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第78話 もしかして茶番劇

 山に不法に侵入した男を含める数名の男女は駆け付けた警官により拘束され、密猟密採の罪で連行されその様子をボブと凪そして猫はただ見つめていた。


 これで一件落着、凪は新たな力を手に入れたし、犯罪者は警察が捕らえた、全てが上手くまとまったと言うに凪はまだ少し納得していない顔をしていた。


「私が殴られたり、上空に高い高いされて撃ち落されてる間も・・ずっと起きてたんですか、私が命がけで戦ってる時も」


「これには事情があるんだ、別に君をだますつもりはなかったんだ」


「・・どういうことですか」


『私達からボブにお願いしたのです、手を出さずに貴方にやらせろと』


「そう言うことさ」


「えーっと、それよりこの喋る猫ちゃんはなんなの、撫でていい」


「君に話しただろ、この地は神々の墓場だって、死んだ神々はこの山の一部として転生した、この猫は転生した神々の1つさ」


「戦争がうんぬんって話本当だったの、じゃこの猫さんは・・神様、お供え物しなきゃ5円玉でいいのかな」


『気持ちだけでいいですよ、それに昔の話で今は喋る以外は殆ど普通の猫です』


「そんなんだ、でもなんでボブさんを止めたの」


『貴方を見極めるため試練とでも思ってください、ゴットウォーズを託すにあたいするか』


「その・・試練よりも助けて欲しかったかな、それに試練をしてだなんて言ってないし」


『ですが貴方は力を求めていた』


「まあ・・確かに」


『ですからその力を与えるにあたいするかどうかを見極めたのです、力を持つ資格がない人間が力を持てば大変な事になってしまう、あなたが戦った男のようにね』


「認められたのは嬉しいんだけど…つまりコレってその…言い方悪いかもだけど茶番劇?」


「まあ、捉え方次第では…そうだな」


『なんだか悪いことをした気分ですね』


「いや、そう言うつもりで言ったんじゃないよ、ただほらやっぱり私が居なくてもどうにかなったんだなって」


『少し気分を損ねてしまいましたね、お詫びではないですがあなたに見せたいものがあります、着いて来てください』


 そう言うと猫は歩き始め2人はその後を追いかける。


 凪は猫を追いながら自分の隣で普通に歩いているボブを見つめる、その体に傷はなく凪と違って疲れている感じもない、ナイフは確実に深い所に刺さっていた、それなのになんで無傷なんだろうと。


「ん?傷が気になるかい」


「え、あ…はい、なんでボブさんは無傷なんですか、私と同じ再生能力を持ってるんですか」


「そうだね、着くまで時間はあるだろうし、昔の話をしようか、僕がいろんな国を冒険したてって話はしたね」


「えーっと、薬を作るためでしたよね」


「その冒険がこの山で終わった理由を話そう、この山は中心に向かってエネルギーが流れている、中心に行けば行くほど特殊な自然を見ることができるんだ

そしてその中心点に100年に1度ぐらいに新たな何かが産まれるんだ、生物だったらハーブだったり、君が手に入れた剣もその1つさ」


「え、あの剣ってそんな凄いものだったんですか、100年に1度の物を私なんかが貰っていいんですか」


『剣は使わなくては意味がないですし、元々誰かに渡そうと思っていたんですよ、ここに置いて奪いに来た者達がこの山で争いを起こしても困りますし』


「僕がずっと守るでも良かったんだけど、彼女がせっかくなら君に渡そうって提案したんだ」


「い、いいんですか私なんかが貰って」


『それを見極めるための試験です、あなたはその試験に合格した、貰う資格はありますよ』


「ありがとうございます」


「話を戻そうか、僕は全く新たな薬を作るためにこの山に入って迷子になって、たまたまその中心点にきたんだ、そこでこの世のものとはお前ないハーブを見つけたんだ」


「あの…私凄い嫌な予感がしてるんですけど、もしかしてそれを薬にして自分に打ったとかじゃないですよね」


「よくわかったね、その通りさ、その薬を打った瞬間味わったことのない幸福感に包まれたよ、いつもと全然違うまるで天にも登りそうな…」


「あの、感想はいいですから」


「そうかい、えーっと…そのハーブはこの山の全てを集めた物、それを体に打ち込んだことで僕は神々と同じ力を手にしたのさ、そのせいで薬物の耐性がついて自分で治験ができなくなったけどね」


『力を持つ者はちゃんと選ばないとこう言う男が産まれるのですよ、私も驚きましたよ神聖なハーブをまさか薬物にするとは』


「で、でもボブさんで良かったじゃないですか、そのハーブが他な人に渡ってたら大変なことになったかもですよ」


『彼も彼で刑務所にお世話になってた時期もあったのですよ』


「え?刑務所何したのボブさん」


「…………」


「ボブさん」


「1回目は普通に捕まって、2回目は刑務所で書いた本を出版したらいろんなギャングが薬物作りまくった結果、国から禁書扱いになって…最終的に逮捕されて

3回目は力を手に入れたたてで怖くなって自分から入った」


『その時でしたね、ボブと名乗り始めたのは』


「え?本名じゃないの」


「本名はピーカル・パティーさ、3回目の逮捕の時には…60代超えてて国も死んだ人扱いだったから別人としてボブを名乗って適当な罪言って入った」


「そうなんだ」


『まあこの外見でピーターパンみたいな名前は似合いませんからね』


「仲間は皆んなボブって呼んでるし、僕もボブの方が気分がいい」


「確かに言いにくいしね、それ言えば仲間ってラスベニアの人達ですよね、あまり言いたくないですけど利益を独占してるって」


「否定は…できないな、複雑な話はしないけど今この山はラスベニア国の一部だ、一応僕の土地にはなってるけど死んだらラスベニア国の物になる」


「いいんですかそれ」


『それに関して私達は了承しています、まず私達は死人で幽霊のような存在です、死人に口なしとはよく言うでしょう、私達はどんな扱いを受けても文句は言えません』


「でも薬とか作って独占して、他の国の人に高値で売り払ってるんですよね」


『私達としてはゴルフ場を作ったり太陽光パネルを作ったりしてませんし、薬を作るために無理に取ったりしているわけではありませんし…問題はないかと』


「独占してるには理由がある、単純に大量に取れる物じゃないし、そもそも他の国にあげる理由があるかな」


「え、まぁ…世界平和とかですか」


「僕はそれでもいいかもだけど、ラスベニアの王は他な国の人間より自分の国人間を優先する、それに他の国と協力関係を結ぶ必要がないほど技術が進んでいる

輸入や輸出なんかしなくても自分の国だけで完結できるし、戦争が起きても余裕で勝てるほどの軍事力がある」


「未来国家って言われてるイメージだね」


「ああ、だから他の国にまわす必要性がないんだ、彼からしたら他の国の連中の国民が死のうが関係はないから、他の国には高値で販売してるし、そもそも何だと治る薬だから高額と言っても値段は妥当だと思うよ」


「…量に限りがあって、そもそも他の国と関わる理由がないのは分かりましたけど…でもやっぱり少し納得できないな、独占してる分を回せば…」


「気持ちはわからなくもないけど、そもそも世界は広いから結局足りなくなって、それを求めて争い合う、僕は全ての物が正しく使われるとは思っていない、なんでも治せる万能役も絶対に誤った使い方をされる

そうなるのなら独占して管理してもらった方が気が楽になるよ」


「なら…なんでボブさんは薬を使ってるんですか、ラスベニア国民を守るためですか」


「そうだね、人には出来ることと出来ないことがある、僕の出来ることは研究することだから出来ないことを頑張るより出来ることをやってた方がいい、世界を守るとかそう言うのじゃなくコレが僕の出来ることだからやるんだ」


「できること」


「自分に出来ることを続けていけば、いずれ何かができるはずさ」

どうも全身筋肉痛の作者です、さて皆さんおそらく次回あたりで今回の話は終わりそうです、その前に今回の話のいろんな小ネタを離したいと思います。


まず、今回ですが全体的に凪さんはマイナス思考なのに気づきましたでしょうか、これはかなり落ち込んでいると言うのとコンプレックスに取り憑かれていることを表していて、普段と違ってかなり口が悪くなっています。


それとコンプレックスの話です、今回の話で凪さんにコンプレックスが取り憑いていましたが一体いつ取り憑いたのかと言うと前回の話で夢から覚めた時です。

そもそも前回の話で生徒全員を眠らせたのは凪さんを探すためで、隙をついて操ろうと画策していましたがそれも失敗しましたね。


さておそらく次回はちょっとした謎が追加される話です、とは言えその謎は第1章終了後に明かされ、しかも第1章で区切ろうとしているため結局謎のまま終わるかもしれません。

とは言え最終回の後書きで書くと思います。

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