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第66話 超監視世界

「こちらファルコンワン、中庭から第一校舎に侵入しますどうぞ」


「なにふざけているんだい」


 凪は大きめの段ボールをかぶりながら移動していた。


「静かにクラフトさん、誰かに見つかるよ」


「こんなでかい段ボールで移動してたら見つかるさ」


「そんなあるわけないじゃん、段ボールで姿隠してるんだし見つかる訳が」


 キーンコーンカーンコーン


『1年生の皆さん、中庭に段ボールの中に入って眠って居ない生徒がいるようです、皆で眠らせてあげましょう』


「ほら」


「ば、ばかな見つかっただと、クラフトさんが騒ぐからだよ」


「僕のせいじゃないだろ、早く段ボールから出るんだ」


「わかったよ」


 凪は段ボールから出ると急いで空を飛んで木の上に隠れる、下では1年生達が集まっており、あいていない目で凪を探していた。


「危なかった、少し遅かったらどうなってた事か」


「段ボールで遊んでるからだよ、ほら見て見ろ君がさっきまで隠れてた段ボールがぐしゃぐしゃだ」


「何とかして放送室に行かないと、クラフトさんテレポートで放送室にいけない」


「えーっとそれがだね、ここの学校全体にテレポートを妨害する何かがあるみたいなんだ」


「何それ、そんなのありなの、なら皆に連絡は」


「やってるんだが・・全然既読がつかないんだ」


「どうしようか」


 キーンコーンカーンコーン


『中庭の皆さん、中庭の木の上に眠って居ない生徒がいるようです、皆で眠らせてあげましょう』


「な!!」


 中庭に居た全員が一斉に木の上を見つめ一斉に木の上を狙って攻撃を仕掛ける、凪は急いでその木から降り地面に着地する。


「なんで、まさか誰かに見られてた」


「凪急いで逃げるんだ」


「わ、わかってる」


 凪は飛んでくる遠距離攻撃をかわしながら逃げようとしたがロープがついた矢が凪の肩に突き刺さり物凄い勢いで引っ張られる。


「うおおおお」


 その矢を急いで抜こうとしたが全然抜ける様子はなく地面を引きずられながら引っ張られる。


「まずい、まずい、まずい、まずい」


 何とかしてロープをどうにかしようともがいていると頭上から1本の矢が飛んできてロープに当たるとロープを切断した、何が起こったのか分からなかったが急いでその場を離れようとした凪に火球が飛んできていた。


「くっ、避けれな・・」


「お嬢様!!!」


 上空からピッカラが現れ火球を矢で相殺すると凪を持ち上げ上空に避難する。


「怪我はありませんか」


「ありがとうピッカラさん、危ないところだった」


 ピッカラは屋上に降り立つと凪を降ろした。


「助けてくれてありがとう、でもなんでここに」


「主様の方でもこのようなことがありまして、お嬢様が危ないと主様が私をここに向かわせたのです」


「そうだったんだ、大丈夫かな太一くんは」


「主人様なら大丈夫ですよ、とにかく今は放送室にいきましょう」


「……………ん?」


「どうした凪」


「…いや、なん…」


キーンコーンカーンコーン


『第一校舎の皆さん、後者の屋上に眠って居ない生徒がいるようです、皆で眠らせてあげましょう』


 スピーカーから声が響き空を飛ぶ能力を持つ生徒達が屋上に登ってくる。


「で…ってもう」


[凪!!]


「もうわかってるって、逃げよう」




~~~~~~~神川探偵事務所~~~~~~~~~~~


「魔法少女の写真を撮って欲しいんだ」


 探偵事務所にアポ無しで来たスーツを着た男はそう言いながら机の上に置かれた水を飲む。


「え、えーっと、すまないがどうして探偵事務所に?もう少し別の所があるんじゃないのかな」


「できれば…秘密にしてほしくてね、ここは依頼人のプライバシーを守るんだろ」


「……まあ、そうですが」


「金はだすとも、ここに」


 男はそう言いながら手に持っていたバッグを机の上に乗せ、そのバッグから束になった1万円を机の上に置いた、少なくとも10万20万の束じゃない、100万は余裕でありそうほど大きな束だった。


 バッグからチラリと見えた中にはそんな束の万札がバッグいっぱいに入っていた。


 お金にそれほど興味がない真琴ですら、それを見た瞬間固唾を飲み込んだ。


「大富豪か何かかい」


「そんな者じゃないさ、もっとちっぽけな存在さ、でどうする依頼を受けるのかな」


「…ちなみに写真をどうするつもりだい」


「変なことには使わないさ、別に犯罪に使われるわけじゃないしネットで拡散されるわけでもない、もし君が写真を撮って何かが起きたとしても君に責任はない」


「………こうお客を疑いたくはないんだが…少し」


「怪しいかな、だが私は写真を悪用することはないと誓うよ、だから信用してくれ」


 そんな言葉で信用する人間がいるだろうか、口八丁手八丁とはよく言うが口先だけを信じる人間はどこにも居ない、しかしこの男からは信じられる何かがあったのだろう。


 真琴は


「…わかった」


 と一言呟く。


「なら依頼を受けてくれるかな」


「少し考えても」


「考えなくてもいいんじゃないかな、君は他の仕事の合間に写真を撮るだけでいいんだから」


「………それも…そうだね、依頼を受けよう」


「それはよかった、この金は前金として受け取ってくれ」


「契約書を作るから少し…」


「いや、作らないでくれ、情報を残したくない」


「……そうかい、なら名前は?」


「いいだろ、そう言う細かい話は無しで君は写真を撮るだけなんだ」


 そう言うと男は立ち上がりドアに向かおうとした、真琴はそれを止めることはなくただ棒立ちで見ていた。


「ん?」


 男はドアノブに手を開けるとドアを開けようとしたが室内にある防犯カメラに気づいて動きを止めた。


「どうかしたかい」


「いや、ここのカメラは自分で取り付けたのかな」


「ああ昔よりはマシになったが泥棒はいるからね、適当に3000円ぐらいの奴を買ってつけたよ」


「今はそんな値段で買えるのか、いい時代になったものだな」


「まあね、ドラレコも今やそんな値段で買えるよ」


「そうなのかなら、今日の映像のデータを消してくれるかな」


「ああ、別に構わないよ」


「写真は次来る時に渡してくれ、来る時は今日と違って連絡するよ、あと誰にも言わないでくれよ」


「言うわけがないさ」


 男はドアを開け探偵事務所を出て行った。


 男が出たタイミングで丁度買い出しに行っていた助手の顎門と鉢合わせた。


「「カレールーに肉に人参に…」「ん?ああどうも」「依頼人ですか」」


 男は顎門を見ると歯に何か詰まったようななんとも言えない表情をさせながら何も言わずにその場を去った。


「「なんだったんだあれ」「さあ」」

今週に旅行に無理矢理連れていられる作者です、どこかで3話ぐらい書き置きして投稿しようかなとか言っていましたが今のところ全然書き置きできてません、うん休みになりますね。


さて前回から登場した謎の人、前からちょくちょく出てると言ったら誰かわかってしまいますね、あの人です。これ以上書くとネタバレになりそうなのでこの辺りで終わりますね。

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