第34話 典型的な物ほどハマりやすい
「【た の し ませて もらう わ】」
口に猿轡をした露出狂の声が脳内で響き渡る、2人は軽い頭痛に襲われつつも直ぐに起き上がり戦闘の構えをとる、本来【テレパシー】に頭痛を引き起こす効果はない、しかし失敗した【テレパシー】は対象に頭痛を引き起こしてしまうことがある、サイキックスと呼ばれる少女はあえて【テレパシー】を失敗させることで頭痛を引き起こしたのだ。
魔法をわざと失敗させることは逆に難しい、そんな事を軽々とこなし宙に浮きながらゆらゆらと近づいてくる。
「す、すごい恰好」
「君部下にどんな格好させてるんだい」
「どんな格好って普通のか・・・待って」
クローシアはゆっくりと近づこうとしていたサイキックスの肩を掴む。
「【ど う し たの】」
「ごめんなさい、あなた達少し待ってなさい」
「え、あ、はい」
「なんで着てないの、用意したでしょ」
「【き る 文化 が ないの】」
「生まれも育ちも日本でしょ」
「【私 は 研究所 う ま れ 育ち】」
「そうね着なさい」
「【な ん で ベッド の 上では 脱が せ た のに】」
「やめなさい、子供の前よ」
「子供の前だとダメなのミスティさん」
「そうだね、うん知らない方がいいこともあるさ」
「【わ た し は 自然 体 が い い の】」
「黙って、今作るから」
クローシアが指を動かすと毛糸がサイキックスの体を包み込み即席の服を作り出した。
「【な く て も いいのに】」
「ダメよ、子供の前よ」
「ゆびすま・・あ終わりました」
「おい今の私の勝ちだろ」
「ミスティさんほら前みて前」
「ん?ああ終わったか」
「丁度2人ね」
「あれ後ろの骨の人は」
「【スカル は う ご か ないわ】」
「なんで?お眠なの」
「【お ね む ふふ そうね】」
「スカルはただの付き添いよ、彼は動くことはないわ、もし彼が動くときは私達が負けるときね」
「私達が負けると言いたげだな」
「逆に勝てると思ってるの」
まるでピアノの鍵盤を弾くように指を動かすと瓦礫が浮き始めその瓦礫が人の形を作り出す、鼻歌でリズムを取りながら指を動かすと瓦礫で作り出した人形が動き始める。
「2対2とは言え相手は幹部」
「ドロップスも何だかんだで強かったし気を付けないと」
「どっちがいいサイ」
「【わ た し は ピンク髪 の 子を】」
「私幼女をいじめる趣味はないんだけど」
「【その 子 39歳】」
「年齢は関係ないの、絵ずらが酷いから嫌なのよ」
サイキックスは周囲に散らばる瓦礫を飛ばす、2人はそんな攻撃を軽々とかわすがかわした瓦礫は地面に当たらず再び2人に襲い掛かる、真琴は壁を作り瓦礫を防ぎ、凪はその壁に隠れるため真琴と合流しようと考えたが別の瓦礫が飛んできたことで真琴と合流出来ず真琴との距離は離されてしまう。
2人の分断が上手くいき、真琴にはクローシアの人形が襲い掛かり、凪にはサイキックスが立ちはだかる。
「【ふ た り きり ね】」
「えーっと、その喋り方どうにかなりません、凄い眠たくなってくるんですけど」
「【眠って い い のよ 私が お せ わ してあげる】」
サイキックスにフェイスと同じような嫌悪感を抱き愛想笑顔を浮かべながら、真琴さん変わってくれないかなと思う凪であった。
一方真琴は襲い掛かってくる瓦礫人形を定めの鎖で破壊すも、所詮は瓦礫でできた人形で壊しても直ぐに元に戻ってしまう。
「やはり能力で操ってるだけか、やるなら本体か」
「その剣知ってるわよ、博物館にレプリカがあるもの、鏡の世界に干渉する剣どうしてあなたが」
「入院中に悪魔よけとして知人に貰ってね、それより足元気を付けた方がいい」
「ん? おっと」
宙に浮いていたクローシアが突然足場が消えたみたいに落下した。
「切られてる、いったいいつ」
「糸を作る能力なんてよくあるし典型的だぞ」
クローシアの能力は糸を作る能力、宙に浮いているのは足元にピアノ線のような見えずらい糸を張り、その上に乗っていただけ、真琴はそのことに気づきクローシアの足場になっている糸を壁を作り出すことで切った、そして足場がなくなって無防備に落下中のクローシアに鎖を伸ばした。
鎖がクローシアの体に巻き付いた、だがその体は鎖が触れた瞬間体の包帯がほどかれ中身があらわとなる、その中身は口を糸で塞がれ白衣来た研究者、これはクローシアが作った偽物と気づき辺りを見渡すころには遅かった。
「古典的なものほど引っかかるものよ」
後ろにクローシア、真琴を後ろから抱きしめると無数の糸が真琴を包み一瞬でクローシアと同じ全身ミイラのような姿に変貌する。
「うぅ!! グッ ウぅ!!」
「暴れない方がわよ、ライダースーツみたいにぴちぴちにしたから、暴れれば暴れるほど食い込むし疲れるだけよ」
クローシアは真琴を持ち上げると瓦礫で十字架を作りその十字架に真琴を貼り付けると勝利を確信したのか糸で簡単なハンモックを作り出し座り込む。
「【1人 お し ま い】」
「え、うそ早!!まだ1分も経ってないよ」
「酷いいわれよう」
「フぅ!!! ウぅ!!」
「【あ な たもそうよ】」
緑色の雲がサイキックスの体から作り出されその雲は大きな腕の形を作り出す、その雲は凪の体を掴もうと襲い掛かる、凪はヒートウェイブと指輪に向かって語りかけると手のひらに魔法陣を浮かび上がらせ、その魔法陣から高熱の風を放つ。
雲はその熱風に吹き飛ばされるがサイキックスの攻撃は雲だけじゃない、雲に集中している間に念力で背後の鉄骨を捻じ曲げその鉄骨で凪の首を絞めようとする。
が凪は鉄骨が来ることが読めていたのかバク転で鉄骨をかわした。
「【お ど ろきね】」
「その言いたくないけどやり方が同じなんだよね、あの飴玉中毒者と」
「【あ ら ま 彼が パック た のよ も と も と】」
「あの、できれば普通に喋って、下手なASMRみたいで聞いてるとイラついてくる」
「【ふ つ う って なに】」
「猿轡外したら普通に喋れると思うよ」
「【…………ん?】」
ダメだこの人会話にならないと思いながらスペルコードを元のサイズに戻し走り出す、しかし走り出した凪の体は突然動かなくなった。
凪の体が動画を一時停止したみたいにピタリと止まったのだ。
「【た の しみ だった のに】」
「なにも楽しくないわよ、こう言うのはとっとと片付けるに限るわ」
凪の体には無数の糸が絡みつき、糸は凪の体に食い込み始め腕や太ももがローストハムみたいになっていて無理に引き剥がそうと動かすと糸がさらに食い込み血が流れる。
「痛い」
「暴れないで、もう終わるわ」
無数の糸が凪を包み込む、その糸に抵抗すらできず凪の全身は糸に囚われる。
「さよなら過去の魔法少女」
毎回後書きを書こうとした瞬間に書こうとした内容を忘れる作者です、もはや世間話のコーナーですねこれ、書くことがないので今後明かされるどうでもいい秘密を一つ書きます。
前回登場して今回も出てきた露出狂のサイキックスさんですが、母親は檀野 彩芽さんなんですよ、誰だと思った人私の恥ずかしい過去作に出た人です。
で、なんでその人を母親にしたんだと言いますと、出す予定だからですね檀野 彩芽を、書く余裕があったらマックスと絡ませる予定です、予定ですよ予定。
マックスと言うキャラクターも実は過去作に出てたりはするのですが、そこら辺の理由はこの作品では語れなそうなので別の作品で語りたいですね、その前には第1章を書き終わらないとダメですね。