第30話 しばしの休息
「大人しくしろ」
「犯人は一名コードネームドロップスです」
魔法少女に舐めプして敗北した哀れな間抜けのドロップスは強化アイテムであるドロップ缶を回収され両腕に手錠をはめられ警察に連行されていた。
まずは病院で傷を治してから事情聴取を行うそれまで倒れるなと言う警察は声をかけながらドロップスを救急車に運び込もうとした。
しかしその時不思議なことが起こった。
さっきまで喋って歩いてきた警察官達が電池の切れた玩具のように突然と動きを止めたのだ。
「…これは」
ドロップスが戸惑っていると手につけられた手錠が光になって消え、体内に入っていた弾丸が勢いよく体から飛び出したのだ。
「痛って…」
「まさか負けるなんて、思っても見てなかったよ」
いつのまにかドロップスの後ろには緑のマントを羽纏いスーツを着た1人の男が立っていた。
「…マックス」
「だから言っただろ、あの男を狙うのはやめろと、そんなに死人の役がやりたいのかな」
「黙れマックス、あの男は必ずこの手で…」
「いいかい運命を選んでしまったら運命を変えることができない、役者が一度選んだ役を降りれないのと同じように、途中で変えれない突き進むしかないのさ」
「くだらん運命なんてただの迷信だ信じるかよ」
「それなら結構、だが忠告しておくが得する役は全部埋まっている、後は魔法少女と同じ損する役だけだ、損したくないならモブか客になるしかない」
「………そうかよ」
〜〜〜〜〜四宮家〜〜〜〜〜
「大事に至らなくてよかったね四宮くん、しばらく自宅療養だけど大丈夫なんだってね」
真琴は四宮家の冷蔵庫を開けるとお茶を取り出し炎二のコップに注ぐ。
あの後の話をしよう、ドロップスの戦闘後警察によって身柄が拘束され連行されたが逃走、炎二はこの事件で折れた骨のために治るまで自宅療養。
そして凪と真琴はその療養中の炎二の見舞いと新たな魔法少女となったホノカに会いに来ていた。
「歩けないぐらいの酷い怪我じゃない、見舞いの必要なんてない、そもそもこの子はなんでここに居るんだお前だけでよかっただろ」
「なんかすいません」
「まあそう言わないでくれ、色々と穂乃果ちゃんの事で話したいことがあってさ、はい猿渡くん」
「ありがとうございます」
真琴は持ってきた紙コップにお茶を入れ凪に渡し、鞄の中から徐に缶ビールを取り出し開けようとした所で炎二が静かな殺気を放ちながら真琴を睨みつける。
「…冗談さ、車で来てるんだし」
「ツッコマなかったら飲んでただろ」
「そんなことないさ、そう言えば四宮くん」
「なんだ」
折れた骨に気を遣いながらコップを持ち口に近づける、1年前に飲んだジュースのペットボトルをお茶入れ用に何回も使いまわしたからかお茶は少し苦い。
飲み終わったら捨てようかななんて呑気に考えながら真琴の話を聞き流す。
「穂乃果ちゃん魔法少女になったんだって」
「ブッ!!」
炎二は聞き流さない言葉に口に入れたお茶を勢いよく吹き出し、折れた骨の激痛に悶えながら机に頭をつける。
「だ、大丈夫ですか」
「ゴホ、うぉおうぉ…ブゴ、はあはあだ、大丈夫だ」
「前に座ってなくてよかった、当たるところだったよ」
「そこなの」
「いてててお前なんでそれを知ってる」
「四宮くんこそなんで知っているんだい、魔法少女は正体がバレないようになってると思うが」
「状況証拠的に穂乃果しかないだろ、2人しか居なかった魔法少女がドロップスを倒した後に3人になって、しかも現場には娘の姿はなく新しい魔法少女は娘がネットで活動しているアバターと全く同じ
しかも帰ってきたら事件の後の事をわかりやすくはぐらかす、これで別人は無理があるぞ」
「それは…確かに」
年齢差が25歳以上ある2人の会話に愛想笑いしかできない凪は早く終わらないかなと思いながらコップを持ち長いお茶を口に入れる。
「はぁ、どうしたものか、と言うよりなんでお前が知ってる」
「それは、私が魔法少女ミスティラウンでそこに居る猿渡くんがマジカルピンクだからさ」
「`。*:`( ゜д゜*)ガハッ!」
凪は真琴の突然の告白に思わず口の中のお茶を真琴に噴き出す。
「おいおい全部かかったじゃないか」
「ゴホゴホ、え、なんで言ったんですか今、こう言うのって秘密ですよね、それに警察の人に言うなんて」
「ズゥゥ(お茶を飲む音) 四宮くんこのお茶カビ生えてるんじゃないのかい、なんか苦いぞ」
「どう言うつまりだ真琴」
「そうですよ、なんで言うんですか」
「流石に俺も警察官だ、今の発言を無視するつもりはないぞ」
「私は別に逮捕されても構わないし、証拠は今の発言だけさ、その発言も録音されているわけじゃない、それに本部に私達が魔法少女だと言っても聞いてはくれないだろ」
「いや、だからって」
「そもそもお前少女って歳じゃないだろ」
「おいこら流石に怒るぞ」
「だがなぜ明かす必要がある、黙っていればよかっただろ」
「1つは君がお得意様だから、2つ目は君は魔法少女の父親になったから、3つ目は警察の力が必要になりそうだからかな」
「待ってよ真琴さん、なんで警察の力が居るんですか、下手したら捕まるかもしれないのに」
「だからだよ、下手に使ったら捕まってしまう、だから四宮くんの力を借りたいんだ、私達の敵は殴って気絶させて終わりじゃなさそうだからね
だから今のうちに取引がしたくてね、穂乃果ちゃんの事もあるしね」
「…はぁ、わかった話は聞いてやる」
後書きに書こうとして考えていたネタをど忘れした作者です、運転中に今回の後書きのネタを考えていたんですが思いっきり忘れましたね。
なので語るつもりもなかった22話の話をしましょう、みなさん22話がないのに気づきましたでしょうか、間違えたとかではなく意図的に飛ばしました。
22話では物語の本質になる敵を領くんが言う話なんですが、流石にここで明かすのは面白くないと思いわざと飛ばしました、なので22話はこことぞ言う場面で投稿しようと思っています。