第82話 秘密だよ
〔うわぁ〜 おみずがいっぱいだ〕
浮き輪に麦わら帽子を被ったグラウストは初めて見る海に驚き胸を弾ませながら近づき口を大きく開けると海の水を飲み始める。
近くにいた、青の海パンにゴーグをつけた太一は急いでグラウストに近づいて背中を軽くさする。
〔なんだ しょっぱいぞ ペロ うわぁ〜しょっぱい〕
「駄目だよグラウスト、海の水を飲んだら、ペェしてペェ」
そんな光景を少し離れた所で太一のクラスメイトが遊んでいた。クラスメイトは合計4名で男子が3人で女子が1人。
てんとう虫が描かれている海パンを履いていて、ビーチでもメガネをかけている男子の康太、長い白色の海パンと緑のシャツを着ている金髪男子の大和、青い海パンを履いていて全身が緑でカメレオンのような肌をしている男子のリーチ、白の水着で白髪で天使の翼と輪っかを持つ女子の天子の4人。
天下とリーチは楽しそうに砂のピラミッドを作り、康太は日陰でスマホを見ながらピラミッドにアドバイスしていた。大和はそんな康太の隣に立ち止まると康太に話しかける。
「なあ康太」
「どうしたんだい大和くん、あリーチくんもう少し右です」
「俺の気のせいだといいんだけどよ、太一ってさ…魔法少女…だよな」
「「「…………」」」
その場にいた全員が手を止め、しばらくの沈黙が続く。
「…大和くん」
「なんだよ」
「気づかない方が幸せなこともあるんですよ」
「そうよそうよ、太一くんが魔法少女のわけがないじゃない、男の子なんだよ」
「いや、あいつが連れてる恐竜見ろよ、どう見たってエボリューターが連れてるのと同じだろ」
「いや、それはですね…きっと似た種類の恐竜で」
「似た種類の恐竜ってなんだよ、そもそもエボリューターは男だって動画で見たぞ」
「でもあんな可愛い衣装太一くんが着ると思う、カッコいいのが大好きな太一くんだよ、それに恐竜なら大人気のレッドモンスターがいるじゃん」
本編に関係ないが一応説明するが、レッドモンスターは全長20m 全高10mの知性を持つ恐竜でシスタームーンと一緒にヒーローとして活動している子供に人気大絶賛の恐竜である、別に説明したからと言って登場とかはしないけど。
「いや、見てみろよあいつの…その…なんて言うか雰囲気は似てないか」
「ま、まあ確かに可愛い感じは似てなくもないけどさ、でと違うんじゃないかしら」
「そうそう、違いますよ…たぶん」
「だけど考えてみろよ、学校が襲われた時みんな集まってたのにあいつだけ集まらなかったじゃん、それに教室に居たはずなのに保健室で寝てたしよ」
「いや…ほら……それは、逃げる時に道を間違えたんですよ」
「きっとそうよ太一くんマイペースなところあるしさ」
「…あいつそんな性格じゃないだろ、それに学校で街に迷うかよ、あんまし行かない第二校舎ならまだしろ、いつも使ってる第一校舎だぞ」
「いや…その日は気分が悪かったとか」
「そんなわけないだろ、お前ら絶対気づいてるだろ、なんで皆んなして誤魔化すんだよ、絶対にそうだって」
「そうとは限らないんじゃないのかな」
「なら聞いて来てやるよ」
太一に話を聞こうとする大和の足を全員が掴んで止める。
「何だよお前ら」
「ダメだって、ほらこう言うのは気づかないふりをするお約束だって」
「そうよ、ほらその…太一くんだって事情があるんだろうし、本人だって楽しそうにやってるんだしさ」
「なあ俺達って友達だろ、言ったらアレだけどさ…太一のこと心配じゃないのかよ」
「そ、それは…」
「学校の戦い間近に見ただろ、ピンクのお姉さんはボコボコにやられてたし、デカいドラゴンは貫かれて爆散した、あんな戦いに太一が居るんだぞ」
「そ、そうだけど」
「きっと使命があるんだよ、太一くんにしかできない事が」
「だけどよ、友達ってさ友達が危ない場所に居るのを黙って見るような奴のことを言うのかよ、俺は…」
〔うみのみずって おいしくないんだねたいち〕
「そうだよ、海の水は塩分が多くて飲んだら逆にノドが乾くんだよ、あれ皆んなどうしたのヤマトの足なんて掴んで」
「やあやあ、太一くん別に意味はないよ、ただ…ほら足に蚊がいて」
「なあ太一お前って魔法しょ…」
大和が口を開くと同時に足を掴んでいた3人は急いで大和の口を塞ぐ。
「え?僕がどうしたの」
「いや、えーっとしょ…将来の夢は魔法使いらしいんだけど、太一くんの将来の夢って何」
なんて無理がある話の変え方なのだろうか。
「どうしたのいきなり、何か隠し事?」
〔ん? このにおい〕
グラウストは何かの匂いに誘われるように大和が持ってきたバッグに近づき小さな手でそのバッグを開けると中にあるおにぎりを取り出す。
「あ!!俺のおにぎり、おまえ」
「ダメだよグラウスト、お腹空いてるなら僕が作るから」
「やっぱりグラウストなんだなそいつの名前、なあそいつってエボリューターの奴だよな、なんでお前と一緒にいるんだ」
大和は3人に邪魔されないように走りながら太一に聞くと、太一は汗ダラダラと流し目を泳がせ明らかに動揺している様子を見せながら口を開く。
「えええええええ、な、ななんの話、ぼぼぼぼ僕とエボリューターにはなななな…なんの関係もないよ」
うわぁ、絶対に嘘だし絶対に太一がエボリューターじゃん、と思ったら大和は口を開こうとしたその時近くを通りかかった凪が手を振りながら太一に声をかけた。
「おーい、あ、やっぱ太一くんだよ」
[こんな所に居たのか、人が多くて見つけられないかと思ったよ]
2人は太一を見つけゆっくりと近づく、その間に3人は大和口を塞ぎ耳元で話しかける。
「なんだよ」
「いい、太一くんのことは秘密だよ」
「僕達が気づいてることを知ったら太一くんは嫌だと思う、これで絶交になったら嫌だろ」
「そうだけど」
「いい私達だけの内緒にしよ、このまま気づかないフリをしようよ、そうしたらずっとこのままでいれるからさ」
「……わ、わかったよ」
大和はまだ納得しかねているが、頭を動かして頷いた。
マーベルスナップでキーが3つあったからアリシェム狙いで使ったら見事にアリシェムだけ来なかったら作者です、そこまでガチガチにやりこんではないので別にいいんですけどやっぱり外れるのはキツイですね。
さて、今回は…今回はですよ書くことがないんですよね、本当にないし眠いのでここで終わりますね。