第37話 魔王は無口であった
「やった、当たった、当たったよファンさん」
「つ つまり これは勝ちだよね」
「ああ、私達の勝ちだ」
「いいえ」
「【まだ お わ ら ない】」
魔法少女にとっての必殺技と言われるワンデイを避けられない状態でもろに喰らって2人はかなり疲れた感じを出しながらも立ち上がった。
………本当に必殺技かこれ。
「ま、まだ立つの」
「こうなった もう一回」
「いややめておこう」
「なんでミスティさん」
「【い が い ね】」
「これ以上戦って私達に勝てるか、さっきの攻撃を喰らって無事じゃすまないだろ」
実際その通りだ、2人は立ってられるのもつらいほど疲弊している、そんな状態で戦えるわけがないのだ。
例えるならオセロで角全部取られ半分が相手の色だった時のように詰んでいる状況だ、こういう時は潔く負けを認めるべきだが人間と言うのはなかなか負けを認めたくないものだ。
この2人も勝てない状況なのは分かっているがプライドが邪魔をし負けを認めない。
そんなプライドなど犬に食わさればいいのに。
「ふふふそう言うわけにはいかないわ」
「【こ こ で 大人しく か え る とでも】」
「第二ラウンドの始ま・・」
ドサ
背後の瓦礫の山から音が聞こえ2人は冷や汗を流しながら動きを止める、その音は沈黙を貫いていたスカルキングが目を開き立ち上がった音だった。
【・・・・・・】
「スカル」
「【こ れ は】」
スカルは首を回すようなしぐさを見せると口を開き大きく息を吸う。
「まずいわね本気よ」
「【こ こ は 逃げま しょう】」
「え?第二ラウンドは」
「このまま逃げるの とんだ腰抜けの敗亡者じゃけ」
サイキックスが背後に魔法陣を作り出すと2人はホノカのあおりを無視しながら魔法陣に入り逃げようとする。
このまま逃がすわけには行かないと凪とホノカは走って追いかけようとしたがそんな2人の前にクラフトが突然現れ2人を止める。
「な、なにクラフトあの2人を逃がすわけには」
「そうよ そこをどいて じゃないとあの女殺さない」
[そんなこと言ってる場合じゃない、早く逃げますよ皆さん手を握ってください]
「そんなこと言われても」
「そうだそうだ ここで逃がしら絶対あとあと出て来て強化ホームとかメカ化して出て来るよ」
[そんなことどうでもいいんです、早く握ってください複数人をテレポートで飛ばすには手を握ってもらわないといけないんです]
と説明しても納得出来ずに逃げようとしているクローシス達を追おうとしている2人の手を真琴は握り締めるとクラフトは3人をテレポートで1キロ離れた遥か上空にテレポートさせた。
そのテレポートから1秒後スカルが呟いた。
【きたかボルバ】
その呟きは周囲の瓦礫や鉄骨を全て塵に変えた、それだけではなく周囲の500m内のありとあらゆる物が崩壊し塵と変わった、家も虫も生物もコンクリートも鉄骨もありとあらゆる物が1秒と満たないスピードで崩壊した。
「な、なにあれ」
「噓でしょ」
その崩壊の威力は1キロ離れた先にいる凪達が風に飛ばされそうになるほどの威力で1キロ内の建造物にひびができ窓ガラスが割れ人々がその場で気絶し倒れ込んだ、まるで隕石が飛んできたみたいにその場がえぐれ、研究所があった面影がないどころの騒ぎではない、そこにはもう何もなかった。
「噓だろこれ」
[スカルキングが現れても研究所が綺麗でしたからただの付き添いかと思いましたが、まさか攻撃してくるなんて]
「わ ワロタにえん」
「何をしたの」
[一言呟いただけです、これで父親より弱いなんて言われるんですから驚きですよ]
「何者なのあれ、呟いただけでこれって」
[魔物の始祖と呼ばれ全ての生物の頂点に立つ存在と言われています、現在はキャプテン・ボルバと戦ってるみたいですが]
「ちょ 頂点ま」
「なるほど、だからあの2人は逃げ出したのか、こんな威力だ至近距離だったら間違いなく死んでいたな」
[ここは撤退を・・・あ不味い]
「何がまずい 言ってみろ」
【・・・・・】
スカルはクラフトのテレポート先を感知して瞬間移動で凪達の元までやって来る、先程の攻撃を見たせいか凪はスカルの姿が巨大で恐ろしいものに見えた、その恐怖心からか何も出来ずに自然と体が震え涙が流れてしまう。
「・・・・」
[まず・・]
スカルは再び口を開こうとした、凪は死を悟り目を閉じる、ホノカは現実かと疑う、真琴は壁を作り最後まで抵抗する意思を示す、三者三様の意思が見られスカルは満足そうな笑みを浮かべながら息を吸った。
「スカル!!!!!!!!!」
【……!?】
上空から男の声がした、スカルはその声が聞こえた方に視線を向けると、視線の先から巨大な剣が飛んできてスカルの体に突き刺さった。
その剣が刺さり盾を持った男が現れスカルの体の上に乗り無理矢理口を閉じさせた。
【・・・・・】
「そのまま黙れスカル、ボブこの子達を頼む」
目を閉じていた凪は目をあけ、目の前に広がる現象を眺める、スカルの口を閉める男は白髪で少しヨレヨレのシャツを着た背中に盾を背負うヒーロー、凪はそのヒーローを知っていた、奴は世界でも有名で最強と呼ばれる存在だからだその名も
「キャプテン・ボルバ」
かつで龍を1人で倒したという脳筋ゴリラ、凪はそのゴリラに驚いているとゴリラと一緒にやってきていたボブと呼ばれる金髪の筋肉ムキムキの男が3人の体を掴むと遠く離れた所の駐車場に一瞬で移動して3人を降ろした。
「はあ はあ 死んだかと思った」
「なにが起きたんだい今」
「危ないところだった、あ、ありがとうございますえーっと・・」
「僕はボブだ、感謝なんてしなくていいさ」
「そんなわけにもいかないさ、間一髪のところだったよ」
「まさかスカルの子供、私達が近くに来た瞬間に攻撃するとは」
「どゆこと」
「元々僕たちはスカルの子供を捕まえる為にこの国に来たんだ、奴の目撃情報があったから行ってみたらこの始末だ」
「君とボルバ氏はパートナーなのかい」
「すまないが話している時間はなさそうだ、また時間がある時に会えたら詳しく話そう、取り敢えずここから離れてくれ」
ボブはそう言うと空を飛び、そのままスカルが居る方向に向かった。
今回の話でスカルのヤバさが表現できて嬉しい作者です、元々別の作品で主人公にしようとしてたキャラクターの息子なので出せて嬉しいです。
そう言えばみなさんこの作品も気づけば37話で6エピソードまで来ました、ここまで来ると全部読むのがめんどくさい人が出てくると思います。
なので次回はこれまでの話をまとめたあらすじを投稿したいと思います、各エピソードの1話に前回のあらすじとして割り込みで投稿する予定ですので見たことある人はこんな話があったなと思いながら見てください。
少しでも読みやすいようにと言うのは表向きの話では本音は楽に1日投稿のノルマが達成できるからです、たまに休ませてください。