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第236話 落下飴

〜〜〜夕日中学校・プールサイド~~~


 部活動が終了し、学生達が帰宅準備をしませる中、領は誰もいないプールサイドの飛び込み台に座り込みながらプールを見る。


 手にボブから貰った薬が入ったケースを握りしめため息をこぼしていると、誰かが出入り口の扉を開けて鼻歌を歌いながらプールサイドに入ってくる。


「ずっとーあなたのこーと…ばればれな くらい…」


「・・・南?」


「ま…って!!びっくりした」


 プールサイドに入ってきたのは水泳部で同じクラスの南だった。


 南は飛び込み台に居た領に驚き持っていたバックを地面に落とした。


「なんだ領か...ビックリさせるなよ、不審者かと思ったよ」


「それは悪かったな、所でなんでここに?もう部活は終わっただろ」


「忘れ物してさ、と言うかこっちのセリフだぜそれ」


「少し考えごとしててさ」


「僕でいいなら話聞くぜ」


 そう言いながらプールサイドを歩き領に近づく。


「昔さ無能力者だって診断された、今の世界ってよ能力が当たり前だろ、だから俺は価値がないんだって思った、無能力者がどれだけ頑張っても能力者に勝てないって、そんな時あの大会を見た」


「2014年の試合だろ、アスタカルスタフの奴、何度も聞いたよ。他の国に能力者であることを隠して出場した選手が居た、そのことは試合を見ていた誰もが確信したけど大会関係者は否定した」


「なんなら自分は心は無能力者だって言い張って参加した」


「だったな、マジで酷い言い訳だよな、それで誰もがその能力者が一位になる事は決まっていたけど無能力者のアスタカルスタフは能力者を追い越して優勝した、今聞いても信じられないな」


「それ見て俺水泳選手を目指したんだ、アスタみたいな選手に...けどさ中学生になって能力に目覚めてさ、出場禁止になってさ...正直に言ってもう夢なんてどうでもいいって思ってた」


「りょ、領...そのあまり落ち込むなよ」


「違うんよ、そう言う話がしたいわけじゃない、ただ能力が消せる可能性が...その...あったらさ、どうするべきなのかなってさ」


「なんだもしものはなしか、物凄く落ち込んでると思ってた」


「もう水泳の件に関しては俺の中で区切りがついたんだよ」


「で、なんだって能力が消せる...可能性?あるならやった方が良いんじゃないか」


「そうなんだけど...そうなんだけどさ、それって本当にいい事なのか、確かに能力のせいで夢を諦めさせられたよ、でもさ能力って自分の体の一部なわけだろ、それを簡単に切り離して良いのかなって」


「でも夢がかなうんだろ」


「だったら自分の腕を切り落とすか」


「それは...まあ、そうだけど」


「確かに俺もこんな能力は正直に要らないしクソだと思ってる、けど否定してもそれは自分自身なんだよ、自分の体の一部で病気とか寄生虫とかじゃないんだ、これは才能の一種なんじゃないかって」


「でもさ、それのせいでずっと重ねてきた努力が無駄になるわけだろ」


「そうだけどさ、夢だって諦めたい訳じゃない、けどさ...自分でもよくわかんねぇけどさ、手放したくないって思ってる自分が居るんだよ」


「...お前...これ...」


「....」


「もしもの話だよな」


「そ、そうだよ、真面目に語って悪かったな」


「なんでそんな話しだしたか知らないけど、相談してくれて嬉しいよ」


「前から思ってたけどよ、お前良い奴だな」


「そうか」


「一応俺、お前に冤罪吹っ掛けたんだぜ」


「そうした気持ちはわからなくはない、俺だって子供の時から本気で頑張った事が一瞬で無駄になって、自分より下手で才能がない奴が自分の居場所をかっさらって行く、そんな状況で何も思わない奴はいないさ」


「南」


「それに反省してるじゃん、反省している人間を追い詰めても意味ないだろ、だから許す」


「凄いなお前って」


「そうか、それで...そのもしもの話の答えはでたのか、能力を消すか消さないか」


「自分でもよくわかんねえよ、どっちが自分の為なのか、どっちが自分のしたいことなのか、俺はどうしたいんだ」


「僕は悩んだら両方取るぞ」


「消す消さないの話してんのに両方とかないだろ」


「そうだよなごめんごめん」


「でもまあこのまま止まってたらダメだよな」


 そう言うと飛び込み台からプールにジャンプした。


「おいば...」


 止めようとした南の心配は意味なく足が水に触れた瞬間25mのプールの水全てが凍った。


「...ま、まじかよ、お前これ...凄いな」


「ほらなわかるだろ手放したくない気持ち、少なくとも夢と天秤にかける価値はある」


「すげえけど、どうすんだよこの氷」


「真夏なんだし明日には溶けてるだろ」


「それもそうだな」


 凍ったプールの上を歩きながらプールから出て背を伸ばす。


「将来のこと決めた?そろそろ考えとけって先生言ってただろ」


「考えろって言われてもわかんねえよ」


「だよな、俺も未来の自分がどうとかまったく思いつかないし」


「でもまだ時間はあるんだしゆっくり考えようぜ」


「だな、帰るなら一緒に帰ろうぜ、久しぶりに競争でもして・・」


 そんな話をしていると何か凍ったプールに墜落し、2人は驚きながら振り返る。


「...し、心臓止まるかと思った」


「なんか落ちてきたのか」


「何がだよ、ここそこまで高い建物ないぞ」


 2人は恐る恐るプールの中心に落下した何かに視線を向ける、そこには血だらけで古いヤンキーのような格好をした男だった。


「あいつって」


「ドロップスなんでここに」

どうも旅行でばちばちに体が痛い作者です、正直に言って後書きを書く余裕もないので今日はここで終わります。

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