第4話 花壇に水を
自分の名前が特別だと思う気持ちはわからなくもない、名前とは全ての始発点であり死後も永遠に消えることのない呪いであり祝福である。
とは言えその名前を堂々とシャツにするのはどうかと思う、スーパーマンもセントリーにも言えるがなぜデカデカとSを見せつけるのだろうか自信の表れだろうか。
そして凪の目の前にいるこの少年ドロップスもDどデカデカと書かれたシャツを着ている、自信の表れかバカなのか、どちらにしてもこの男は凪の敵だと言うことには変わらない。
「チッ、クラフトに…………!?」
[そこまでだドロップス、これ以上はこの魔法少女が許さないぞ]
「…………」
[えーっとこの魔法少女が…]
「…………」
[魔法少女が……]
「…………」
[あの、名乗ってくれません]
「え?私、え、えーっと魔法少女!!……何だってけ?ワンダビジョン?いやアッカマシー」
[嘘だろ君あんなに覚えやすい名前はないと思うよ]
「茶番に付き合うつもりはない、要件があるなら早く言え」
「要件も何もこれ以上暴れるのはやめなさい、それと領くんを離してあげて、苦しそうでしょ」
「この男と知り合いか、まぁいいこんな男」
ボコボコにされてボロ雑巾のようになっていた領を片手で投げ凪は飛んできた領を両手で受け止める。
「大丈夫領くん」
「…マイ……」
「しっかりして」
「…ド………」
[マジカル!!前見て前!!]
「え?前ッ!!」
領に気を取られら隙だらけの凪は、ドロップスの接近に気づけなかった。ドロップスは機敏に反応し凪の顔面に回し蹴りを繰り出す。
凪はドロップスから放たれる力を受け止められず横へ吹っ飛ぶ。
「きゃッ!!」
ドロップスの蹴りをもろに喰らった凪は割れた窓が散在する床を転がりながら学校の壁に激突する。
「いったぁ…」
[マジカル!!]
体中に窓の破片が突き刺さり至る所から血が流れる、しかし不思議なことにそこまで痛みを感じることはない、それどころかもう傷口が塞がり始めていた。
「その格好ただのコスプレだと思ってたよ」
「あなたに言われたくないし、その格好なに?」
「お前と会話するつもりはない、とっとと終わらせる」
そう言いながらドロップ缶を取り出しその中からピンクのドロップを取り出しそれを口に入れた。
グラグラ グラグラ
「え?なにこれ」
床に散在していた机や椅子が突然宙を浮き始める。
[気をつけるんだ彼は強い]
「そうだお前とは違う」
ビュン!!
割れた窓の破片が風のように凪に向かって飛んで来る。
「嘘でしょ」
凪は咄嗟に腕で顔を守り背を低くして体を丸くする、だが次々と飛んでくる教室の備品に徐々に押され始める。
「お前みたいな小物に興味ない、狙うはレスだけだ」
バキバキ
「え?」
窓枠が外れたと思うとその窓枠が凪の首を絞める。
「クッ……」
凪は首を絞める窓枠を手で払いのけようとするが、次々に飛んでくる備品に腕を使えずどうすることも出来ない。
「ガッ…き、きつ……」
「……やっぱ使いずらいな、やるならこれだな」
首を絞める窓枠は首を強く絞めながら凪の体を持ち上げボディーから顎にかけてガラ空きになる、そのガラ空きのボディーに教科書がパンパンに入ったバッグがモロに激突する。
「ウッ」
それだけでは止まらず掲示物を止めていた画鋲やボールペンが目や舌に突き刺さり目と口から血が流れる。
カラン カラン
「違う、緑じゃなくて、ピンクは食べてるんだよ、赤赤赤…いやオレンジじゃなくて、あった赤」
ドロップ缶から赤のドロップを取り出すと口の中にあったピンクのドロップを噛み砕き、赤のドロップを口に入れた。
すると宙を舞っていた残骸が床に落ち生きていたみたいに首を絞めていた窓枠が絞めるのををやめた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
[大丈夫かいマジカ…え…]
「ふん」
凪は目や舌に刺さっていたものを抜き手で目を覆う。
「うぅ…やふぁいよ、ふふぁい……」
[無理に喋らないほうがいいよ、まだ傷が…って塞がってる]
「はぁはぁ、もう痛いよ!!」
血の涙を拭いボロボロの体で立ち上がる、目の傷は治っているが目からは赤い涙がこぼれ落ちる。
[す、すごい回復力だ、こんなの見たことないよ]
「うぅ…おぇ……」
床に手をつき大量の血反吐を口から吐き出す。
誰がどう見てもこれ以上戦える状態ではない、プロレスで言うならリング上でのノックダウン、リング外に倒れる選手、デュエマならキングVANナインを決めたようなもの。
勝ちが決まっている、そんな状況で無駄に痛めつける必要などない、だがドロップスはまるでサッカーのPKでボールを思いっきり蹴るみたいに凪を思いっきり蹴り飛ばす。
ベキベキベキベキ
骨の折れるような音と共に壁を突き破りながら外に飛ばされ第二校舎の壁に激突し地面に落下する。
[そ、そんな!!マジカル!!!]
「終わったな」
第二校舎の壁には血がベッタリとへばりつく、校舎の花壇には人とは思えないほどグニャグニャに曲がり血だらけの魔法少女が倒れる。
白い花がまるでサンゴミズキのように赤く染まる、その光景を校舎から見る生徒達は悲鳴を上げる。
その悲鳴を聞きながら凪は思った、これって魔法少女の戦い方?と
やっとバトルが始まりましたね、なんかなろうでは3話でバトルに入らないとダメという話を聞いたことがあるんですが…1話遅いだけなんでセーフですよね。
この話を書いてる時はかなり激しい音楽を聞きながら書いていた気がします、今書いてる話に比べると健全ですね。
え?今書いてる話がどんな話だって、それはお楽しみなんですがエロゲのエロシーンを見ながら書きました…
嘘ですよ半分は休憩中に書きました、もう半分はToLOVEるを見ながら書いてました、ね、健全でしょ。