第76話 正しさのためなら何をしてもいいのか
〜〜〜いつかの過去〜〜〜
テレビの画面の向こうでヒーローが逮捕されている、このヒーローは何をしたのか簡単に言えば盗みだ、ある巨大な敵を倒すために他のヒーローの道具を盗みそれを無断で使用した。
結果としてその敵は倒せたがその戦いの犠牲は多く彼は逮捕された、このニュースを見ていた時の凪は幼くその幼心に疑問に思ったなぜ逮捕されたんだろうと
彼の行動の全てが間違っているとは思えなかったからだ、彼は常日頃善人としてヒーローとして活動している、収入の半分はボランティア団体に寄付し何もない日には幼稚園を回って幼児達と交流している。
だからこそ今回の事件は納得できなかった、彼の行動が無ければ街は愚か国が崩壊していた、それを止めたのになぜ逮捕させたのか、凪はわからず父親に聞く。
「なんで逮捕されたの、正しいことをしたんだよね」
そんな質問に父親は下を向きしばらく考えたのち口を開く。
「難しい話だなぁ…そうだね、例え正義や愛、正しさのために何でもしていいのなら人は戦争すら起こせてしまう、例えそれが正しい事だったとしても、正しさのために何をしても良いわけじゃない」
「よくわからない」
「例えば家族全員が食べるケーキを作ろうとしよう、最高なケーキを作るにはチョコレートが必要だったけど、そのチョコレートは凪の物だった、けど最高なケーキを作るために勝手にそのチョコレートを使うのはいいことかな」
「…ケーキはいいけど…チョコートが無くなるのはいやだ」
「少し違和感のある例え方になったね、けど…伝えたいのはそう言うことさ、正しいは間違った事をする事の言い訳にはならないんだ、わかったかな」
〜〜〜〜今〜〜〜〜
【さあやるのだ正しいことを…】
凪の頭にコンプレックスの声が響く、その声が自分の声じゃないことなんて気づくこともできない、それは全て自分のうちなる声で本心だと思っている。
その声に導かれるまま地面に散乱する注射器を握りしめ針のキャップを外し震える手で自分の腕に打ち込もうとする。
針が肌に触れ血が肌を汚す。
【クラフトが言っていた大いなる力、伝説の力がそこにある、押して手に入れるんだ最高の力をその力で世界を救える、誰からも必要とされない弱いお前から卒業するのだ】
「はぁ、はぁ、はぁ」
凪の心臓が自然と早くなる、呼吸が荒くなりドクドクドクと頭まで揺らす鼓動は全身を震わせ注射器のボタンに指を置かさせる。
【変わるのだ必要されないお前から】
「必要とさせる」
【「私に」】
凪の体が黒いモヤが溢れ出しそのモヤは形をかけ真っ黒な凪の姿に変化する、その黒い凪はコンプレックス、コンプレックスは凪の背中から抱きつき注射器を持つ左手にそっと両手を重なる。
【そうだ、コレこそが】
「……正しさのために」
【ん?】
体の震えが無くなり凪は親指をボタンから離す。
鼓動でゆれる脳みそは過去の記憶を呼び起こさせる、今はなき父との何気ない会話を
「全てが許されるなら、戦争すら許されてしまう」
【なんだ、闇が消えて……】
凪に抱きついていたコンプレックスが何かに弾かれ飛ばされる。
コンプレックスが凪の体から離れたからか凪はどこかつきものが落ちたような顔をしてながら持っていた注射器を投げ捨てゆっくり立ち上がり前に進む。
凪から弾き出されたコンプレックスはその行動が理解できなかった、彼女が仲間より劣っているのは確かで本人も自覚していた、手を伸ばせ手に入る簡単な力をなぜ手放すのか理解できなかった。
「まだ…やれる」
凪は拳を握りしめながらゆっくりと近づく、全ての魔力と力を右手に集約させる。
誰がどう見ても無謀で意味のない行為、コンプレックスも凪自身もそう思っている、そんな無謀の行為を大自然は見ている、折られた木、空を飛ぶ鳥、近くを流れる川、土や風や猫はその行動をただ静かに傍観する。
「はあ、はぁ、ねえいい」
「あ?」
ボン!!
凪は全てを込めた拳を思いっきり男にぶつける、しかしそんな攻撃に何の意味もない、真夏に虫が激突したぐらいのそれほどのダメージしかない、と言うかダメージにすらなっていない。
凪はその場に倒れ込み、全身から汗を流しながら肩を動かすほどの呼吸をする。
「…生きていたか、だがもう立てないぐらいボロボロじゃないか」
「はあ、はぁ、はあ」
「いいさボブの前にやってやるよ」
男は凪の首を掴んで持ち上げ、瞳を開け溜めていたエネルギーを解き放つ。
この地はかつて戦争があり神々は敗北しこの地に眠った、その魂は自然へと帰り長い年月をかけこの山になった。その自然は見ていたこの戦いの全てを
自分では敵わない、そんな事はわかっていても立ち上がるその意思をその覚悟は沈黙を貫いていた自然を動かした。
「…なんた」
木に止まっていた鳥たちが一斉に羽ばたき、大地が揺れ風は吹き足元に花が咲く、男はその異質な状況に戸惑いながらも凪を殺そうと溜めたエネルギーを放出したその瞬間、ありとあらゆる自然が凪に答え大いなる力を与える。
それは突然凪の目の前に現れた、まるで宝石のように金色に眩く輝く大剣、その大剣は男が放った光線を凪から守り衝撃波のような物を放ち男を突き飛ばす。
「なんだそれは」
「これは…いったい……」
『無性の愛を与えましょう』
木の上にいた猫が凪の足元に近づくと声を発する。
「あなたは…だれ」
『私はこの地に眠る者達の1人、私達はあなたの全てを見た、あなたの覚悟を…それは私達からの贈り物です、誤解せぬよう言いましよう、これは慈悲ではありません
これはあなたが勝ち取った物です、あなたの心が行動が私達を動かした、受け取りなさいそして誇りなさい、良き心を持つ自分自身を…』
凪はその剣に手を伸ばす、すると剣の光が体全体に伝わり凪の姿が変わり始める、派手で可憐なピンクは黄金の金色に変化し、頭には王冠、首には宝石がついたネックレス。
背中には王者をイメージさせる赤いマントを羽織る、今までとは違う新たな姿に変身をとげる、まさしく強化形態の名にふさわしい姿だ。
『ゴッドウォーズ、それがその剣の名前です、この地での戦いに意味があったように、あなたの全てに意味があるのです』
どうも最近小説が書き終わるのが23時ぐらいですごい眠い作者です、なぜか最近はすらすらかけない、なぜなのでしょうか。
さて今回は久しぶりに作品の話をします、今回でやっと凪の強化形態が出ましたね、相変わらず姿の描写が下手すぎてイメージしずらいのではないのかと思ってしまっています。
で、この強化形態ですが最初から計画させていて、凪の能力が攻撃的な能力ではないのは強化形態があるから攻撃的な能力にはしませんでした。
さてここからは裏話なのですが初期では凪が使う武器はワンデイのみで魔法は使いませんでした、なら何で色々追加したのかと言うと再生能力だけで戦えるような敵がいなかったからですね、簡単に言えば凪が弱かったから強くするために新たに付け加えた感じです。