周りから見たらただの逆恨みだから」
「何とでも言え、俺は辞めるつもりはない、俺の人生をめちゃくちゃにしたクラフトをこの手で殺す」
「そう、なら止めないわ、私はもう引退した身だし、戦う力も無いし、もう少女じゃないから見てることしかできない」
「…一つ聞きたい、姉貴は生きてるのか」
「なぜが能力の呪縛から解放された日、私は逃げた、男はそんな私を急いで追いかけ道路を飛び出して車に轢かれたわ、生きてはいるとは思うけど能力は解除されたはず
その解除された瞬間に逃げないほど千歳は馬鹿じゃない、きっと私みたいに逃げてると思う、真琴さんも探してるみたいだしそのうち見つかるわ」
「そうか、生きてるのか…」
「ねえ、あの子達と協力する気はないの」
「ない」
「即答ね、あの子達はあの男を捕まえるために努力している目的は同じはずよ」
「協力はしない、あいつらが魔法少女である以上人は殺さない、証拠を1つも残さない奴を法で裁くこともできない、殺すしかない」
「証拠ならあるわ」
「自分自身とか言うんじゃないだろうな、たった1人だけど証言で何が変わる」
「私は正式な裁きを求めてる、復讐や恨みではなくちゃんとした裁きを」
「クラフトのやり方はこうだろ頑張って奴を捕まえて法に則って裁くけど何の証拠もなくて釈放、で再び人々を殺しまくる
奴らのやり方は何の意味もない、殺すしかないだがあいつらはそれを許さず邪魔するだろ、だから協力する関係は結べない」
「何だか悲しいわね」
「だったら表舞台から消えて、ゆっくりしてるんだな」
「そのつもりだったんだけど、誰かさんが私を表舞台に引っ張った、諦めるつもりはないわ」
「そんな体で何ができる、指はないし強がっているが心はボロボロだ何もできやしないさ」
「だから私は時を待つ」
「何の時だ?何年間も証拠一つ残さなかった奴が証拠を残す時を待つのか、無理だな」
「何とでも言って、それが今の私にできることだから」
「そうか、なら待ってろよ永遠に来ない時間をな」
時雨はそう言うと後ろを向い5歩ほど歩くと突然足を止めた。
「まだ何か用」
「……え、えーっと、会えて良かったよ、出来ることかな何もせずに元気でいてくれ、じゃあ」
そう言うと振り向くことなく走り出した。
昔から変わらない、素直じゃないなあと子は、そう思いながら大きなお腹に手をのせ確かな鼓動を感じるのであった。
〜〜〜〜〜売店近く〜〜〜〜〜
「気をつけた方がいい、ここは人が多いし暑いからね」
「すみません」
「ああ、ちょっと答えてくれないかな、そのかき氷はどこで売ってたんだい、暑いから私も買おうと思ってね」
「直ぐそこなんですけど…混んでるから待った方がいいかもですよ」
「そうかいありがとう、君も気をつけて歩くといいよ」
そう言うと男はそのまま売店の方に歩いて行った。
その足取りは軽く誰も聞こえないぐらいの小さな鼻歌を歌いながら売店に向かう、だが売店に並ぶ行列を見て男は絶句し足を止める。
「おいおい、混んでるとは言ってもここまでのものか」
そう言いながらため息をこぼす、しかし男は売店から離れる事はなくそのまま歩き始める、そして列に並んだ瞬間その場にいる人間全員が聞こえる声量で
「全員黙ってその場を退け、そしてこの事を忘れろ」
と叫ぶ、その瞬間売店にいた全員がモーセの滝のように道を開け男はその道を堂々と渡り売店の店主に話しかける。
何が起こったのかわからないでいた店主に向かって「コレは常識でありおかしなことじゃない、君は注文を聞いて作るだけでいい」と気軽に話す。
「……は、はいそうですね、お客さんご注文は何でしょうか」
「そうだな…かき氷とお茶を頼む」
「かしこまりました」
男はそう言うと静かに待ちながら、行列の中にいた彼氏連れの女性を舌なめずりしながら眺めその女性に近づくと髪に触れ胸を揉む、女性が嫌な顔をすると同時に彼氏が男の腕を掴む。
「おい、俺の彼女に何してる」
「これは彼女?君は同性愛者だろ」
「は?何を言って……いや、確かにそうだ」
「この女性と君には何の関係もない、コレは私の所有物だ」
「え?何言ってんのあんた頭おかし…」
反論しようとした女性の肩を掴み耳元で囁く。
「君は私に逆らえない、私に従うのが幸福であり幸せで性的興奮を覚える変態、それが君だ」
そう囁いた瞬間女性の中で何かが代わり、嫌な顔が一瞬で恍惚とした満面の笑みを代わり、誰かも知らず会って1分も経っていない男に抱きつき男の股に自分の股関節と胸を擦り付ける。
「そうだ、それが君だ、おい彼女以外の全員はこの事を忘れろ、最初から彼女は私の物だそうだろ」
「「ああ」」
「さあ行こうか、彼女以外の全員は私が去って1分後に5分間の記憶を消して何事もなかったかのように並びなおせ」
男は女性の手を握りながら店主が作ったかき氷とお茶を受け取り売店から離れる、男が離れて1分が経過すると同時に客たちは我に戻り何事もなかったかのように列に並び直す。
どうも大阪に行ってた作者です、まあ行っただけで何もしなかったんですけど、行った理由としてはおばあちゃんに会いに行って来ました、久しぶりに会いましたがかなり弱ってましたね、見てると涙が出そうでした、長生きして欲しいですけど…そんな願いは叶いそうにないですね。
さて、帰って来たらバチクソに眠くて現在朝の5時に小説を書いていて、後書き終わったら二度寝する気なので手短にしますね。
今回登場したいっぱい食べでお腹がぽっちゃりした暫さんの名前の由来に気づきましたでしようか、由来に気づくとかなり適当につけられたとわかると思います、パソコンで見られている方はキーボードを見てください。
雉兎 暫ですがキーボードをよーく見てください、ASDFと並んでいると思います、キーボードには英語と一緒に日本語が書かれていますよね、それを読んでみると「ちとしは」になります、そう名前の由来はそれです。ね、適当でしょ。では二度寝しますねグッドナイト。