第28話 配信待機中
翼を手に入れたドロップスは大空を縦横無尽に飛び回りながら能力ドロップと書かれた缶から氷柱の模様が描かれた水色のドロップを取り出し口に入れると、周囲の温度を下げ氷柱を作り出し空を舞いながら氷柱を落としまくる。
……また氷柱か。
「危な!」
「マジカル近くに来て」
真琴は頭上に壁を作ると氷柱に当たりそうになった凪を引っ張って壁の下に入れる。
「た、助かった」
「そうでもなさそう」
氷柱では壁が壊さないと悟ったのか水色のドロップを口から吐き出すとパワードロップ缶から速度を上げる青色のドロップを取り出し、口の中に入れる。
「え、もしかしてアレってまずい」
「突っ込むつまりね」
「だったら早く逃げないと」
「逃げても同じよ、ここは…」
ドロップの力で速度が上がったドロップスの最高速度は時速500キロ、東京から大阪までの距離を67分で走行可能な超電導リニアと同じ速度。
そんな速度で壁に激突すれば壊れると考え突っ込むが壁は割れない。
「チッ、どんな耐久力してんだ、まぁいい」
「いまよ」
真琴は水の反射から定めの鎖を呼び出すと頭上の壁を消す。
「あ?」
今舐めてるドロップを噛み砕いて別の組み合わせで突破しようと考えていたドロップスは突然消えた壁に驚き体を動かすのがワンテンポ遅れた。
真琴は剣先を鎖に変えて動くのが遅れたドロップスの足を鎖で拘束する。
「な、なんだこれ」
「よし上手く行ったわ」
「うぉお凄い」
「この!!」
全力で翼を羽ばたかせらが鎖はドロップスに空を飛ぶのを許さなかった、真琴は剣をふるいドロップスを重機に叩きつける。
「ぐがぁ!!」
そのまま剣をふるいドロップスを引き摺り回す。
自分で散らかしたガラクタの破片が体に刺さり、さらに無駄に生やした翼のせいで余計に突き刺さる、それなら吐き出せば良いだろと思っただろう。
しかしドロップスは口を閉じ吐き出しもしなければ噛み砕くこともしない、その理由単純でデカいから。
ふざけているわけではない、引き摺り回らせている時に鉄パイプを手に取りデカい翼の陰に隠してたのだ。
「…調子に乗るなよ!!」
ドロップスは剣を持っている手元に向けて鉄パイプを投げつける。
とてつもないスピードで投げられた鉄パイプは真琴の手に激突し定めの鎖を手から離してしまう、剣は手から離れたことで剣先の鎖を元に戻し拘束を解除する。
「しま…」
まずいと真琴が思うころには目の前にドロップスの姿があり右ストレートの拳が飛んでくる、真琴は咄嗟に自分の顔の前に30cmの壁をつくりだし右ストレートを塞ぐが、巨大な翼に隠れた左アッパーに気づかなかった。
「ぐっ!!」
左アッパーは真琴の鳩尾にクリーンヒット、その攻撃に苦しんでいる間に左手を握りしめて自分の方に引き壁に顔面を激突させる。
「べ!!」
その激突に鼻が曲がり血が流れる。
「ミスティ…この」
凪は真琴を助けようとドロップスに殴りかかる、しかし濡れてふにゃふにゃの翼に防がれる。
「うわ、なんかグニャとしてる気持ち悪い」
「不死身のやつよりテメェを先に倒さねぇとダメだよな」
真琴の手を握りしめながら顔面を殴る。
魔法少女達が苦戦している間に魔法少女のサポーター兼マスコットのクラフトは何をしているのかと言うと壁にムイナの格好をしながら倒れているホノカに傷を魔法で癒していた。
「ん ん?」
気絶していたホノカは魔法の効果もあってか目を覚ました。
「なにがおこ…」
[目が覚めたようだね]
「ば 化け猫!?」
[ガーン、化け猫は酷いよ君せっかく傷を治したのに]
「え あ ほんとだ傷が治ってる」
[しかし君がそんな顔をしていたとは思ってなかったよ]
「な なんの話ですか 初対面ですよね」
[おいおい僕のことを忘れたのかいムイナ、以前君に会っただろ]
「え(私の知り合いにこんな毛玉居たかな まずそもそもリアルの知り合いが居ないけど)」
[なああの時は断られたけど今は良いだろ]
「ご ごめん さっきからなんの話…ですか」
[僕は前々から君に目をつけていたのさ、世間がどう言おうが自分の正義を曲げず、間違えず人を殺さない、心も体も強いだから最初は君を魔法少女にしようと決めてたんだ]
「……え? なに を 言ってですか」
[前に健康ランドで話しただろ、君には素質がある魔法少女にならないかって、だけど君は
「私は皆んなが思ってるより自分の立場を理解してる、私みたいな犯罪者には向かないよ、ごめんだけど他の子にして」
って断ったけど、今はそんな事言ってる場合じゃない、君の力が必要なんだムイナ僕と契約して魔法少女になってよ]
ホノカは今の状況をなんとなく理解した、自分がムイナと勘違いされていて、父である炎二が捕まえようとした犯罪者とニュースで見た魔法少女が戦っていて苦戦していると
もし自分が魔法少女になれたならこんな状況も……
「いやいやいや 無理無理無理むりぃ」
[なんでさ、君には才能がある眩いほどの輝きが]
「そ そんな事言われても 私なんかただの引きこもりだし 私なんかが無理です絶対に無理です」
[そんなことないさ、いいかい人には無限の可能性があるのさ、その可能せいを僕は…]
「意味わかんないよ とにかく無理私なんかがなったって…」
[言いたくはないけどこのまま彼女達が負けたら次に餌食になるのは警察官達だよ]
その言葉を聞いた瞬間にホノカの瞳の色が変わった、ホノカは恐怖と緊張で体を震わせながらクラフトの手を取った。
次回はようやく3人目の魔法少女が登場しますよ、ここまで長かったような短かったような、いや29話は長いのか、ともあれようやくタイトルの3人が集まります次回乞うご期待。
と言ってはみたものの書けてないんですよね、実際この小説も書き終わったの5/12の23時40分ですからね、ストックが切れるときついですね。